エンジニア愛が止まらない! BILTBUCKがエンジニアブーツを作る理由。

熊ジャンをはじめとするレザージャケットで注目を浴びるビルトバックだが、彼らの生み出すエンジニアブーツの人気も、ものすごいことになっている。現在、ビルトバックが展開するエンジニアブーツは、なんと7 型。なぜそこまでエンジニアにこだわるのか。代表の西崎智成さんに、その熱き想いを伺った。

カッコよさを追求したこだわりのエンジニアブーツ。

「アトラクションズ」代表・西崎智成さん|バイクや音楽、ファッションなど、1950年代以前のアメリカンカルチャーに精通する西崎さん。今回も、興味深い話をいろいろと聞かせてくれた。エンジニアのサンプルを作る際、まず馴染みの良いクロムエクセルで作って、本人がまず徹底的に履き込んでテストするという。その真摯なモノ作りの姿勢には頭が下がる

アメリカンヘリテージをベースにしながらも、音楽やモーターサイクルなどのカルチャーを組み合わせ、独自の世界観を構築するビルトバック。彼らの作り出すエンジニアの特徴は、なんといってもその“色気”にある。流麗でクラシカルなフォルムと、ドレスブーツのような美しさを持つエンジニアは、ビルトバックの独壇場だ。

代表の西崎さんが初めてエンジニアブーツを作ったのは2009年のことだったという。

「もともとアメリカの旧いエンジニアを集めて売っていた時期があったんです。いろいろヴィンテージを見ているうちに、自分の好きなエンジニアがわかってきました。周りを見渡してもどこにもないので、じゃあ自分が作ろうと」

最初に企画したのは、現在ラインナップされている「ザ・パイオニア」だった。かつて、原宿のヴィンテージショップ「フェイクα」の澤田さんに、「エンジニアかどうかはわからないけど、面白いブーツがあるよ」と見せてもらい、一目惚れしたのがきっかけだった。こんなブーツを作ってみたい。だが、ライニング無しのインナーカウンター仕様でパーツ数も少なく、エンジニアブーツとして成立させるのが難しそうだったので、一旦は断念した。

「そこで、セパレートソールの一番理想的なエンジニアを作ろうと思ったんです。それが今のLOT444です。いろいろ試行錯誤しましたね。最初は経年変化しやすいホーウィン・クロムエクセルで履き込みサンプルを作りました。約半年履き込みテストをして、ホースバットとステアハイドの製品サンプルを作ったんです」

愛おしそうにエンジニアを触りながら説明してくれた西崎さん。テングからサイドにかけての「えぐれ」が好きだと話してくれた

その頃、ホースバットのエンジニアは、ほとんど存在していなかった。まさに、ビルトバックが先駆け的存在だったといえる。それからというもの、理想のエンジニアに少しでも近づけようと、あらゆるマテリアルを試したり、修正を加えていったという西崎さん。

国内外のホースバット、ホースフロント、ガラスレザー、ステアハイド……やがて、とことん製品開発に付き合ってもらった皮革業者とメーカーのお陰で、オリジナルレシピの革が完成していったという。

断っておくが、ビルトバックは決してブーツ専業ブランドではない。そんな彼らが、“たかが”エンジニアのために、ここまで追求するとは、まさに驚きだ。

ある日のこと、皮革業者の担当者が西崎さんに1足のブーツを見せた。それはまさに、西崎さんが作りたくても作れなかった、かつてのインナーカウンターのブーツを再現したものだった。実はその方は、最初に相談を受けて以来ずっと、独自で試作を重ね、ようやく完成に漕ぎつけたのだという。

「いやぁ、嬉しかったですね。その方が作ってくれた試作品を2〜3回修正して、ザ・パイオニアが出来上がったんす。ザ・パイオニアには、グイディのホースバットを使っています。芯通しではなく、きちんと芯が残っているので、張りがあって最高の革だと思います」

西崎さんにとってのカッコいいエンジニアの条件、それは(1)つま先が薄く、(2)シャフトが前傾で、(3)ストラップが長く、(4)両サイドを強く吊り込んでいること。ビルトバックのエンジニアはすべてこの条件を満たしており、だからこそ、得も言われぬセクシーさを醸し出しているといえる。

「僕たちは職人でもなければ、靴の専門家ではありません。でもこの視点を大切にしています。僕らにとって大切なのは、見た目のカッコよさと、履いた感じです。これからも、カッコよくてセクシーなエンジニアを作っていきますよ」

ビルトバックを代表する名作エンジニア。

LOT.444 ENGINEER BOOTS HORSEBUTT/BLACK

ビルトバックを代表するエンジニアが、このLOT.444。1940〜’50年代のエンジニアブーツをモチーフに、素材はホースバットを採用し、ホースハイドブーツ専用ラストを用いて作られている。その美しいフォルムは、まさにため息モノ。極限までの吊り込みを追求し、土踏まずの内甲ラインを実現、極上のフィッティングを体感することができる。履き込むほどに、トゥが沈み、セクシーな佇まいを見せてくれる。A010 Specialty Lastを使用。9万6800円

AGING SAMPLE

インナーカウンターの美しさに酔いしれる。

LOT.603 ENGINEER BOOTS “The Pioneer”

モーターサイクルブーツ黎明期のモデルをイメージして作られた「ザ・パイオニア」。最大の特徴は、ドレスブーツのようにインナーカウンターを採用している点。ローパーブーツを彷彿させるクラシカルな佇まいと、ドレスシューズのような美しさが同時に味わえる。使用するラストはA012 Pioneer Last。バックルは、ブラックの焼き付け塗装を施したサンドキャストの鉄製バックル。イタリアの名タンナー・グイディ社のホースバットを採用。12万9800円

AGING SAMPLE

【問い合わせ】
アトラクションズ
TEL03-3408-0036
https://attractions.co.jp

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning2023年1月号 Vol.345」)

この記事を書いた人
モヒカン小川
この記事を書いた人

モヒカン小川

革ジャンの伝道師

幼少期の革ジャンとの出会いをきっかけにアメカジファッションにハマる。特にレザー、ミリタリーの知識は編集部随一を誇り、革ジャンについては業界でも知られた存在である。トレードマークのモヒカンは、やめ時を見失っているらしい。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

上質な革を日常に。「INCEPTION」のショルダーバッグは経年変化が楽しみになる相棒だ

  • 2026.06.26

レザーほど、所有者とともに過ごした年月が如実に現れる素材はない。毎日のように身につけるレザーバッグは、なおのことである。“革”に徹底的にこだわるINCEPTIONのショルダーバッグはクラッチマンの相棒として最適な存在だ。 FANNY PACK 腰に巻いて使用することを目的とするファニーパックをショル...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

「ファーストアローズ」創業30周年記念! 「JELADO」「RE-BUILT」とのコラボによる銀で彩った、贅沢なデニム。

  • 2026.06.29

日本屈指のシルバーアクセサリーブランド「ファーストアローズ」が創業30周年を記念して、これまでの集大成かつファンへの感謝の気持ちを込めて、「JELADO」と「RE-BUILT」とコラボしたスペシャルなデニムを制作。限定100本。節目の年に相応しいこだわりに満ちたデニムの詳細を大解剖! First A...

もはや芸術品! 「Horizon Blue Jewelry」の装飾品の域を超えた美学

  • 2026.06.26

あまりに精緻で、目を見張るほどに美しいHorizon Blue Jewelry。その作品群を目の当たりにすれば、単なるアクセサリーの域を超え“芸術品”とも称される所以を容易に理解できるだろう。ここでは、アートピース級の美しさを湛えるジュエリーのなかから今後発売予定の新作も含めて紹介する。 アクセサリ...

Pick Up おすすめ記事

もはや芸術品! 「Horizon Blue Jewelry」の装飾品の域を超えた美学

  • 2026.06.26

あまりに精緻で、目を見張るほどに美しいHorizon Blue Jewelry。その作品群を目の当たりにすれば、単なるアクセサリーの域を超え“芸術品”とも称される所以を容易に理解できるだろう。ここでは、アートピース級の美しさを湛えるジュエリーのなかから今後発売予定の新作も含めて紹介する。 アクセサリ...

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

上質な革を日常に。「INCEPTION」のショルダーバッグは経年変化が楽しみになる相棒だ

  • 2026.06.26

レザーほど、所有者とともに過ごした年月が如実に現れる素材はない。毎日のように身につけるレザーバッグは、なおのことである。“革”に徹底的にこだわるINCEPTIONのショルダーバッグはクラッチマンの相棒として最適な存在だ。 FANNY PACK 腰に巻いて使用することを目的とするファニーパックをショル...