見た目はそのままによりパフォーマンスアップ。
日本の自動車史を語る上においても、実際のレース戦歴においても、そして現代の国産旧車人気の中心車種であるという点においても、初代スカイラインGT‐Rは欠かすことのできないクルマであり、人気車種のトップに君臨し続けている。
ドア時代に800台強、ここに紹介するドアハードトップですらおおよそ1200台しか生産されなかったため、現在ではコレクターズアイテムとなっているのはいうまでもないだろう。
ところが、希少なGT‐Rとはいえ、当時のスポーツカーだったため、サーキットで酷使されてしまった個体もあれば、ほとんど乗らずにガレージに眠っていた個体もあり、状態は千差万別だ。
ここに紹介するのは、ロッキーオートの渡辺代表が数多く取り扱ってきたGT‐Rの中でもレストレーションの完成度が非常に高いと太鼓判を押す一台だ。
元々状態のよい年式のドアハードトップをベースに徹底したレストレーションを敢行。ボディは見える部分だけでなく、裏側や袋部分も入念にサビを落とし、美しいホワイトでリペイントされている。エンブレムやモールといった細かなパーツも極力新品を使ったり、リコンディションしたものを使用。細部を見渡しても、まるで新車のような輝きを放つ究極のレストレーションが完成したのだ。
レストアと並行して降ろされたエンジンはSエンジンのスペシャリストであるRファクトリーにて鍛造フルカウンタークランクと84mmピストンを使用し、2.5リッター化。これにセットされるのは純正のソレックスではなく、ファンネル仕様のウェーバーのφ45。そして排気効率だけでなく、見た目の美しさも考慮して製作された6‐2‐1構造の等長ステンレスエグゾーストをセット。
ラジエターは純正形状のままコア増しをして、見た目を変化させずに冷却効率をアップ。足周りはフロントにMKキャリパーを装着し、当時はオプションだったマスターバックを追加してストッピングパワーもしっかり強化されている。
完璧なレストレーションはもちろんだが、この個体は見た目をそのままに各部をアップデートし、GT-Rのよさを活かしつつパフォーマンスアップを果たしている。正常進化を遂げた究極のGT‐Rの誕生だ。
フルノーマルとは一味違う、見えない部分を進化させたフルレストアをとくと見よ。
エンジンはRファクトリーにてオーバーホールされた時に、鍛造フルカウンタークランクや84mmピストンを使用して組まれた2.5リッター仕様。見た目はそのままにおおよそ200馬力のパワーを誇る。
キャブレターはカールファンネル仕様のウェーバーφ45だ。
ラジエターはコア増しした純正形状で冷却効率をアップしている。
タコ足はステンレス製の等長タイプ。
マスターバック付きのブレーキマスターを装着している。
高トルクに対応すべく、アルミフィンカバーを装着したR200デフにLSDを組み込んだリアエンド。レストア後ほとんど走行していないというのも頷ける。
ホイールはワタナベの8スポークをチョイス。
トランク内も驚くほど美しい。スペアタイヤに備わるのは新車当時のバイアスタイヤ。
7500rpmからレッドとなる10000rpmスケールのタコメーターはGT-R専用品。
センターコンソールに追加メーターが装着されている以外、ファクトリーをラインオフした当時の状態を忠実に再現したダッシュ周りも目が離せない。
新車当時にオプションとして選択できたレース用ワイドミラーを装着。
ドアパネルも傷がつきやすいモールも含めてまるで新品のような状態だ。
ステアリングはスポーツコーナーオプションだったダッツンコンペをチョイス。純正より小径の直径35mmでクイックな操舵が可能。
シートは今や貴重品となった本物のダッツンコンペバケットを贅沢に二脚ともに使用する。若干後傾してマウントしている。
【SPEC】
●全長:4330mm ●全幅:1665mm ●全高:1370mm ●ホイールベース:2570mm ●車両重量:1100kg ●エンジン形式:S20型改 ●総排気量:2500cc ●ホイール:ワタナベ8スポーク ●タイヤ:TOYO(F)195/50-15(R)225/50-15
【DATA】
ロッキーオート
〒444-0003 愛知県岡崎市小美町字殿街道153
TEL0564-66-5488(商談予約・問い合わせ)
営業時間:10:00~19:00
※情報は取材当時のものです。
(出典/別冊Lightning Vol.231「VINTAGE AUTO 快適旧車のススメ。」)
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