ロッキーからクレイマークレイマーまで、映画の中のアメリカンヒーローの愛用品。

過去の物語を描く映画の場合、その時代にマッチしたアイテムがちゃんと再現されていると嬉しくなるもの。キャストが身に着けていることから空前のブームを巻き起こすことも数知れない。そんな、映画の中でのアメリカンヒーローの愛用品を見ていきたい。

〈バック・トゥ・ザ・フューチャー〉はアメカジスタイルの教科書だ。

タイムマシンものは時代感を表現するだけにファッションの描き方にも注目。’85年では左腕にカシオ・データバンク「CA-50」、足元はナイキ・ブルインのマーティだが、’55年に戻った時のトップスはギャバジン、足元はコンバース・オールスターに履き替えている。

劇中でマーティが着用していたカシオ・データバンク「CA-50」はすでに廃番モデル。こちらの写真は後継機にあたる「CA-53W」だ(写真提供カシオ計算機)

有名なトレーニングシーン。一度は〈ロッキー・バルボア〉の真似をしたい。

ロッキー・バルボアがフィラデルフィアの街を霜降りスウェットで走り抜けるシーンに憧れを抱いた人は多い。ボロボロのスウェットにタオルを首に巻き、足元はコンバース・オールスター。ロードワークに向かない靴だがロッキーにはこれしかなかったのでしょう。

トレーニングが目に浮かぶレイニングチャンプのスウェット。段差のないフラットロックシームで着心地抜群。パーカ2万2000円、パンツ1万8700円(レイニング チャンプTEL03-3401-1811)

〈ディアハンター〉のマイケルが着ていたマウンパはどこのもの?

主人公マイケルが鹿狩りをするシーンで着用していたオレンジ色のマウンテンパーカはシエラデザインズの60/40マウンテンパーカだといわれているが、最近ではホルバーのヨセミテパーカという説が有力。どちらもマウンパの銘品であることは間違いない。

1968年発売のマウンテンパーカの元祖、シエラデザインズの逸品。今でも米国製の60/40の生地を使い米国工場で縫製されている。4万9500円(アリガインターナショナルTEL03-6659-4126)

〈クレイマークレイマー〉で学んだ日常着としての【M-65 フィールドジャケット】。

『ランボー』や『タクシードライバー』でも登場したM-65だが、バイオレンスではなく大人の着こなしとして参考にするなら断然『クレイマークレイマー』のダスティ・ホフマン演じるテッド。養育権の裁判がテーマであり、最も身近で等身大のアメリカンヒーロー。

フィールドジャケットの完成型と呼ばれる銘品M-65を再現。バックサテンを採用したエポレット付きの2ndモデル。4万9500円(バズリクソンズTEL03-3632-2321)

〈フューリー〉でドン・コリアー軍曹が着用するのは【タンカースジャケット】。

本物のティガー戦車が登場すると話題を呼んだ映画『フューリー』でブラッド・ピット演じるドン・コリアー軍曹が着用するのはパッチポケット仕様の初期型タンカース。この後、ポケットに物を入れても落ち難いスラッシュポケットに変更される。

タンカースの正式名称はウィンターコンバットジャケット。劇中に登場する第2機甲部隊章と2等軍曹階級章付きを再現。5万7200円(バズリクソンズTEL03-3632-2321)

〈クリント・イーストウッド〉が数々の映画で付けた【ロレックス GMT マスター】。

クリント・イーストウッドが出演する映画で、彼の左腕に頻繁に登場するのがロレックス・GMTマスターRef.16753 “ルートビア”。ブラウンとゴールドの2トーンベゼルが特徴のモデルでプライベートでも着用していることから衣装ではなく恐らく私物だろう。

こちらもGMTマスターのコンビだが厳密にはRef.16753ではなく前モデルRef.1675/3。酷似しているが細部デザインが若干異なる(ライター私物)

〈フォレストガンプ〉で再注目された銘品ナイキ【レザーコルテッツ】。

’94年公開の『フォレストガンプ』はトム・ハンクス演じるガンプが恋人のジェニーからナイキ・レザーコルテッツをプレゼントされてランニングの魅力に開眼する物語。アメリカ全土を横断した足元はいつもボロボロのコルテッツだった。

今年でコルテッツ50周年となるレザーコルテッツ復刻モデル。上質なレザーアッパーにアウトソールはヘリンボーン(NIKEカスタマーサービスTEL0120-6453-77)

〈8 マイル〉でエミネムが着用したのは【インデラミルズ】のアンダーウエア。

デトロイトを舞台としたエミネムの半自伝映画である『8マイル』だが、エミネム演じるジミーがMCバトルで着用するのはインデラミルズのサーマルTだといわれている。ちょっとゆるめに着こなすのがエミネム流。着飾らない自然体の姿がカッコ良い。

インデラミルズは米老舗アンダーウエアメーカー。ワッフルニット編みで保温性抜群。左はノーマル1980円、右は肉厚な9.1oz ワッフル2420円(アスTEL03-5779-7908)

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「Lightning2022年5月号 Vol.337」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

進化したSchottの定番、冬のレザースタイルはこれで決まり!

  • 2025.10.30

アメリカンライダースの象徴であるSchottが、原点回帰とも言える姿勢で“本気”を見せた。伝統のディテールに、現代的な技術と素材を融合。武骨でありながらも軽快、クラシカルでありながらも新しい。進化したSchottの定番が、冬のレザースタイルを再定義する。 668US SPECIAL HORSEHID...

「BILTBUCK」の2025年は新素材によって既存モデルを再解釈した革ジャンに注目だ!

  • 2025.11.03

伝統と革新を往来しながら、レザーの魅力を追求するビルトバック。2025年のコレクションは、オリジナルレシピで仕立てた渾身の新素材によって既存モデルを再解釈。質感と経年変化、レザーの本質的な美学を磨き上げ、洒脱な大人たち〈Hep Cats & High Rollers〉へ贈る、進化であり深化の...

宮城県大崎市の名セレクトショップ「ウルフパック」が選ぶ「FINE CREEK」の銘品革ジャン4選。

  • 2025.10.31

宮城県大崎市に、ファインクリークを愛してやまない男がいる。男の名は齊藤勝良。東北にその名を轟かす名セレクトショップ、ウルフパックのオーナーだ。ファインクリーク愛が高じて、ショップの2階をレザー専用フロアにしてしまったほど。齊藤さんが愛する、ファインクリークの銘品を見ていくことにしよう。 FINE C...

渋谷、銀座に続き、ブーツの聖地「スタンプタウン」が東北初の仙台にオープン!

  • 2025.10.30

時代を超えて銘品として愛されてきた堅牢なアメリカンワークブーツが一堂に会するブーツ専門店、スタンプタウンが宮城県仙台市に2025年9月20日オープン! 東北初となる仙台店は北のワークブーツ好きたちにとって待望の出店となった。 珠玉の銘品たちがココに揃う。 ブーツファンが待ち焦がれた東北エリア初となる...

“黒のコロンビア”って知ってる? オンオフ自在に着回せる、アップデートされたコロンビアの名品を紹介!

  • 2025.10.21

電車や車といった快適な空間から、暑さや寒さにさらされる屋外へ。都市生活は日々、急激な気温差や天候の変化に直面している。実はその環境こそ、自然で磨かれた「コロンビア」の技術が生きる場だ。撥水性や通気性といったアウトドア由来の機能を街に最適化し「コロンビア ブラックレーベル」は、都市生活者の毎日を快適に...

Pick Up おすすめ記事

渋谷、銀座に続き、ブーツの聖地「スタンプタウン」が東北初の仙台にオープン!

  • 2025.10.30

時代を超えて銘品として愛されてきた堅牢なアメリカンワークブーツが一堂に会するブーツ専門店、スタンプタウンが宮城県仙台市に2025年9月20日オープン! 東北初となる仙台店は北のワークブーツ好きたちにとって待望の出店となった。 珠玉の銘品たちがココに揃う。 ブーツファンが待ち焦がれた東北エリア初となる...

革ジャンの新機軸がここに。アメリカンでありながら細身でスタイリッシュな「FountainHead Leather」

  • 2025.10.31

群雄割拠の革ジャン業界において、カルト的な人気を誇り、独自のスタイルを貫くファウンテンヘッドレザー。アメリカンヘリテージをベースとしながらも、細身でスタイリッシュ、現代的な佇まいを見せる彼らのレザージャケットは、どこのカテゴリーにも属さない、まさに“唯我独尊”の存在感を放っている。 XI|シンプルな...

宮城県大崎市の名セレクトショップ「ウルフパック」が選ぶ「FINE CREEK」の銘品革ジャン4選。

  • 2025.10.31

宮城県大崎市に、ファインクリークを愛してやまない男がいる。男の名は齊藤勝良。東北にその名を轟かす名セレクトショップ、ウルフパックのオーナーだ。ファインクリーク愛が高じて、ショップの2階をレザー専用フロアにしてしまったほど。齊藤さんが愛する、ファインクリークの銘品を見ていくことにしよう。 FINE C...

革ジャン職人が手掛ける、経年変化するレザーハット気にならない?

  • 2025.10.31

気鋭のレザーブランド「KLOOTCH」のレザーハットラインとしてスタートした「Brunel & Co.」独学のレザージャケット作りで磨いた革の感覚を、“帽子”という舞台で表現する──。自らの手仕事で理想の革を探求する職人が辿り着いた、新たなレザークラフトの到達点。 革ジャン職人の手が導く、生...

生きたレザーの表情を活かす。これまでになかった唯一無二の革ジャン、「ストラム」の流儀。

  • 2025.10.30

生きたレザーの質感にフォーカスし、“バーニングダイ”をはじめとする唯一無二のレザースタイルを提案するストラム。我流を貫き、その意思を思うがままにかき鳴らすことで、オリジナリティを磨き上げる孤高のレザーブランドだ。デザイナー桑原和生がレザーで表現するストラムのモノ作りの哲学、彼が革ジャンを通して描き出...