ロレックスもオメガも、いま人気のヴィンテージウォッチは実は“アメリカ育ち”だった!

  • 2021.10.24  2020.05.22

ヴィンテージウォッチの花形となっているロレックスとオメガ。ともにスイスを拠点とする時計メーカーであるが、実は人気モデルのいくつかは、アメリカと密接な関係があったことをご存知だろうか?

その代表格が言わずと知れたロレックスのGMTマスターとオメガのスピードマスターだ。前者はパンアメリカン航空のパイロットのために開発され、2つのタイムゾーンがひと目でわかる画期的な機構で1955年に登場。航空機による大陸間旅行が広がり始めた時代背景もあり、当時のアメリカ最大手航空会社であった同社の公式時計として採用された。一方の後者は人類が初めて月面に立った1969年のアポロ計画で、正式採用されたのはあまりにも有名だ。

いまヴィンテージウォッチ市場で人気をを集める4つのモデルの“アメリカ育ち”なヒストリーを見てみよう。

1.パンアメリカン航空の依頼で開発された名作!【ROLEX GMT-MASTER(ロレックス/GMTマスター)】

当時は大型旅客機が投入され、大陸間 旅行が広がり始めた。そのためひと目 で2カ国の時刻がわかるのは重要だった

1955年にリリースされ、今も続くロレックス唯一のパイロットウォッチであるGMTマスター。当時のアメリカ最大手航空会社であったパンアメリカン航空からの依頼で開発され、24時間計と24時間目盛り入ベゼルインサートを備えた回転ベゼルによって、ローカルタイムと別のタイムゾーンの時刻が表示できる画期的な機構を装備した。1955年のリリースとともに同社で正式採用された。この個体は初期モデルのRef.6542である。449万8000円(クラウンマニアックス トウキョウ TEL03-6260-9913)

ファーストモデルでは回転ベゼルが、プレキシ ガラス製のため、オリジナルで残っているもの は希少。昼間を表すレッドと夜間を表すブル ーの2色がアメリカっぽい。赤黒カレンダー

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2023年04月21日

2.カーレースの聖地に敬意を払ったモデル名。【ROLEX COSMO GRAPHDAYTONA(ロレックス/コスモグラフ・デイトナ)】

ロレックスの象徴であるコスモグラフ・デイトナ。このネーミングは、アメリカ・フロリダ州にあるカーレースの聖地、デイトナビーチに由来する。このビーチは固く締まっているのが特徴的で、20世紀初頭からカーレースが盛んに行われ、数々のレコードが生まれた。1959年に誕生したデイトナ・インターナショナル・スピードウェイがオープン。ロレックスは、オフィシャルタイムピースを務めたこともあり、カーレースのドライバー向けに開発したコスモグラフのアメリカ市場向けモデルに、デイトナという名を与えたと言われている。それが後に、世界的に広まったようだ。こちらは、プロトモデルと言われる激レアなRef.6240。1100万円(クラウンマニアックス トウキョウ)

当モデルは第3世代のデイトナが発売される前の数年間のみ存在したRef.6240。防水性を高めるスクリューロック式をいち早く装備したことから、プロトタイプと言われる

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2021年10月24日

アメリカ仕様はブレスレットも違う!

ロレックスにとって北米市場は大きなマーケットであったため、独自の仕様やパーツなども流通していた。

アメリカモデル

アメリカのブレスはアメリカのC&I社が製作。中央に穴のあるリベット形状も特徴だ。

スイスモデル

こちらがスイス製で一般的に流通していたもの。バックル裏の刻印にもSWISSとある。

3.アメリカ空軍の功労者へ贈られた特別な仕様。【ROLEX DATEJUST”THUNDERBIRD”(ロレックス/デイトジャストサンダーバード)】

現在は廃盤になってしまったが、2000年代までラインナップされていたデイトジャストシリーズの通称サンダーバード。これはアメリカ空軍のアクロバティックチームである『サンダーバーズ』の隊長ドン・フェリスの引退を記念して、回転ベゼルを搭載したデイトジャストをオーダーしたことが始まりだと言われている。専用のリファレンスを振り与えられたが、サンダーバードとはあくまでニックネーム。こちらは第3世代のRef.1625で、希少な金無垢のミラー黒文字盤。300万円(クラウンマニアックス)

デイトジャストシリーズで唯一回転ベゼルが搭 載される。ブラウンに経年変化したトロピカル ダイアルなのも魅力的である

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2021年10月24日

4.人類初の月面着陸時に装着されたムーンウォッチ。【OMEGA SPEEDMASTER PROFESSIONAL(オメガ/スピードマスタープロフェッショナル)】

実際にアポロ11号に搭乗して月面着陸に貢献 した宇宙飛行士、バズ・オルドリンの当時の写真でも、その左手首にしっかりとスピードマスターが確認できる

オメガの象徴であるスピードマスターは、1957年にシーマスター、レイルマスターとともに発売。タキメータースケールを持つ画期的なクロノグラフモデルであり、レーシングカードライバーに向けて設計された。ムーンウォッチとして設計されてなかったが、セカンドモデルのRef.CK2998をNASAの宇宙飛行士が購入し、船内で使っていたことから急接近。そして人類初の月面着陸を果たしたアポロ11号でも正式採用された。この個体は4thモデル。98万円(スイートロード TEL044-544-8177)

1965年製4thモデル。このモデルまでオメガのロゴが立体的になっている。そのため市場では4thまでの人気が特に高い
ツイストラグと呼ばれるケースの形状も4thモデルまでの大きな特徴。Ref.105.012でCal.321を搭載する。その圧倒的な性能からNASAで正式採用された

スイス生まれのアメリカ育ち。そんなバックボーンが人を惹きつけるのか、いずれもヴィンテージウォッチの人気モデルとして広く愛されている。時計を選ぶ際、そんな時計にまつわるヒストリーを調べてみてはいかがだろうか。

▼ロレックスについて詳しくはこちらをチェック!

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2021年10月24日

(出典/「Lightning 2020年5月号 Vol.313」)

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