オールド・ディフェンダーをフルレストアして再生する楽園。
英国はもとよりヨーロッパ車を代表するヘビーデューティカーといえば、ランドローバー・ディフェンダーをおいてほかにないだろう。
高いオフロード走破性を最優先したスペックは、ワーカーやハンター、それにミリタリーヴィークルとしても採用され、その実力は世界中に多くのファンを持っている。
しかし、そんなディフェンダーも2016年に生産終了した絶版車。
そんな名車の歴史を絶やしたくないと、ポルトガルはリスボンにある「クール&ヴィンテージ」ではオールド・ディフェンダーを中心にフルレストアをしている。
そんな名車の再生工場に突撃取材。そこはオールド・ディフェンダーの楽園であった。その内部を紹介しよう。
ファクトリー内は思いのほかクリーンで整然としているのが好印象。常に数台のプロジェクトが同時進行していて、年間で10〜12台のレストアを行う。
基本的にベース車両を手に入れたらすべてをバラバラにして組み上げるという、いわゆるフレームオフレストレーションがここの真骨頂。もちろん手作業だ。
レストア前のディフェンダーの運転席。むき出しの鉄板と、シンプルな装備がヘビーデューティなクルマをしっかりと表現する。快適装備は皆無である。
ここでフルレストアされたディフェンダーには、ここんちのエンブレムが装着される。現在ではヨーロッパ各地だけでなく、アメリカやアラブにも輸出している。
これから組み上げるフレームにはご覧のようなアートワークが。完成したら見えない部分だが、ちょっとした遊び心を加えることも忘れない。さすがだね。
ホイールベースは2種類だけど、ボディバリエーションはフルオープンからピックアップトラック、2ドア、4ドアなど豊富に存在した。
ショートホイールベースのフルオープンタイプをベースにフルレストアして、幌を装着するスタイルがここの得意技。これはこれからレストアが始まる前の車両である。
屈強なクルマを作る人はやはり屈強な出で立ちであった。といってもひとつひとつ繊細な作業をしているからこそ、クールに仕上がる。
幼少期を過ごしたモザンビークで出会ったシリーズ2のランドローバーを運転したことで、その魅力にハマッたここのオーナーのリカルド。まさに好きなことを仕事にする男であった。
ディフェンダーのエンジンは直4やV8、それにディーゼルなど多種多様。すべて車体から下ろしてオーバーホールされる。
フレームとファイヤーウォールのみという丸裸の状態。基本的に今も英国に在庫している純正パーツを使って組み上げている。
レストアされたモデルのエンジンルーム。パワーフィルターなど、現代のパフォーマンスパーツも駆使して軽くアップデート。もはや新車のクオリティである。
ファクトリーの外にはここで仕上げた車両たちが。ヴィンテージモデルからオールドモデルまでどれも新車と変わらないコンディションに。ファンにはたまらない光景である。
ノスタルジックで強さも感じる佇まいの完成車。
当時のスペックをそのまま現代に甦らせるフルレストレーションによって生まれ変わった完成車がこれ。ベースになるのは110のピックアップトラックで、シングルキャプというこれまた男らしい仕様。
ペイントは基本的に当時の純正カラーを使い、まるでデッドストックのような雰囲気。基本的にランドローバーシリーズ1、2、3、そして’80年式以降のディフェンダーがここで甦る。
◆
ポルトガルにこんな再生工場があるなんて、ちょっと感動してしまった。非常に遠いので訪れることはなかなか難しいかもしれないが、ホームページもカッコいいのでぜひ覗いてみてその空気感を味わってみてほしい。
【問い合わせ】
クール& ヴィンテージ
TEL+351-21-583-4625
http://www.coolnvintage.com
(出典/「Lightning 2019年2月号 Vol.298」)
Text/S.Koike 小池彰吾 Photo/T.Okabe 岡部隆志
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