掘り出し物に出会える? 旧車愛好家の間で密かに話題のカーショップ。
今、国産旧車ファン、特にネオクラシック愛好家の間で話題になっているショップがある。それがここで紹介する千葉県の『バクヤスオート』だ。
名前だけ見ると在庫を豊富にストックする大手中古販売店のような印象だが、販売車両をカーセンサーで調べると、’90年代を中心に懐かしいクーペやセダンが次々と出るわ出るわ。名車から珍車、そして絶滅危惧種まで、ネオクラ好きのツボを押しまくるセレクトがされているのである。
そこで取材に伺ったのだが、女性スタッフをはじめ、スタッフの皆さんはとても明るくて丁寧。これはちょっと予想外の展開だ。
スタッフの清水さんに話を伺うと、クルマのセレクトはバイヤーの趣味がかなり影響しているとのこと。「店名を見て『爆安じゃないじゃん』なんて言われることもあるんです」と清水さん。いえいえ、’90年代のクルマでフルノーマル&マニュアルという仕様から判断すれば、十分に安いですって!
1.1998 トヨタ サイノス|今ならカスタムベースとしてもアリ!
’91年に「友達以上恋人未満」のキャッチコピーで登場。’95年のモデルチェンジ後にはTK率いるglobeがCMに出演。名曲「Joy to the love」とともに「アダムとイブをその気にさせた」というナレーションが入る。そう、友達以上恋人未満の関係から発展したというわけだ。当時は女性向けのクーペという印象だったが、今ならスタンス系のベース車両としてもあり。こちらの個体はフルノーマル。うれしい5MT仕様だ。64万円
2.1996 スバル アルシオーネSVX|大胆フォルムのスペシャリティクーペ。
1991年に発売され、今もファンの多い’90年代の名車のひとつ。デザインを担当したのはイタリアを代表する工業デザイナーであるジウジアーロ。特徴的な三次元曲面ガラスが採用した複雑な形状のサイドウインドウなど、今では考えられないくらい贅沢な作りをもつスペシャリティクーペだ。この個体は当時の純正ホイールでもあった16インチのBBSを装着。特筆すべきは 3.3 L 水平対向6気筒エンジンの音。非常に静かでヘルシーなサウンドを聞かせてくれた。そこからも調子の良さがうかがえる1台だ。188万円
3.1996 マツダ MX-6|エンジンはなんとV6搭載。
2023年2月時点、カーセンサーでこのクルマを調べると、現存しているのはバクヤスオートのこの個体のみというまさに絶滅危惧種なマツダ製スペシャリティカー。ノッチバックの2ドアクーペは写真ではコンパクトに見えるかもしれないが、全幅1750㎜という当時にしてはワイドなシルエット。そして最大のポイントは200馬力を発揮するV型6気筒DOHC2500㏄エンジンを搭載している点。日本ではイマイチ影の薄かったMX-6だが、海外では高い評価を得ていたというのも当時のマツダらしいエピソードだ。68万円
4.1996 日産 プレセア|スタイリング際立つ4ドアハードトップ。
流麗なフォルムの4ドアピラードハードトップとして1990年に誕生したプレセアの2代目。取材時は低いルーフによるスタイリングのよさとゴージャスなライトグリーンのカラーリングに、見た瞬間カメラマンともども思わずニッコリ。室内は’90年代のクルマ特有の質感と色味だが、このプレセアにはライトパネルがブルーに発光するマリンブルーメーターを採用。シートにはおそらく当時物のレースカバーがかけられ、フロアマットはプレセアのロゴ入りの純正品。5速MTなのも魅力。そして価格にも注目。38万円
5.1997 ユーノス プレッソ|美しい曲面で構成されたハッチバッククーペ。
’89年に多チャンネル化を行ったマツダ。ランティスやユーノス500、オートザムAZ-1など、この時期のクルマはどれも個性的な物ばかり。今も人気のロードスターだって、元はユーノスで販売されていた。そんな個性派軍団の中の1台がユーノスプレッソ。イマドキのハッチバックスタイルとは異なるスタイリングが魅力の1台。1991年の登場時は世界最小のV6エンジン(1800㏄)ということで話題にも。ちなみにこの個体は直4の1500㏄エンジン搭載モデル。修理歴ナシのワンオーナー物という極上物。59万円
※情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning2023年4月号 Vol.348」)
Text/M.Sasaki 佐々木雅啓 Photo/D.Katsumura 勝村大輔 取材協力/バクヤスオート https://bakuyasu-auto.hkhk.jp/