プレミアムな価値のあるモデルは高嶺の花を突き進む。
いまやクラシックカーの販売価格は世界中で上昇の一途。国産旧車ですら、世のおじさん世代にはリアルタイムだった1980年代くらいの馴染みのあるモデルでも高値安定傾向。ガソリンエンジンのクルマからEVへの過渡期ということもあり、今後はより趣味性が高く、コレクタブルなモノへとシフトしていくことは間違いない。
しかも最新の高級車、とくにスーパーカーと呼ばれるハイパフォーマンスな稀少モデルも同じく高騰中。もともと生産台数が少ないことも手伝って、世のクルマ好きだけでなく、投機対象として見る人たちの熱い視線も加わったものだから、定価以上のプライスで市場に出てくることも珍しくない。
高級時計ブランドもアンティークモデルだけでなく、現行モデルですらもはや定価ではなかなか手に入らないという、ここ最近の事情と似ている。世の「好き者」たちが世界中で増加傾向なのか、もはやひと昔前のものさしではついて行けないのである。
そんなご時世も手伝ってか、今のクルマ事情が「なるほどね」と思わせる出来事が先日アメリカで行われたクルマのオークション「バレットジャクソン」にチャリティで出品された2024年式フォード・マスタングGT。
これは2024年式でモデルチェンジした第7世代のマスタングで、アメリカでの販売は2023年の夏ごろと言われているニューモデル。
そのハイパフォーマンスグレードであるGTが出品されただけではそれほど驚かない。何とこれ生産第1号車でVIN001(VINとはヴィークル・アイデンティフィケーション・ナンバーの略で、いわゆる製造番号のこと)が刻印されたモデルなのだ。
世のクルマ好きは最初とか最終モデルといったワードにすこぶる弱い(笑)。しかもまだ正式に発売されていないモデルを先に手にできることも手伝って、なんと56万5000ドル(日本円で約7000万円)で落札された。もちろん、チャリティだったというご祝儀もあったかもしれないけれど、ここまで上がるとは。
もちろんVIN001のマスタングGTは世界でこれ1台。そういう意味では価値のあるモデルかもしれない。世界のクルマの市場価値っていったいどこまで上昇していくのか。2024年式マスタングGTの新車価格は4万ドルくらいではないかと言われているなか、このプライスに衝撃を受ける人が多かったことはいうまでもない。
何年か経過したときにこの1号車が再び売りに出されるときはいったいいくらまで値が上がるのかは気になるところだけれど、アメリカ人にとってフォード・マスタングが特別なモデルであるということを教えてくれるような落札価格。そんなお祭り騒ぎによって、新型マスタングがクルマ好きだけでなく、アメリカ中に認知されたことは間違いない。
Photo/Ford Motor Company
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