2ページ目 - 中目黒の元バーガー職人が創った、素晴らしきホットドッグ専門店。

  • 2023.12.20

元常連たちに言われる最高のひとことがある。

「独立した姿を見せたい」。そう思っていた理解者がいなくなった。足踏みをやめる時だった。

「『1年で店を引き継ぎして、独立しよう』。父の葬儀が終わったすぐそう決めた。2019年の年末にはオーナーにも言いました」

待望の自分の看板で、グルメバーガーの店を︱︱。この頃にはもうそんな考えはなかった。グルメバーガーはいい店があちこちにでき、スキマがなかったからだ。じゃあ何を? 考えた時、コストコで180円の格安ホットドッグが人気なことをふと思い出した。ホットドッグをリッチにおいしく提供したらどうだろう?

「グルメバーガーが現れ、世の中に広まったあの頃みたいに、ホットドッグでそれをやろうと。思いいついて、決めちゃったんです」

ソーセージ作りから試行錯誤をはじめた。肉の量、種類、スパイス。どれくらい乾燥させ、燻製して、ボイルするかでも違う。バーガーを食べ歩きして研究したような、あの熱がぶり返した。

ソーセージから手作り。肉とスパイスを合わせて丁寧に手ごねする。時間は約10〜15分。「コツは温度を上げないこと。10度以下を保たないと質が下がります」
使用するソーセージは腸詰めにしてから乾燥、燻製した後、フライパンでボイル焼き。ソーセージは1本155gとボリューミーだ

「何カ月もソーセージばかり食べてました。実は研究は続いていて、今のでバージョン40くらいです」

場所は新しいものに敏感で、しかもほどよく住宅や企業もある土地を探し、中目黒の今の場所に。店名の『スクーカム』はアワードジャケットブランドの名で見て、馴染みがあった。調べるとまさに店のイメージとフィットしていたので、冠することにした。

「ホットドッグを“最高”で“他にはない”ものにしたかったので、ちょうどいいや、とつけました」

2021年10月。こうして『スクーカム・ホットドッグ・ダイナー』はオープンした。コロナ禍ではあったが、店はすぐに人気店となった。クラウドファンディングでオープン前からコンセプトを説明。それを見て最高のホットドッグを求める人たちが多く集まってくれた。そうして飯田さんのグルメドッグに舌鼓を打つと、皆たまらずSNSなどで広めてくれたからだ。実は超人気店だった前のバーガー店から「探していたよ」と訪れる常連さんも少なくない。

「こっちも美味い」「ホットドッグのほうがいいね」。そう言われるのも最高だが、もうひとつ、彼らにかけられる、うれしい言葉があるのだという。

「『前の店だと、そんな笑ってなかったよね』とよくいじられる。心底、独立してよかったなと思いますね。だから、きっと……」

飯田さんは店の奥、やたらと存在感あるリーバイスのデニムバナーと星条旗を見ながら、ひと呼吸おいた。両方とも、父親の部屋に飾ってあったものだという。

「親父も喜んでくれているかな」

ニカッと笑いながら、言った。

店の名を冠した、看板メニュー『スクーカムドッグ』。じゅわっと広がるソーセージの肉汁を特注パンがキャッチ。ベーコンとソース類の多層的な旨味が、折り重なって舌と胃袋を満たしていく。「完璧」の名にふさわしい味。1580円
推したいグルメドッグは、まだまだある。こちらはローストしたマッシュルームをゴーダチーズで包み込んだトッピング。香りと深みがたまらない。「MUSHROOM CHEESE DOG」。1830 円
名ばかりのチリソースが多い中で、ちゃんとホットに仕上げた自家製ソースが味わえる「CHILI DOG」。コレはビールです。1480円
提供している生ビールはバドワイザー。さわやかで口当たりのいいうえにキレが増し、ホットドッグの最高のバディになってくれます。780円
ホットドッグ以外も最高で素晴らしい。ビール泥棒なのかな、というくらいぐいぐい酒が進む、要注意なソーセージ。「ホットドッグ用と違い、細めの羊腸を使っています」。1380円
来店したメキシコ人も「美味い!」と絶賛したしっかり辛いチリミートにチーズを添えたフレンチフライ。あ、これもビール泥棒だ。980円

【DATA】
SKOOKUM HOTDOG DINER
東京都目黒区青葉台1-17-2 青葉台117 ビル1F
TEL03-5489-3577
営業/11:30〜23:00
休み/火曜
https://skookum.base.shop

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2023年12月号 Vol.356」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部