【リノベーション倉庫⑨】英国、バイク、レザージャケット……ヴィンテージ感に溢れる巨大倉庫。|富山・富山市

最近ではブーツブランドも立ち上げ勢いに乗る「アディクトクローズ」。東京店に続いて2号店をオープンさせたのは北陸・富山。ブランドを構成する世界観を今まで以上に表現するためには、もっと大きなスペースが必要だったという彼らが行き着いた、富山にある“巨大倉庫”を使った店舗を紹介しよう。

至る所にあるヴィンテージバイクの存在感。

内装にあしらわれたレンガ壁や古材を使った板壁は「ロバートハウス(http://robert-house.com)」の施工によるものでブランドのクラシ カルな世界観を忠実に表現。左の青いサインボードは「NUTS SRTWORKS(http://www.nutsartworks.com/)」が手掛けた

これまでになかった英国のヴィンテージスタイルを提案するという切り口で、いま勢いのあるブランドの一つである「アディクトクローズ」。新宿・四ツ谷に拠点を構えているが、第2号店は富山にある。

店内を美しく飾る1939年式BSA B25とコンラッドリーチのアート。まるでショールームのような一角

旧い倉庫をリノベーションした店内は、まるで学校の体育館を彷彿させる広さを誇る。もともと自動車の修理工場だったというだけあってオイル染みなどが残る味のあるフロアが特徴で、修理販売もしているヴィンテージバイクともマッチしている。

ほとんどの什器がアンティークを使っているため旧い倉庫との相性も抜群。ライダースジャケットを美しく引き立てている

またレンガブロック、古材、コンクリート、鉄といったマテリアルで構成された店内は、倉庫の魅力の全てを包括しているといっても過言ではない。

富山店の店長でありながら、革の選定から裁断までを担う柳田光一さん。愛車は1949年式のベロセットMAC

「東京の本店も十分広いのですが、どうしても東京だとスペースに制限があります。そこで将来的にメーカーとしての多彩な機能やもっと自由な表現を可能にするため過去に店を構えていた富山に店をオープンしたんです」

と語る代表の石嶋さん。現在は倉庫の半分をショップスペースにしてカウンターで区切り、残りをレザーの裁断を行うファクトリーやストックヤードとして広い空間を有効活用。とはいえ、それでも店内は、贅沢に商品群をレイアウトしているため、訪れた人はゆっくりとショッピングができ、アディクトの世界観を堪能できるのだ。

ブックコーナー&カフェスペースが設置されているのも、広い空間ならでは。お客さん同士の談笑スペースとして活用される
ヴィンテージのトルソーが着用するのはシープスキンのAD-02(16万2000円)。伝統的な英国ライダースのデザインを継承しつつ、アディクト仕様にリファインしている人気モデル
味わい深いコンクリートフロアが印象的な店内。旧車を乗せた旧いペルシャ絨毯と木台がさらなる重厚感を演出する
屋根裏のフロアには自動車工場だった時の名残が見られる。いかにショップフロアがリノベされたかがわかる
まるでロンドンにある老舗ショップのようなエントランス。外装で唯一改装した部分で、年代モノの扉や窓枠を使用している
木台の上に鎮座するのは1948年式のトライアンフ5T。英国モーターサイクルは、ブランドを構成する要素の一つだけに店内の随所に飾られる。服と共にヴィンテージバイクが見られるのもアディクトクローズならでは
壁際の棚にはFUSTY WORKS(http://fustyworks.com)によるアートやドライフラワーなどが添えられ無機質な空間をさりげなく彩る。細かな部分の演出もお見事!
レンガブロックの壁に飾られるのは、東京本店でもアイコンとして使われているアディクトクローズのアートワーク。ベロセット・ヴェノムのタンクを使用している

大きな空間を贅沢に使った店内は、もはやショップというよりショールームといった雰囲気。随所に飾られる什器やラグなど戦前の世界観で統一しているので、倉庫がよりクラシカルに見える。富山を訪れる機会があれば、もはや観光スポットとして足を運ぶ価値ありだ。

【DATA】
ADDICT CLOTHES 富山店
富山県富山市下赤江町1-3-18
TEL076-471-6656
営業/12:00~20:00
休み/月曜
http://addict-clothes.com

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(出典/「Lightning 2018年2月号 Vol.286」)