カモ柄(迷彩柄)の基本知識。知っておけばファッションがきっと楽しくなる【永久保存版】

  • 2024.11.21  2024.09.19

カモフラージュ柄をコーディネイトに取り入れるうえで、知っておくべきはその歴史やパターンの種類。どの時代の迷彩なのか、どの国の迷彩なのかを知ることで、そのアイテムへの理解度は格段に上がる。「知は服をもっと楽しくする」。カモ柄の歴史から世界各国の迷彩まで、“カモ柄総論”をご覧あれ!

01…そもそも“カモ柄”とは?

文字通り「Camouflage=擬装」が語源であるカモ柄は、戦時中に兵士たちの身を守るために開発されたパターン。森林や砂漠地帯、海上や街中などの戦場における環境に溶け込むカラーや模様を採用することで、敵からの視認を困難にする効果があり、一般的には1930年代のドイツ軍が開発したパターンに起源があると言われている。以降、カモ柄は時代や環境に応じて各国で様々な進化を遂げ、現在ではファッションアイテムの定番となっている。

02…アメリカ4軍の迷彩の違い。

陸海空の3軍に上陸作戦などで活躍する海兵隊を含めた4軍(隊)が米軍の大部分を占める戦力だ。全軍が主に同じ迷彩柄を使用した時代を経て、2000年代以降に各部隊で採用された独自の迷彩パターンまでを見ていこう。

海兵隊

マーパット/上陸作戦などにおける森林地帯での戦闘を想定したパターン。迷彩柄の定番であるウッドランドに近い配色。

陸軍

ACU/砂漠地帯や街中に溶け込むベージュとグレーを基調としたパターン。2005年より採用されたデジタル迷彩。

海軍

NWU/海上での活動を前提としたデザイン。ネイビー、ブルー、ブラック、グレーの細かく複雑なデジタル迷彩だ。

空軍

ABU/街の色に溶け込みやすいグレーを基調とする。タイガーストライプのパターンをデジタル処理したデザイン。

03…米軍にみる迷彩の変遷。

古着市場で見かけることの多い米軍の迷彩柄は、1940年代の登場を皮切りに活動環境の変化や迷彩効果の向上ために幅広く発展を遂げてきた。今回はグリーンを基調とした森林系のパターンにフォーカスして紹介。この進化論を知るだけでもあなたのカモ柄に対する理解は相当深まるはずだ。

04…王道はアメリカ軍のウッドランド。

数ある迷彩柄の中でも最もポピュラーかつ人気が高いのがウッドランド迷彩。1980年代から2000年代半ばまでの間、アメリカ全軍の標準的なパターンとして採用されていただけに、古着市場でも球数が多く、目に触れる機会も多い。

ウッドランドはハイコントラストの4色(ベージュ、ブラウン、グリーン、ブラック)から成る不規則な形状の斑で構成される。ファッションブランドが作るプロダクトのデザインソースとしても多く用いられ、強い存在感と武骨な印象を与える。上のパンツはアメリカ軍の[M-65]トラウザーズ。ズドンと落ちるストレートシルエットが特徴で、カモ柄パンツの中で最も王道といえるモデルだ。

05…民間モデルとは?

基本的に迷彩柄は、着用する土地の植生や色彩感覚により、各国の軍隊に所属する者によってデザインされる。その一方で国や軍隊ではなく、民間企業がデザインした迷彩パターンが傭兵部隊などに採用されることもある。

2002年にアメリカの「クレイ プレシジョン社」が発表したマルチカム。幅広い環境下で使用できるように設計された汎用性の高さが魅力で、無許可のコピー品も含めて世界各国で広く使用されている。アメリカ軍での本格的な採用こそ見送られたものの、一部の特殊部隊で採用され、その後英国軍など各国での採用が進んだ。左のパンツは同社のマルチカムを元にアメリカ陸軍で採用されたOCU迷彩のカーゴパンツ。

06…世界各国のカモ柄パンツ。

アメリカ軍だけでなく、世界には様々なカモ柄のパンツが存在する。 ここではいま買うことのできる5つのパターンをピックアップ。問い合わせ/ワイパー TEL092-791-5252 https://www.waiper.co.jp/

イギリス/DPM迷彩

英国を代表するパターンは洗練された印象。サイドアジャスターでウエストの調整が可能だ。6380円

ギリシャ/リザード迷彩

フランス軍のリザードカモを元に製作された派生型。素材はコットンポリのリップストップ。7480円

フランス/中央ヨーロッパ迷彩

米軍のウッドランド迷彩に比べて、落ち着きのあるカラーが特徴。シルエットはやや細め。8580円

イタリア/サンマルコ迷彩

1929年に導入され、歴史上初めて量産された迷彩柄ともいわれる。膝のキルティング補強など個性的なデザイン。5500円

ベルギー/ジグソー迷彩

1956〜’58年に主に特殊部隊と空挺部隊によって使用されたパターン。平織りのコットン素材で、1年中着られる。7480円

07…まだまだある世界の迷彩。

前項で挙げた以外にも、まだまだ存在する迷彩柄。ここでは柄や配色が特徴的な6カ国のパターンを紹介する。

ブラジル/リザード迷彩

濃淡のはっきりしたリザードタイプ。構成の細かさに、植生の特異性を見て取れる。

スイス/ライパーマイスター

ナチスドイツが採用したまだら模様の迷彩。名称は開発者の名前に由来するとされている。

スウェーデン/ウッドランド迷彩

大柄で幾何学的な折れ線を駆使したグラフィカルなパターン。シンプルで落ち着いた印象。

ドイツ/フレック迷彩

二次大戦時のナチスに端を発するドットで構成されるパターン。別名、フレクター迷彩。

オランダ/アフガン迷彩

アフガニスタン派兵に際して生まれたパターン。彩度の高い、5色のカラーリングが特徴。

オーストリア/ドットパターン迷彩

“ドット”のような細かいパターンが特徴。早い時期から迷彩柄を取り入れた国のひとつ。

(出典/「Lightning 2024年10月号 Vol.366」)

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