時間の経過で、時間の経過と共に風合いが増す素材選び。
神奈川県川崎市にあるマンションに住む竹下さん夫妻は2018年に自宅のリフォームを施工。知人の家のリフォームを手掛けていたティープラスターの世界観に興味を持ち、天然素材を活かした空間作りを依頼した。
打ち合わせを重ねて竹下さん夫妻のライフスタイルを把握した上でプロジェクトをスタート。エントランスからリビングまで天井を抜いて、余分な仕切りを減らすことで開放的な空間を意識した間取り変更を行っている。
ティープラスターが手がける空間作りの特徴は、何よりも素材選びにある。無垢の木と鉄、モールテックスなど、時間と共にエイジングが味わえる素材を多用するのである。
もちろん、ただ住んでいるだけで美しいエイジングの過程を得られるわけではない、住人が定期的にメインテナンスを行うことが絶対条件。それはある意味、人工的な素材が中心の家に比べて手間がかかるということ。だから、モノに愛着を持って過ごすことができる人が住むべき家なのだ。
例えば、キッチンのカウンターやリビングに配置されたブラジリアンローズウッドは深い色味が美しい名木だが、天然由来のオイルを使用したメインテナンスを行うことで、艶を増し美しい色気を放つ。モールテックスや鉄の家具も同様、本物の素材にこだわる空間作りの魅力は進化し続けられることにある。
主人の竹下さんはこう語る。
「まだ3年半程度ですが、徐々にいろんな素材の質感の変化を感じられるようになっていることに気づきました。毎日触れるから、そろそろオイルアップが必要だなって思うんですよ。メンテをしてより良い風合いが出るのが楽しいですね。また、晩酌はレジンテーブルですることが多いのですが、自然のデザインを眺めながらお酒を嗜むのが心地良いんです」
リノベからストアデザイン、家具作りまで。本物の素材にこだわる「ティープラスター」とは?
紹介した竹下さん邸を見て、時間を経て空間の魅力が増していく家作りに心惹かれた人も多いのではないだろうか。このリノベーションを手掛けたティープラスターは、横浜に拠点を構え、全国で活躍する工務店。店舗や住宅などの空間作りにおいて、機能性やデザイン性が優れていることはもちろん重要だが、ティープラスターはそういった表面的な要素だけでなく、ユーザーが愛着を持って長く付き合える空間であることを重要視している。では、長い時間を共にしながら大切に付き合える空間に必要な要素とは? ティープラスターの仕事のポイントとして、素材へのこだわりは欠かせない。例えば、竹下さん邸でも使用しているような無垢の木材やモールテックスと言う左官材は、使いっぱなしではいずれ劣化してしまうが、必要に応じてオイルアップなどのメインテナンスを施すことで、新品状態より味わい深い風合いを醸し出す生きた素材なのだ。
「身近なモノにメンテという手間をかけることは、利便性だけを考えれば“無駄”と感じる人もいるかもしれません。しかし、僕たちはそのひと手間に価値があると考えています。自分たちが生活する空間の素材に直接触れて、メンテをすることで愛着が湧き、大切に長く使いたいという気持ちになる。そんな愛着を受け止めてくれるモノ・空間を作ることを意識しています。過度な利便性を追い求めるのではなく、モノを愛するひと手間を楽しむ心の余裕が生活を豊かにすると考えているのです」とティープラスターの代表の水口さんは語る。
ティープラスターは、物件探しから、空間デザインの設計、施工、家具製作までのほぼ全ての工程を一貫して自社で行うことができるため、トータルで世界観を統一した空間をプロデュースすることが可能だ。そして、その背景には水口さんの「建築をエンターテインメントにしたい」と言う思いがあるのだと言う。
「オーダー通りの空間を提供するだけでなく、トータルのコンセプトを決めて素材や家具選びからユーザーと僕たちが意見を共有し、その空間ができるまでの過程にある楽しさを伝えたい。自分が生活する空間やモノを大切にするサスティナブルな暮らしに興味がある人は、是非一緒に理想の空間作りにチャレンジしましょう」
【ティープラスターの仕事①】ハウスリノベーション
マンションや戸建てのリノベーション設計から施工までを一貫して担当。様々なコンセプトに合わせた設計はもちろん、◯◯風ではなく本物の素材・質感に拘った空間づくりを得意とする。オリジナルの家具も手掛けているので、家具を設置した最終的なデザインまで世界観が統一されたプロデュースが可能なのだ。
【ティープラスターの仕事②】店舗デザイン
住宅に加え、アパレルショップや飲食店などの店舗やオフィスの設計、施工、コンサルティングも手掛けている。イメージする空間に最適なテナントの物件選びから行えるので、条件に応じた理想の空間を作り出すことができる。
【ティープラスターの仕事③】オリジナル家具
飽きにくいシンプルなデザインでありながら、荷物置きの機能も兼ね備えたスツール。高さに応じて様々なシーンに対応する。ほぞ組と呼ばれる耐久性の高い作りも◎。3万5200円〜
不揃いの古材の板を貼り合わせたラフな雰囲気で、軽量なので部屋の中で簡単にレイアウトを変えることができるのが魅力。座面のカバーのカスタムも可能だ。18万7000円
優しい淡褐色のポプラが青く透き通るレジンを挟み込むナチュラルな雰囲気が魅力のレジンテーブル。自然が生み出すダイナミックなデザインを感じられる。17万8200円
【問い合わせ】
T-PLASTER
TEL045-516-5910
https://t-plaster.com/
(出典/「Lightning 2022年3月号 Vol.335」)
Text/Y.Kinpara 金原悠太 Photo/N.Suzuki 鈴木規仁
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