ミッドセンチュリー家具とアートが織りなす西海岸の空間。
ワークやミリタリー、アウトドアをベースに、自身の敬愛するサーフやネイティブアメリカンのカルチャーを絶妙にブレンドするモノ作りを得意としたキャルオーラインの金子さん。その自宅も様々な国や時代のものがセンスよくミックスされていて、非常に個性的だ。
ベースはバブル期に建てられたマンションで、子供が生まれるタイミングでフルリノベーションしたそう。
「買い集めていたヴィンテージ家具があったので、それらがぴったりと合うサイズでリフォームしたんです。いつでも引っ越しができるように、壁にできるだけ備え付けの収納棚をなくしたのもこだわりですね。あとは無垢のウォルナットを使った床でしょうか。ここは安い木材を使用せず、固くて節の少ない上質なものを選びました。いかにも“西海岸をイメージしました!”みたいな明るい感じが少々苦手でして(笑)。
アメリカ一辺倒ではなく、ヨーロッパの家具や日本のブランドも調和を考え選んでいます。木材の床や家具とオフホワイトの壁だけではシンプルすぎるので、アクセントとして明るいカラーのアートや洋書、ネイティブアメリカンの工芸品などを置いています。これだけで全然見え方が違うんです。
またあえてモノが見えるように収納しているのも意識しています。やっぱり好きなモノがいつでも視覚に入るっていうのは最高じゃないですか(笑)。家族4人で暮らしていますし、まったく生活感のないような空間よりも、これくらいモノが溢れていた方が自然で落ち着くんです」
随所に飾られたポップアートが空間に華を添える。
良質なウッドとクリーム色の壁をベースにしたシンプルな空間なので、随所にあるアートが活きている。巨匠のポップアートもあれば、アーティストのライブポスターを得意とするフランク・コジック、東京五輪など、バラエティ豊かだ。
キッチンスペースには、ハーマンミラーでテキスタイルの統括をしていたアレキサンダー・ジラルドが、深く携わったミュージアムのポスター。
こちらは玄関スペース。ピーター・マックスの手掛けたザ・グレイトフル・デッドの1988年のツアーポスター。
レストルームにもポスターが飾られている。名作ファニチャーをデッサン調のイラストで表現しているのがいい。
モノが多くても整頓することで生まれる美しい空間。
取材時に金子さんがこだわりのひとつとして挙げていたのが、あえてモノを隠さないということ。生活感のないシンプルな空間も悪くないが、好きなものがいつでも目の届くところにあるという価値観もうなずける。ただ乱雑に置くのはなく、金子さんのようにジャンル毎にうまく整理整頓してディスプレイするのが大事。このセンスは参考にしたい!
こちらはベッドルーム。実際にペンドルトンのブランケットをデイリーユースしているのが好印象。使っていないブランケットは、横に畳んでディスプレイすることで立派なインテリアに。趣味のひとつであるサーフィン関連の写真集もうまく収納していた。
ウォークインクローゼット。特に圧巻なのが、パタゴニアのコレクション。アメリカ製のヴィンテージを中心に、モデル毎に並べている。これだと何がどこにあるかが見分けやすいし、統一感も出るので、ゴチャゴチャとしたイメージにならない。
大のインディアンジュエリー好きとしても知られる金子さんのコレクションが並んだスペース。バングル、ネックレスといった具合にまとめている。素晴らしい内容であった。
生まれ育った場所であり、海にも都心にもアクセスのいい千葉に住んでいる金子さん。さきほどのポスターと同様に、部屋のアクセントとしてサーフ系の写真集をうまくディスプレイしているのが好印象。
かさばりがちな本をうまくこなした好例と言えるだろう。
金子さんはヴィンテージと現行を問わずコンバースやVANSなどのアナログなスニーカーを好む。靴棚にあえてヒール部分がわかるように収納しているのもポイント。
子供用のチャックテイラーはヴィンテージ。子供が嫌がったのでインテリアになったのだとか。
- area: 千葉県
- name: 金子邸
- data: 2LDK(マンション)
(出典/「Lightning 2018年4月号 Vol.288」)
Text/S.Sato 佐藤周平 Photo/K.Hayashi 林和也
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