イタリアデザインのボディにアメリカ製のエンジンを搭載した「GT5」。
1971年に登場したデ・トマソ・パンテーラはイタリアとアメリカの両要素を兼ね備える稀有なスポーツカーである。’60年代後半、フォードの副社長だったイタリア系アメリカ人のリー・アイアコッカが親交のあったデ・トマソのオーナーと共同でスポーツカーを開発。そんな経緯で誕生したパンテーラはフォードGT40をモチーフとしたイタリアデザインのボディにフォードのV8をミッドシップ搭載する、良いとこ取りの混血車なのだ。
40代以上の世代には懐かしいスーパーカー消しゴムにもなった名車だけにストックが主流だが、このGT5のオーナーである「リスキービジネス」代表・岡田さんは、車高を下げカーボンパーツを多用したレーシーなスタイルにカスタム。オーバーフェンダーを装備したスタイリングは攻撃的な雰囲気を醸し出す。しかし、このマシンはサーキットでも普段乗りの足としても活躍しているのだ。
「サーキットで本気で勝つにはさらにチューンが必要ですが、ストックをフルバランシングしたエンジンは十分恥ずかしくない走りができるし、このマシンはどこでも走れることが大前提。急に遊びに行こうとなってもすぐに走り出せる。嫁さんが運転するくらいですから(笑)。スポーツカーは走れなければおもしろくないでしょう」
パンテーラの常識を覆す、カスタムビルドのストリートレーサーのディテールを拝見!
そんな岡田さんによってこだわりのカスタムを施された「GT5」。どんな仕様なのか、細部を細かくみてみたいもの。さて、どんな姿なのか、全容を見ていこう。
1.エンジン
FORD351クリーブランドをフルバランシング。8連FCRがレーシーな雰囲気。フルチタンのエキゾーストは排気干渉を意識してセンターで繋がる対称な作り。
2.マフラー
本来ナンバープレートを装着する位置からサイレンサーのエンドを出した斬新なカスタム。リスキービジネスの定番メニューになりつつあるとか。
3.インパネ周り
インパネ周りはカーボンに変更し、従来乗車席の横に立てに並ぶメーター類をタコメーターとスピードメーターの左右に配置している。
4.フロント
ヘッドライトは本来リトラクタブルだが、グリル内に埋め込んだ固定式ライトに変更。オーバーフェンダーはカーボンで製作したオリジナルパーツだ。
5.足回り
エアサスで車高を下げ、エンジンフードからは8連FCRキャブレターのファンネルが顔を出す攻撃的なスタイル。ワイドな足回りとオーバーフェンダーが岡田さんのこだわり。F10J-17インチ、R15J-17インチのホイールはワンオフで製作。
ちなみに、手に入れた際の姿がこちら。
15年前に手に入れた頃の状態。GT5のストックに近いこの頃と比べると、現在がいかに攻撃的なカスタムがされているかが一目でわかる。
過度なチューンは施していないため街乗りで日常的に使用している。地を這うような低い乗車ポジションのドライビングプレジャーは格別だろう。
【問い合わせ】
RISKY BUSINESS
ハーレーとクルマのカスタムショップとしてスタートしたが、いつの間にかクルマ一色に。パンテーラを中心にスポーツカーのカスタムを行い、全国のパンテーラ乗りの駆け込み寺的な存在になっている。
愛知県名古屋市中川区打中1-121
TEL052-890-3206
http://www.facebook.com/RiskyBusinessColtd
(出典/「Lightning2020年2月号 Vol.310」)
Text/Y.Kinpara 金原悠太 Photo/D.Katsumura 勝村大輔
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