20年以上付き合っている相棒である1964年式アメリカ旧車の乗り味を体験!!

編集部イチのアメリカ車好きであり、自身も数々のアメリカ旧車を乗り継いできた編集部の最古参・ラーメン小池。

最近ではLightning、2nd、CLUTCH magazineの公式YouTubeチャンネル「CLUTCHMAN TV」でも“ライトニングガレージ”という、アメリカ車好き全開の動画連載を開始した。

今回は、プロサーファーである石坂さんの愛車である「1964年式オールズモビル・ダイナミック88 ワゴン」を拝見。

若いころに観た映画『ビッグウェンズデー』のシーンに憧れてサーフィンに出会い、劇中のクラシックサーフスタイルに心を奪われた石坂さん。

始めたサーフィンはプロ資格を取るまでになり、そのときに憧れだったアメリカ旧車のワゴンを購入。20歳代後半で出会った1964年式オールズモビル・ダイナミック88ワゴンは、もう20年乗り続けているという相棒に。

そんなストーリーたっぷりのクルマに乗せてもらい。石坂さんのアメリカ車愛を聞いてみた。

自身の人生とともに駆け抜けてくれる長年の相棒。

もうこのクルマとは20年以上の付き合いという石坂さん。もちろん若いころにこのクルマを手に入れたときは、現在のように安心してデイリーユースができるクオリティではなく、いつも水温計とにらめっこしながら乗っていたという。ただ映画『ビッグウェンズデー』で観たクラシックサーフシーンが忘れられず、このクルマにロングボードを積んでサーフィンに行くという憧れのスタイルは、手に入れたときから格別だったという。

クルマの両サイドを前後に走るフィンが張り出したデザインは1950年代のアメリカ車の名残。このフィンが運転席からも見えることで、ボディ幅を見る目印にもなると、所有することで知った
1960年代前半のアメリカ車はインパネもスチール製。直線基調ながら、手の込んだ立体的なデザインは現代の車両では味わえない雰囲気。車名やブランドロゴもインパネに入っているのも時代感

少しずつクルマの不具合を直し、エンジンはもう2回載せ替え(現在は3機目のエンジンとなるシボレー製5700ccのV8)、トランスミッションも最初は2速ATだったが、現在は乗りやすく燃費も稼げる4速ATに換装している。まだまだリペアしたい箇所はあるけれど、日常の足として使えるクオリティに長年かけて到達した。イグニッションをひねればエンジンは一発始動。アメリカのV8エンジンならではのドロドロとした排気音をBGMにクルマは走り出す。

サーフィンの大会にはよほどのことがないかぎり、このクルマにボードを積んで訪れていた。

「僕にはサーフィンだけじゃなくて、スタイルが大事だったんですよね。もちろん、こんなクルマでプロサーファーとして海に行くわけですから、これでサーフィンが下手だなんてちょっとナシでしょ。恥ずかしいですもん。だから自ずとサーフィンにも熱が入って上達したんだと思います」

と、プロサーファーとしての生活にもこのクルマは良い刺激になったという。

「このクルマは一生飽きないと思いますね。僕のお葬式にはこのクルマで自分の棺桶を運んでもらいたいくらい」ともはや手放すなんていう考えは微塵も無い。

といっても石坂さんは、アメリカ車だけでなく、クルマそのものが昔から大好きだっという石坂さん。そのカーライフは、安い不動車を手に入れては、コツコツ直して路上復帰させることがもっとも楽しいという。

「普通の人は移動手段としてクルマと付き合うと思いますけど、僕は不動車を買ってきて、最初は眺めたり、洗車したりするだけでも楽しいですし、時間をかけてコツコツ直して移動手段になったときにはさらなる喜びがあるんですよ。だから動かないクルマでも気に入ったら買ってきちゃいますね」と独自のクルマ偏愛理論がある。

このオールズモビルもオリジナルのステアリングにはもうヒビが入ってきているし、経年によって色褪せや欠品などもある。それでもその雰囲気を楽しんでいる。

タコメーターをステアリングポストに後付けしているだけでノーマルをキープしているインテリア。純正のステアリングはヒビが入ってきているけれど、運転が可能なかぎり、経年による味わいを楽しんでいきたいという
20代のときに思い切って購入してから20年以上の付き合いという車歴には頭が下がる。このクルマはプロサーファー人生をともに走ってきた相棒なだけに、今後もずっと付き合っていきたいという

いろいろなクルマを所有してきたし、現在も不動車を含めた数台の車両を持っているけれど、アメリカのクルマはやはり独特だという。

「日本やヨーロッパのクルマは小排気量のエンジンをいっぱい回して進む感じ。でもアメリカ車は大きなエンジンで、アクセルをこまめに踏まなくても堂々と進んでくれる。そんなおおらかさや大きさにアメリカの広さや、そこに住む人のゆとりみたいな国民性を感じますよね」

とアメリカ旧車ならではの良さも実感している。

自分のサーフィン人生をともに駆け抜けてくれる相棒は、これからもイイ感じに年輪を重ね、石坂さんのライフスタイルをさらに充実させたものへと導いてくれる。そこにはいつだって『ビッグウェンズデー』で見た景色が広がっている。

▼オールズモビル・ダイナミック88の走りはこちらの動画でチェック!

この記事を書いた人
ラーメン小池
この記事を書いた人

ラーメン小池

アメリカンカルチャー仕事人

Lightning編集部、CLUTCH magazine編集部などを渡り歩いて雑誌編集者歴も30年近く。アメリカンカルチャーに精通し、渡米歴は100回以上。とくに旧きよきアメリカ文化が大好物。愛車はアメリカ旧車をこよなく愛し、洋服から雑貨にも食らいつくオールドアメリカンカルチャー評論家。
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