中古市場で人気! いすゞの乗用車の市場価値と魅力を徹底調査!

  • 2023.02.21  2020.06.09

現在ではトラックの製造がメインとなっているいすゞ自動車が、かつて製造していた乗用車には魅力溢れる車両が数多く存在する。今回はそんないすゞが製造していた小型乗用車をフィーチャー!

お話を伺ったのはこの方・・・「いすゞスポーツ」代表取締役社長・岡根浩二さん

プライベートでも若い頃からいすゞ車に乗り続けているという岡根さん。これまでの販売台数も非常に多く、特にいすゞ車に関しては圧倒的な在庫量とノウハウを有する。

ジウジアーロがデザインを担当し、いすゞが製造した乗用車の傑作。

日本初の本格的なパーソナルクーペとして、’68年に登場した117クーペは、ジウジアーロによる斬新なデザインと流麗なボディラインを持ち、日本の自動車史に名を残す名車と言われている。

ベレットの販売で小型乗用車部門である程度の成功を収めたいすゞ自動車は、次なる目標として中型車開発を企画する。ボディデザインをイタリアのカロッツェリア・ギアに依頼し、ギア社内での開発コード「No.117」としてセダンとクーペの開発が同時に進められることとなった。クーペのデザインは、当時ギアに移籍してきたばかりのジウジアーロが担当。これが後々まで続くいすゞとジウジアーロの蜜月関係のスタートとなった。ちなみにこの時同時に開発したセダンは、後にフローリアンとして市販されている。

1970 ISUZU / 117 COUPE|ハンドメイドモデルは人気沸騰のレアモデル。

いすゞスポーツが所有しているのは、 ’70年式のハンドメイドモデル。イタリアのクロモドラホイールを装着しているほかは、基本的にストック状態をキープした個体。フルレストアされたハンドメイドモデルは、 500万円を超えるプライスとなる場合もあるそうだ

プロトタイプは’66年3月のジュネーブショーに「ギア/いすゞ117スポルト」として発表。コンクールデレガンスでアワードにも輝くとともに、ヨーロッパでも高い評価を受け、その後同年10月、東京モーターショーでのセカンドプロトタイプ「117スポーツ」を経て、一気に市販化への機運が高まってきた。

117スポーツは細いピラーや複雑なカーブを描くボディラインが特徴で、当時のいすゞの自動車生産設備では、これをプレスで再現することは不可能だった。そこで、ギアを退職し自身のデザインオフィス、イタルデザインを立ち上げたジウジアーロ自らが量産化に向けたリデザインを担当。それでも量産は難しく、大まかなプレスをした後は、いすゞ社内の職人によって手作業でボディワークが行われることとなったのだ。初期モデルがハンドメイドと呼ばれるのは、この手作業によるフィニッシュに由来している。

スポーティな車体に合わせて、エンジンはこの車両のために新開発された。いすゞ初のDOHC エンジンとなったG161W型1.6リッターユニットは、最高出力120馬力を発揮し、最高速度190㎞/h、0-400加速は16.8秒と、当時の水準としてはかなりの高性能を誇った。

こうして’68年にデビューを果たした117クーペは、日産サニーが約50万円、トヨタクラウンが約100万円だった時代に、172万という非常に高価なプライスを掲げて販売された。ちなみに当時の大卒初任給から現在の感覚で1000万円以上に相当する高級車だった。

その後’73年、’77年に大きなデルチェンジを行いつつ、117クーペは’81年までにおおよそ8万5000台が生産されたが、’72年までのハンドメイドモデルはたった2458台しか生産されなかった、名実ともに昭和を代表する名車となっている。

117クーペは大きく分けて3種類!

117クーペは13年にわたって製造されたが、大きく分けて3つのモデルに大別できる。そこで簡単に判別するために、最も分かりやすいヘッドライト周辺の違いをチェック!

【ハンドメイドモデル】

’68年のデビューから’72年までの4年間は、職人による手作業で車両を製造しており、ハンドメイドモデルと呼ばれる。最もジウジアーロのデザインに近いボディラインを持ち、現在でも人気が高い。’70年には日本初の搭載となる電子制御式インジェクションを搭載したエンジンが登場する。

【丸目ヘッドライト】

GMとの提携によって量産化が進んだモデル。’73年から’76年まで製造された。ボディ形状が全体的に変わったほか、フロントウインカーがバンパー上から下に移動、テールランプも大型化された。エンジンは1.8リッターのDOHCとSOHCが搭載され、DOHC車には電子制御インジェクションも選択できた。

【角目ヘッドライト】

ヘッドライトが角目四灯に変更となり、バンパーは樹脂でカバーされるなど、ボディはそのままに艤装パーツに大きな変更が施された。’77年から’81年まで製造され、後継のピアッツァ登場で生産を終了。エンジンは’78年より2.0リッターに拡大されたほか、2.2リッターディーゼルエンジンも登場した。

いすゞの乗用車の代表車種は今なお人気でプライスも高値安定傾向!

ベレGにピアッツァ、ジェミニと名車揃いのいすゞ乗用車。すでにしっかりとレストアされた個体はかなり高値で取引されている。ここではいすゞスポーツ岡根代表に代表車種の平均的な価格を聞いてみた。

1970 ISUZU /BELLETT GTR|ツインカムエンジンを搭載した本物のベレGはやはり人気。

117クーペと並んで人気のモデルが、ベレットGTR、通称ベレGだ。本物は1400台程度しか存在せず、現存台数は400台前後、その中でも実働状態にあるのは200台くらいではと岡根さん。個体により状態の差が大きく、価格も200万〜500万円と幅広い。

1985 ISUZU / GEMINI 1800ZZ/R|ベレG のDNAを継承したジェミニのホットモデル。

ジェミニはベレットの後継モデルとして’74年に登場。デビュー当初は丸目二灯だったが、’79年のマイナーアップデートで角目二灯へと大幅な変更を受けた。写真は1.8リッターツインカムエンジン搭載のZZ/Rというホットモデル。競技に使われていた個体は傷みも多いケースが多いので、ノーマル車がオススメ。価格的には60万〜150万円程度が相場となる。

1986 ISUZU / PIAZZA NERO|ティアドロップ形状のボディを持つジウジアーロの傑作。

ジウジアーロデザインの空力に優れたボディを持つハッチバッククーペとして’81年にデビューしたピアッツァ。取材車両はヤナセで販売された兄弟車ピアッツァ・ネロで角目四灯ヘッドライトとなるのが特徴。年式やグレードによってターボやツインカムモデルもある。価格的には状態やグレードによって60万〜150万円程度。

ここに足を運べば往年のいすゞの乗用車に出会える!

すでに絶版になっているいすゞの乗用車をメインに国産旧車を幅広く取り扱っているイスズスポーツ。米軍横田基地からもほど近い羽村市にあり、店舗には常に数十台の在庫があり、中でもベレットや117クーペに関しては国内屈指の流通量を誇る。

【DATA】
ISUZU SPORTS
東京都羽村市富士見平2-1-1
TEL0800-800-4117
営業/10:00~19:00
休み/火曜

ISUZU SPORTS

(出典/「Lightning 2020年6月号 Vol.314」)

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