リジットからデニムを育てる極意とは? 「ウエアハウス」の敏腕プレス・藤木さんに聞きました!

着込むほどに味わい深くなるのが経年変化の楽しみ。リジットの状態から着込んでいき、理想的なヴィンテージのようにかっこよくエイジングさせることができる人は、一体どのようなメンテをしているのか。エイジングの達人として知られるウエアハウスの藤木さんにその極意を訊いてみた。

リジットから着込む場合は最初の水通して“成形”することが重要。

「ウエアハウス」広報・藤木将己さん|1974年京都生まれ。1997年ウエアハウス入社。ヴィンテージ古着だけでなく古書好きとしても知られ、自社プロダクツの時代考証における要といえる人物

自分の洋服をどのようにメンテすればいいのか。人それぞれ考え方があるため、メンテ方法も様々なのだろうが、誰もが目指すのは、長年着用することができて、最終的に「カッコよくエイジングする」ことであるはず。そこで、今回は新品の洋服をリジットから着用していき、まるでヴィンテージ古着のようにカッコよくエイジングさせる達人として知られる、ウエアハウスの藤木さんに、ご自身のメンテ方法や考え方について訊いてみた。

「ウエアハウスの話になりますが、作っているアイテムは、全てヴィンテージ古着を忠実に再現したものです。デザインや縫製はもちろんですが、一番大変なのが生地を再現することなんです。

今から何十年も、時には100年以上前の生地を全く異なる現在の環境で再現しなければならないので、これには時間と労力がすごくかかります。だからこそ、その生地をエイジングさせたいという熱意が生まれてくるんです。私の中では、エイジングは生地にこだわるからこそ生まれる価値観なんです。それの最たるものがデニムだと思っています」

1940年代までの穿き方を意識し、リジットのままジャストで着用した1003XX。未だ未洗濯で、汚れは希釈したデニムウォッシュのスプレーで対応してきた。膝下のみお湯に浸けてやや縮ませているそうだ

作られた時代背景までも考慮したモノづくりから生まれたプロダクツは、言い換えればデッドストックと同じ存在。当時の人の生活様式を考えて着用とメンテをするのが藤木さん流のこだわりだ。

「着用開始する際に考えるのは、そのモノがどういう時代に作られ、どういう人たちがどう着ていたのか、ということ。洗濯のタイミングも当時になるべく忠実でいたいと思っています。一番苦労するのが、いつ着込んでいくかということ。

普段の仕事ではTPOも考えて同じモノばかり着るわけにはいかないので、やはりオフの時間にどう着るかを考えています。自分のオフは家にいる時間。だからホームウエアとして着ているんです。特にデニムは最初にお湯に浸け、軽く脱水した後に着てある程度体を動かして“成形”する。あとは2カ月はそのまま着込みます。体に馴染ませればストレスなく家でも着込めますよ。

私はよくデニムジャケットを着て寝ています。ジーンズは膝をついたり座ることが多いので、家の中での穿き込みはオススメしません」

生地だけでなく部材のエイジングも楽しみのひとつ。例えば鉄製のリベットやボタン裏は、使われている箇所によって錆びや変色の有無がある。こういう点に心が打たれるのだ
ウエアハウスのデニム用洗剤。インディゴを残しながら皮脂汚れや不純物のみを取り除いてくれる。2種類の香りを用意。各2640円

時代背景を考慮した着用とメンテはヴィンテージのようなエイジングを生む。

ヘビーオンスの1001。1950年代後半からの生活様式を考え、最初にお湯に浸けて成形して2カ月は着込んだ後は、かなりの頻度で洗濯した1本。綺麗な青さも特徴のエイジングだ。2年着用。

最初にお湯に浸けて脱水後に袖を通し、しっかり動いて成形して乾燥機に。一発目の乾燥はコインランドリーのガス式が絶対いいとのこと。ジャストサイズなのでヒゲもすごい! 7年着用。

最初にお湯に浸けてから2カ月ほど毎日着込んだ1着。それによってしっかりと自分の体に“成形”し、以降はぬるま湯に洗剤を入れて洗濯機で定期的に洗ってきた。2年半着用。

【問い合わせ】
ウエアハウス東京店
TEL03-5457-7899
https://www.ware-house.co.jp/

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年2月号 Vol.358」)

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ランボルギーニ三浦
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ランボルギーニ三浦

ヴィンテージ古着の目利き

全国的に名を轟かせていた札幌の老舗ヴィンテージショップに就職。29歳で上京。Lightning編集部、兄弟誌・2nd編集部で編集長を務めた後、現在は、Lightning副編集長に。ヴィンテージ、古着の知識はその道のプロに匹敵。最近はヴィンテージのロレックスが最大の関心事で、市場調査も日課のひとつ。ランボルギーニ三浦の由来は、もちろんあの名車。
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