元プロスケーターが辿り着いた、タイダイ染め。
自身のブランド、anthisiで職人として活動する豊岡さん。以前はプロスケーターとして活躍していた経歴を持つ。
「スケートボードは9歳の頃からやっているので、自然と海外の文化に触れる機会が多かったんです。その中で沖縄の友人プロライダーからタイダイ染めのことを教えてもらいました。最初は遊びの延長線上でやっていたんですが、ヘルニアを患ってからプロ活動が満足に出来なくなってきたので、それを機に本格的に学ぼうと、染色家の大森健史さんに師事して活動の幅を広げていきました」
そこからanthisi名義で自らの作品をブランディングし、数々のブランドとコラボや、海外取引をするにまでに成長していった。
「PREMIUMからコラボデッキを出した時は本当に嬉しかったですね。タイダイ染めに出会えたのもスケートボードのおかげなので。それと、最近では海外からもオファーが来るようになりました。染めるものはアパレルよりも大型のタペストリーとかが多いですね。今はこういう逆輸入的な動きがすごく面白いです。日本には着物があるし、旧くから染色文化が根付いていて、当時から繊細なものを製作していたので、そういうジャパン・プライドを大切にして、日本人にしか出せない柄を追求していきたいですね」
思わず見惚れてしまうanthisiの繊細な染め表現たち。
螺旋状に広がる柄が美しいパーカ。ブランド名の“anthisi” は、この柄がまるで開花を表現しているようだということで、ギリシャ語から引用したんだそう。
タイダイ染めにおいて最も重要な要素のひとつ。色を作る豊岡さん。こうして配合を微調整することで緻密な色表現を可能にしている。
全てのanthisiのTシャツには、首もとにブランドロゴが入る。開花前の蕾を表現しており、染めによって花開くという意味を込めている。
壁に飾ったり、額装するにはぴったりなタペストリー。中には直径3m以上の大きなものも。アーティストのステージ装飾に使うこともあり、過去にはWANIMAを担当したことも。制作依頼はほとんどが海外からなんだとか。
カナダのスケートボードブランド、PREMIUMとanthisiのコラボレーションデッキ。彼が作り出した繊細な染め模様が落とし込まれた、芸術品のような一枚。中には豊岡さんの名前がプリントされたシグネチャープロモデルもある。
ムラサキスポーツの45周年記念特別モデルとしてリリースされたSALOMONとのトリプルコラボレーションモデル。彼のアートワークとサロモンスノーボードの最新テクノロジーが融合。他にブーツもリリースしている。
ビギナーでも挑戦できる!タイダイ染めのマル秘テクニック。
道具を揃えるもの大変そうだし、初心者にはハードルが高いと思われがちなタイダイ染めも、実は意外と簡単に道具もそろい、手軽に染めることができる。そこでanthisi に初心者でもトライしやすい染めテクニックを伝授してもらった。
準備&道具
染料(今回はベストカラーの直接染料を使用。色は自分の好みで揃える。何色あっても良い)、Tシャツを留めるための輪ゴム、Tシャツを入れるためのトレイを用意しよう。
STEP 01 硬く絞った無地の白Tシャツを用意してつまむ。
まずは真っ白の無地Tシャツを用意。素材は厚手であればあるほど染めにくくなるので、最初のうちは薄手の生地の方が無難だ。それを濡らして硬く絞ったら真ん中をつまもう。
STEP 02 グルグルと回して八角形になるように輪ゴムで止める。
Tシャツの真ん中、渦の中心となる部分を指でつまんでグルグルと回していく。この時にシワを丁寧に入れたり、乱雑に入れたりして自分らしさを取り込んでいくのがポイント。
STEP 03 トレイに乗せてピザの形に染料を入れる。
トレイに乗せてピザの形(三角形)に染料を入れる。この時に染
料を入れる幅や場所を変えることで、人とは違った作品に仕上がっていくので、好きなところに好きな色を入れてみよう。
STEP 04 4時間放置して色止め剤に浸す。
染料を入れ終わったら素材に染み込ませるため4時間ほど放置する。その後水洗いをして、色が出なくなるまで洗ったら、色止め剤に浸してすぐに洗おう。浸す時間はわずかでOK。
FINISH!
最後に洗濯機で洗って乾燥させたら出来上がり。するとこのような螺旋状の模様が出来上がる。ステップ2とステップ3の過程を工夫すれば柄は無限大なので、自分だけのオリジナル模様に挑戦だ!
※掲載情報は取材当時のものです。
(出典/「Lightning 2019年10月号」)
Text & Photo/Y.Yoshida 吉田佳央 問い合わせ/ anthisi email heartbook_223@yahoo.co.jp Instagram@toyookakousei
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