宇宙刑事ファン胸熱! ギャバン、シャリバン、シャイダーが集結したSP上映会をレポート

2025年3月8日に東京都豊島区東池袋にある映画館・新文芸坐にて「宇宙刑事40周年記念 3人の宇宙刑事大集合!! SP上映」が開催された。宇宙刑事ファンが集ったイベントの様子をレポートする。

チケットは即SOLD OUT! 熱い上映会

©東映

「宇宙刑事」とは、1980年代にテレビで放送された東映制作の特撮ヒーローアクションドラマ『宇宙刑事ギャバン』『宇宙刑事シャリバン』『宇宙刑事シャイダー』の三作品を表す。主人公が光沢のある金属質のボディをもつことから、メタルヒーローと呼ばれている。

当日は、1985年3月8日に『宇宙刑事シャイダー』の第49話「3人の宇宙刑事 ギャバン シャリバン シャイダー」が放送されてから40周年に当たり、それを記念してこのSP上映会が開催された。

チケットは2025年2月8日に発売されるや、たちまちソールドアウト。会場ロビーでは東映ビデオと並ぶ主催者であるロボ石丸氏のコレクションが展示され、「宇宙刑事シリーズ」のBlu-rayBOXとオリジナルTシャツが販売された。

会場に展示された本イベントの主催者のひとりであるロボ石丸氏のコレクションの一部。渡 洋史氏のサインが入った貴重な書籍もあった
「宇宙刑事」シリーズBlu-rayBOXの販売ブース。いずれかの購入者には、上映後に実施される3体の宇宙刑事との4ショット撮影会への参加券が配付された
この日に合わせて用意した『シャリバン』と『シャイダー』のTシャツ。『巨獣特捜ジャスピオン』も販売されていた

上映会は、先述の「宇宙刑事シリーズ」各タイトルの厳選エピソード1話&『宇宙刑事シャイダー』第49話の上映からスタート。通常の上映イベントでは、上映内容を事前に公開されるのが常である。ところが、「(上映エピソードの事前告知は)こういうのを流すからご来場ください、という盛り上げに使うやり方ですけれども、今回はチケットがすぐに売り切れてしまったためそんなことをするまでもなかった」(ロボ石丸氏)ため、当日までシークレット。

果たして、イベント関係者の協議により、『宇宙刑事ギャバン』からは第41話「魔空都市は男の戦場 赤い生命の砂時計」、『宇宙刑事シャリバン』からは第49話「ガマゴン」、『宇宙刑事シャイダー』からは第36話「ユメコン狂時代だ」がセレクトされた。いずれもネガスキャンHDリマスター(Blu-ray)による高画質の映像である。

各話エピソード内容(いずれも配信サービス紹介より)

『宇宙刑事ギャバン』第41話「魔空都市は男の戦場 赤い生命の砂時計」

川で溺れていた仔犬を助けた烈。その直後地震が烈を襲い、ふたたび魔空都市に放り出された。閉じ込められ、様々な空間を移動しながら激しい戦いを強いられるギャバンだったが、「赤い生命の砂時計」の砂が尽きる前に、ジゴクダブラーを倒さないとギャバンは永久に魔空空間から出られなくなってしまうのだ。

『宇宙刑事シャリバン』第49話「ガマゴン」

第49話「ガマゴン」/伊賀電は、ミミーの透視力によってみゆきたちを救出することに成功する。だが、再会を喜ぶ間もなく、イガクリスタルを狙う新たなる敵の影が忍び寄っていた。一方、幻夢城では権力争いの嵐が吹き荒れる。

『宇宙刑事シャイダー』第36話「ユメコン狂時代だ」

不思議獣コンコンが作り出す万能コンピュータ、「ユメコン」。それはユーザーが望むことをすべてかなえる夢のコンピュータだった。ユメコンによって人々は働かなくなり、次第に堕落していく。大とアニーはユメコンの製造工場を襲撃する。

宇宙刑事の個性が出たエピソードをセレクト

全4話の上映後20分間の休憩をはさんで、ステージにはロボ石丸氏と、メタルヒーローや「仮面ライダー」シリーズで映像監督を務めた鈴村展弘氏が登場した。まずは上映した3作品の振り返りからトークステージがスタートした。

鈴村展弘(以下、鈴村) 大画面で観た宇宙刑事はすごかったですね。(宇宙刑事シリーズでは)『シャイダー』しか劇場版はないのでね。『ギャバン』や『シャリバン』をスクリーンで観るとね。『ギャバン』では特撮ではない実際の映像みたいなすごいミサイルとか戦車とかね、どこからもってきたんでしょうか。

ロボ石丸(以下、石丸) 騎馬隊とか出てきましたよね。

鈴村 『シャイダー』も今の時代を思わせるような。

石丸 “自宅勤務”って言葉が登場しました。

鈴村 フーマの作戦でどんどん怠け者に…。まさに今の世代がね。

石丸 テレワーク推奨作戦ですよ

鈴村 注文すればデリバリーも来ますしね。40年前にあのイメージが出てきてるって、想像力がすばらしいですね。

石丸 無人の電車とか。あの40年後に、あんな景色が数年前にありましたからね。

鈴村 コロナ禍のそういう雰囲気がすごいですよね。

石丸 それぞれどういう思いからセレクトしたかというと。(時間内に)4話は上映できそうだということで、『シャイダー』の最終話は決まってました。その最終話に向けてボルテージを上げていきつつ、それぞれの「宇宙刑事」の個性を楽しんでいただけるようなエピソードを選びました。鈴村監督や渡(洋史)さんたちに相談したところ、「これでいいんじゃないか」と。

鈴村 それぞれの色があって。『ギャバン』の演出監督は小林義明監督なんですけど、第41話は監督は小笠原 猛さんがやっていて、脚本が小林さんなんですね。ペンネームで林強生となってましたけども。だから、小笠原さんが撮ってるんだけど、小林義明テイストが入ってるという非常におもしろい回でした。

石丸 『シャリバン』は、スクリーン映えというか、もうアクションがね。

鈴村 あの後、レイダーの裏切りが…っていう回につながりますからね。ただ、あのガマゴン大王のキャラクターがよくわかりませんけど。

石丸 この回のタイトルになっているのに、わりと脇役になっていました。

鈴村 レイダーに「私の友人のガマゴン大王」っていきなり言われても「誰?」って話になりますから。しかもあまりしゃべらない。寝ているんだか起きているのかもよくわかんないよね。アクションもね…あの舌だけで闘う。ドクターポルターもずいぶんなめられてましたけどね(笑)。

サプライズで披露された2つのメッセージ

上映作品の感想トークに続いて、会場には来られなかった二人の関係者から「宇宙刑事」シリーズへの思いが込められたメッセージが届いていた。まず、石丸氏が代読したその手紙の送り主は、『宇宙刑事ギャバン THE MOVIE』で十文字 撃/宇宙刑事ギャバンtypeGを演じた石垣佑磨氏である。

「『宇宙刑事』30周年からはシリーズに参加していますが、先輩宇宙刑事の皆様の活躍があってこその続編で壮大な宇宙の物語としてこだわりにこだわり、演じさせていただきました。私も会場で参加したかったのですが…宇宙刑事の銀色の魂はここ新文芸座にあります。いつか私も再び宇宙刑事を演じたいと思っていますし、先代の皆様とクロスオーバーで演技合戦したいなと思います。よろしく勇気、よろしく佑磨」

続くメッセージは動画で届いた。その映像がスクリーンに映ると「おぉ」と観客から声が漏れた。スクリーンの中には、「宇宙刑事」シリーズで主題歌を担当した串田アキラ氏がいた。

「最初に『ギャバン』を観た時、『未来だ!』と思いました。渋い銀色のコンバットスーツに奥の深さを感じました。ヒーローの秘めたやさしさです。次は赤色と言われました。『シャリバン』です。誰もが元気になれて、勇気があふれてくる。ものすごいパワーをもらえる最強を感じました。次は青いのと言われました。『シャイダー』です。そのブルーは何とも言えない色、塗っても出せるような色じゃないと思いました。ギャバン、シャリバン、シャイダー、どれも細かい説明はありませんでした。自分で感じ取れということだったのかな。宇宙刑事は40年たった今でも、未来です。永遠です。皆様これからも応援よろしくお願いします。よろしく!」

ビデオメッセージを受けて石丸氏は「お元気になられてよかった。ここにいらしていただいて、一緒に歌いたかった」と語ったが、会場の全員が同じ思いだっただろう。

スクリーンに映し出された、アニソンシンガーのレジェンド・串田アキラ氏。『昭和50年男』vol.23(2023年7月号)でのインタビューでは『宇宙刑事ギャバン』を歌った時、ヒーローのカッコよさとは“強さ”と“やさしさ”であることがわかったと語っている

撮影は手加減なし! スタッフのぶっちゃけトーク

トークステージの様子。左から鈴村氏、渡氏、金田氏、日笠氏。 撮影:ロボ石丸

ここでMC役だった石丸氏がステージを降り、『宇宙刑事シャリバン』で伊賀 電/シャリバンを演じた渡 洋史氏、「宇宙刑事」シリーズアクション監督の金田 治氏、『宇宙刑事シャイダー』のプロデューサー補を務めた日笠 淳氏が入れ替わりで登壇する。いよいよ「宇宙刑事」シリーズの制作エピソードが披露される。以下は、その約40分間のトークのダイジェストをお届けする。

鈴村 『ギャバン』の後に主役をやることにプレッシャーとかあったんですか。

渡 洋史(以下、渡) プレッシャーしかないですね。『ギャバン』の1、2、3話に僕は初めてクラッシャー(宇宙犯罪組織マクーの兵士)で入ったんですけど、途中から金田さんに「お前、ギャバン(のスーツアクター)に入れ」と急に言われまして。入っちゃっていいのか? みたいな感じなんですけど。

鈴村 噂に聞くと「宇宙刑事」シリーズの撮影に行くと、ずっといつまでも金田さんが撮っていて帰ってこられないみたいな。

金田 治(以下、金田) うちの主役なので覇気入れてやりましたね。1話、2話とまとめて撮るんですけれど、普通はどのぐらいでしたっけ?

日笠 淳(以下、日笠) 多分12日ぐらいですかね。小林組だと15日。

金田 僕が監督やったら17日かかりました。巷では「もう降ろせ」って言われたらしいけどね(笑)。

鈴村 魔空空間や幻夢界はセットでやるから、暗くなってももう無限にできるじゃないですか。

金田 そのとおりでしたね。2時ぐらいに終わったこともあるし。翌日は「6時にロケに出発だ」ってみんな言ってるんだけど、「俺はもう知らないよ。撮るんだ」ってガッツでやってましたから。

鈴村 宇宙刑事はずば抜けてJACアクションの真骨頂というか、すごく高いところから飛び降りたりとか、当然CGとかない時代です。ものすごいカット量もありますよね。

夕日をバックにして切る「シャリバン・クラッシュ」のカットですけど、火の粉が飛ぶじゃないですか。あれは合成じゃないんですよね。

金田 僕は形だけすぱっと切れと。その絵を取っておけばいいんだから。そしたら監督やプロデューサーが、そこに火の粉を入れたりいろいろ細工したりして。今では合成なんてのは簡単にできるけどそれは全部監督がやってくれる。

鈴村 渡さん的に「これは危険だ」っていうアクションの思い出なんかがあったらお聞きしたいんですけども。

それはもう19話(「魔境岬に一人立つ神秘の少女」)の吊り橋ですよ。全員が吊り橋の上に並んで海を眺めて「いい天気だな。今日は何を撮るのかな」と思っていたら、金田さんがいきなり欄干を乗り越えて細いワイヤーの上を歩いて振り返り「洋史、来い」ですよ。「命綱は?」「ない」って。とにかく俺が来てるんだから来いという感じで。もしあの時点で僕が嫌だと言ったらどうなったんですか?

金田 聞かないよそんなの。「いやだ? 馬鹿野郎何言ってんだ、準備しろよ」ってこれだけだよ。

オープニングのターザンのシーンもそんな感じでした(笑)。

鈴村 東映的には何か事故とかが起きたらどうなんだろうと思いますけれども…。

日笠 起きなくてよかったとしか言いようがない(笑)。

金田 そんな日々で、この3作が終わった時は僕も正直言って疲れました。だけど、照明、音響、小道具さんからすべてのスタッフに本当に助けてもらって。やっぱり総合芸術ですよ。

トークステージの後に、ギャバン、シャリバン、シャイダーが登場。特典として4ショット撮影会も行われた ©東映 写真提供:ロボ石丸
3人の宇宙刑事とこの日の登壇者との集合写真。左端がロボ石丸氏。 ©東映 写真提供:ロボ石丸

トークショーの終盤には、ガイラー将軍役の栗原 敏氏と、ギャバンを演じた大葉健二氏の娘・新葉 尚氏が登場し、懐かしいエピソードを披露。最後は登壇者全員が挨拶をした。渡氏の挨拶で締めくくろう。

こうやって宇宙刑事の映画を劇場で観ることが夢でした。『ギャバン』と『シャリバン』は劇場公開がなかったものですから。『シャイダー』だけ映画版を2本もやっていまして、1本ぐらいこっちに回せとか思っていましたけれども(笑)。それが40年経って大スクリーンで観ることができて感無量です。できることならば宇宙刑事の火をさらに燃やしてほしいと願っております。こちらも動ける限りがんばっていきたいと思っていますので、皆さんの応援をぜひともよろしくお願いします。

『宇宙刑事シャイダー』Blu-ray BOX
https://www.toei-video.co.jp/special/shaider/

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昭和50年男 編集部
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昭和50年男 編集部

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50(1975)年生まれの男性に向けて、「ただ懐かしむだけでなく、ノスタルジックな共感や情熱を、明日を生きる活力に変える」をテーマに、同世代ならではのアレコレを振り返ります。多彩なインタビューも掲載。
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