JDM(日本仕様)車はアメリカでのステイタス。
クルマイジりは「ない物ねだり」がその根底にあるので、日本人はUSDMに憧れ、アメリカ人はJDMに憧れるという構図がある。なのでアメリカの日本旧車好きは、日本仕様にしか存在しなかったパーツを欲しがる傾向があり、近年の日本旧車人気は高まりを受け、右ハンドルのJDM車その物を輸入する強者も増加中だ。
北米にも輸出されていた2代目スターレットだが、丸目グリルの前期型は北米仕様に存在しないため、アメリカ人にとってこのクルマはかなりレア。本物JDMならではの存在感だ。
西海岸で「トヨタ スターレット」が人気のワケ。
この「スターレット」のオーナーは、LA近郊でボディショップを営むフィリピン系アメリカ人。じつはアメリカの日本旧車シーンにおいて、フィリピン系移民の存在は重要なのだ。
80年代にフィリピンからやってきた彼らは、母国で圧倒的なブランド力を持ち、いまだに人気が高く古いトヨタ車が、アメリカでは無価値なクルマとしてジャンクヤードに山積みになっているのを発見。セリカやスープラは別だが、スターレットやカローラといった車種を綺麗に仕上げ、価値を高めていったのだ。
なかでも「スターレット」は人気が高い車種で、エンジンスワップに当時物ホイールを組み合わせた、ボーイズレーサースタイルでカスタムするのがお約束。
そうしたスタイルが仲間内で定番化していたこともあって、このKPのオーナーは右ハンドルのJDMスターレットをベースにすることを決めた。スターレットは北米輸出されていたが、だからこそ右ハンドルにフェンダーミラーを持つJDM車は格別の存在なのだ。
ここ数年、北米輸出されていなかったスカイラインをアメリカで乗るのも流行中で、右ハンドルの日本旧車が西海岸を中心に増え続けている。それが例え無改造のノーマル車であっても、本物JDMには圧倒的な価値があるという。いま、アメリカの日本旧車好き達の間では、JDM(日本仕様)車を所有することがステイタスになっているのだ。
photo/Takayoshi Suzuki 鈴木貴義
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