V8スーパーチャージャーを搭載したドラッグカスタムのフェアレディZは刺激的!

リベット留めしたオーバーフェンダーに、排気量をアップしたL型エンジンチューンが日本のZカスタムの定番スタイル。だがV8大好きなアメリカ人は、フェアレディZにも躊躇なくV8エンジンにスワップ。アメリカ人ならではの発想で作られた、モアパワー&モアトルクを追求した過激なZの数々を紹介する。

心臓はV8エンジン過激すぎるアメリカンZ。[1971 Fairlady 240Z SUPERCHAGER]

ハコスカやケンメリ、S30型フェアレディZといった旧車と呼ばれるクルマのエンジンを現代のものに換装し、オートエアコンやパワーステアリングを装備。それこそ東京から名古屋という距離を休憩なしで快適に、そして安全にドライブができる旧車を数多く手掛けてきたロッキーオート。

「ロッキーオート」代表・渡辺喜也さん|日本の旧車シーンをリードするロッキーオートの渡辺社長。旧車のエンジンスワップの第一人者であり、最近ではロッキー3000GTやR32ケンメリなど自社開発のコンプリートカーを世に出し、世界的にも注目されている

そんな同社が所有するクルマの中に、なんだかとんでもない1台を発見! ロッキーオートの渡辺社長に伺うと、このクルマはロッキーが提携しているアメリカのファクトリーが製作したもの。5700㏄のV8エンジンにスーパーチャージャーを搭載し、その派手な外装からきっとショーカーかドラッグ専用のクルマかと思いきや、この状態で公認を取得。つまりこれに乗ってコンビニにコーヒーを買いにいくこともできるというわけだ。

中身は本物のドラッグレーサーなので、公道を走行するにはそれなりの覚悟が必要。日本に環境に合わせた熱対策済みだが、それでも発熱量が多いのでさすがに夏場は厳しい。またエキゾーストも超爆音なので長時間の運転は疲れるかも。完全に趣味性に特化したクルマだ

それを渡辺社長に伝えると、日本の公道用に各部に手を加えて熱対策もしているが、渋滞などを考えると普段使いはちょっと難しいとのこと。うーん、残念! でもロッキーオートではこのクルマ以外にもV8を搭載したZを多数在庫しており、日常使いができるものある。

アメリカ車のV8が好きだけど、日本の旧車にも乗りたい…… そんな人にピッタリのV8Z。乗るのに必要なのはお金よりも度胸かも!?

リアには極太のロールケージ。その下のトランクリッドの前方側面には巨大ウーハーを装備する。アメリカで作られたクルマならではの特徴だ
室内もカリカリにいじっているかと思いきや、意外にもストックの雰囲気をキープ。左右ドアにはスピーカーを装着し、運転中に音楽も楽しめる
タイヤはBFグッドリッチのドラッグラジアルで、サイズは275/40R17。ホイールは懐かしのボイド製ビレットホイール。このクルマによく似合う
エンジン換装に始まり、各種チューニ ングや調整はすべてノウハウをもつア メリカのファクトリーで行われている。 正確な馬力は測定しておらず不明だが、まるでバイクのようなレスポンス が狂暴な排気音とともに味わえる。 信号待ちからのゼロスタートでも軽々とホイールスピン、そしてタイヤ跡をベッタリと路面に残すことが可能だ
加速時に視線を変更せずにメーターを確認できるようにするためスーパーチャージャーの裏側に設置した後付けのオートメーター
シフトはドラッグマシンに は定番の自動シフター・B&M社のプロスティックを装着。そのため3ペダルから2 ペダルに変更されている。運転してみると意外にもイージーに扱えるとか

過激仕様と快適仕様、好みに応じて選べる2台を紹介!

1.カルフォルニアイエローのストリートドラッガー。[1971 Fairlady 240Z]

アメリカのファクトリーのオーナーが個人的に製作したV8搭載のZ。エンジンはドライサンプ方式にするなどフルチューニングを行い、ミッションも5速化。NOSシステムも搭載するなど完全にストリートドラッグ仕様。こちらも公認取得済みなので、ナンバーを付けて公道をドライブすることが可能だ。

V8搭載だけでなくピストンやクランクといったエンジンの中身にも手を入れ、また駆動系や足回りもフルチューニングされている。元オーナ ーが採算度外視で作り上げハイパフォーマンス仕様だ
マフラーはマグナフローの2本出し。タイヤサイズはF235/40ZR18、R255/40ZR18。ホイールはWORKのCR-01の18インチ。ブレーキはウィルウッドの4ポッドを装着
シートはリクライニングできるスパルコのR600。シートベルトはシンプソンの4点式。ロールケージで室内を覆う
安全タンクの左側にあるステンレスの輪はNOSタンクの固定用リング。アメリカから輸入する際に税関でタンクを外すよう指示されただけなので、再度装着も可能だ

2.買い物から通勤まで、普段使いもOK![1973 Fairlady 240Z]

買い物や通勤に使いたい! そんな人にお勧めのV8搭載Zがこちら。5300㏄のGM LS327アルミブロック&ヘッドとT56の6速ミッションの組み合わせ。フェンダーミラーやワタナベのホイールで、一見するとシンプルな国産旧車カスタム風なのもポイント。スピーカーとウーハー付きで街乗りも楽しめる。

GMのコンプリートエンジン「LS327」を搭載。排気量は5300㏄で、 公表されている馬力は最大350hp。Zの軽い車体ならこの馬力でも有 り余るほどのビッグパワーだが、扱いやすいようにセッティング済み
輸入した時はアメリカ人好みの外装だった。そのためチンスポイラーやフェンダーミラーなど旧車らしいスタイルに変更をした。見た目はV8を積んでいるとはとても思えない
普段使いで支障がでないようにバケットシートではなくシンプルなレザーシートに。上質な室内空間の演出にも一役買う
室内の左右ドアにスピーカーを装着し、リアにはウーハーを搭載するのが、どのV8搭載Zにも共通したスタイル。V8サウンドにも負けない音を響かしてくれる

V8搭載Zを試乗してみました! アクセルを踏み込むには
度胸が必要!

エンジンはコルベットLS1で排気量は5700㏄。エンジンに少し手を入れた、ちょっとヤンチャなV8搭載Zに試乗してみた。

左ハンドルのため、乗り慣れていない人には違和感があるかもしれないが、そこは慣れ。クラッチはかなり重めだが、強烈なトルクで足をペダルからゆっくり離すだけで走り出していく。重たいクラッチを別にすれば、その乗り味は快適そのもの。アクセルを踏み込む勇気はないので、少しずつペダルに力をいれていくと、下からモリモリと湧き出るトルクでクルマが力強く押されていく。ブ厚いトルクに軽い車体。これが楽しくないはずがない!

ただし、すぐに法定速度を超えてしまうので踏めるシチュエーションが限られてしまうのが残念なところ。そこで提案するのが早朝の高速道路。V8サウンドを堪能しながらそこそこのペースでクルージング……なんていうのが最高に気持ちいいんじゃないかな!

L型とはまた違った魅力をもつV8エンジン。デロデロとした V8サウンドを響かせ、小柄な車体が振動でブルブルと震え ている姿は見ているだけでもテンションがあがる!
Zのエンジンルームに収まったコルベットのLS1エンジン。排気量は5700㏄のチューニングエンジン。ミッションは6速。ブレーキはリアをディスクにするなど強化済み
室内はほぼストック状態のZ。ハンドルなんて純正のウッドステアリングだ! ちなみにシート も純正に見えるが、実はパワーシートという快適仕様。エアコンも装備されている

【問い合わせ】
ロッキーオート
TEL0564-66-5488

(出典/「Lightning 2021年6月号 Vol.326」)

この記事を書いた人
Lightning 編集部
この記事を書いた人

Lightning 編集部

アメリカンカルチャーマガジン

ファッション、クルマ、遊びなど、こだわる大人たちに向けたアメリカンカルチャーマガジン。縦横無尽なアンテナでピックアップしたスタイルを、遊び心あるページでお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

Pick Up おすすめ記事

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...