ファン歴2年目の復活祭初体験|ビートルズのことを考えない日は一日もなかったVOL.22

書籍『ビートルズ大学』によると、ビートルズファンは5つの世代に分類されるという。リアルタイム体験者の第一世代、70年代以降のメンバーのソロ活動を通してのビートルズを知った第二世代、80年のポール逮捕とジョンの死をきっかけとした第三世代、90年のポール来日などでの盛り上がりでファンになった第4世代、そして95年以降の『アンソロジー』や『1』をきっかけとした第5世代。なるほどと思う。これが書かれたのは2006年だから、今は第6、第7世代あたりまでいそうな感じがする。

ファンの登竜門的存在、ビートルズ・シネ・クラブ

かくいうわたしはまさにポール来日逮捕のニュースでビートルズを知った第三世代。情報の少ないなか、レコードのライナーノーツや配布されていた東芝EMI制作の小冊子、ラジオ番組などをもとに知識を増やしていった。手に取りやすい書籍も少なかった、そんな状況この世代のファンにとって、とてつもなく大きな存在であったのがビートルズ・シネ・クラブだった。ビートルズ関連のあらゆるところに入会案内が記載されていて、認知度は100%に近く、おそらく第二、第三世代でシネ・クラブを通っていないファンはいないのではないか。それくらいの絶大な影響力を誇っていた。

早々にコンプリート・ビートルズ・ファンクラブに入会したわたしは、シネ・クラブには入会していないのだが、前述のとおりビートルズのレコードには必ず入会案内が記載されていたほか、コンプリート~のフィルムコンサートの際に復活祭のチラシが配られるなどしていたので、普通にシネ・クラブの動向はインプットされていた。毎号会報が届くのが魅力的で、グッズアイテムも充実していたから気になってはいたが、中学生で2つのファンクラブに入る余裕はない、なんて思っていた。

会員だった新しい友達Hくんから受けた恩恵

そんな折、高校に入ってできた新しい友達の中にシネ・クラブに入っているビートルズファンがいたのだ。名前はHくん。以来仲良くなって、毎月会報を貸してくれたり、情報を交換しながら、レコード屋に行くようになった。学校帰り、神保町で降りてロックワークショップやビクトリアほかから御茶ノ水のユニオンやシスコを経由して秋葉原・石丸電気まで行くのがいつものパターン。手段は徒歩、レコード費節約のため途中で喫茶店にはいることもなかった。Hくんはある種の潔癖症で、石丸電気でレコードを買う際、必ず在庫状況を確認して、店頭に並んでいるものではなく、レジ奥の在庫からレコードを買うようにしていた。

Hくんはビートルズ以外にもいろいろな洋楽に詳しくて、ストーンズやドアーズ、ツェッペリンといった古めのものからザ・スミスやペイル・ファウンテンズなどのUKインディーまで幅広く聴いていた。カセットを渡してはレコードを録音してもらっていたという意味において、Hくんはわたしに洋楽ロックを聴くことの楽しみや知識を増やしていくことのおもしろさを教えてくれた恩人といえる。

そのHくんが夏休みに復活祭というフィルムコンサートのイベントがあることを教えてくれた。それまでコンプリート~のフィルムコンサートは何度も足を運んでいたけど、復活祭は行ったことがなく、一度行ってみてみたいと思っていたのだ。会場は九段会館ということは覚えているけど、日時は忘れてしまったので、手元の資料で調べてみたら8月27日だという。夏休みとはいえ金曜日の平日に一日2公演とは強気な興行だ。いかに当時の客層が若者であったかがわかる。このときわたしはHくんとは現地で待ち合わせ、地元のAくんを誘っていった記憶がある。その日たまたま中学時代の同窓会とぶつかっていて、久しぶりに友達と再会できると思いながらも、Aくんとともに復活祭を選んだのだった。

「復活祭」で初めて見た日本公演の映像

復活祭のメイン会場だった九段会館

開場時間よりかなり早く現地に着くも、すでに長蛇の列ができており、その客層はコンプリートのフィルムコンサートの客層より少し若く、マニア度は低い一般的なファンという印象。だが、開場後の売店の雰囲気に圧倒されてしまった。机の上に並べられた豊富なバリエーションのグッズ、それに群がるファンがメモを片手に買い物をしており、その光景に驚き、初めての復活祭に気後れしてしまった。ポスターや生写真のほか、紙袋や缶ペンケースや下敷き、ファイルなど文房具が充実しており、今思えば学生向けのグッズが充実していたように思う。

上映された映像で覚えているのは、6月30日版の日本公演とEHエリックのインタビュー。前々回、このコラムで初めて日本公演の映像を見たのは『ザ・ビートルズ!あなたが選ぶ不滅のベストヒット20!!』と書いたが、それは記憶違いで、初見はここだった。海賊盤で音源は聞いたことがあったので、ノリのよくない演奏であることは知っていたが、ポールの不安定なマイクのことはこのときに初めて気づいた。それを気にしていたらあっという間に35分経っていたという印象。上映後、司会の浜田哲生氏が「ポールは不安定なマイクを何度触ったでしょうか」と客席に問いかけ、「数えた人がいるんです」と言って答えを教えてくれた(回数は忘れてしまったが)。そんな感じで、映像前に浜田氏が現れ解説をしてくれるのが印象的だった。

会場一番乗りのボランティアスタッフ

83年1月開催の復活祭の内容告知

当時「復活祭」は春、夏、冬に開催されていた。すっかりファンになってしまったわたしは、翌年1月の「冬の復活祭」にも参加(会場は同じく九段会館)。ここで映画『ヘルプ!』を見た。待望の『ヘルプ!』だったものの、いかんせん画像が粗く(全体に暗く赤い印象)、カラー作品の魅力は伝わってこなかった。また字幕も読みづらいため、演奏シーンや曲が流れるシーン以外はあまり楽しめるものではなかった。『ヘルプ!』の良さがわかるのはのちに綺麗な画質の正規ビデオがリリースされるまで待たねばならなかった。ほかにはウイングスの『バック・トゥ・ジ・エッグ』フィルムの全編を初めて観た。これはよかった。

2回目ということもあり、その場の雰囲気にも慣れ、グッズを多数購入することができた。その後もファンクラブの会員にはなることはなかったが、86年春まで復活祭に毎回参加して、映像を鑑賞し、グッズを買い漁っていた。毎回、気合を入れて会場に一番乗りしていたので、スタッフの人からイベントの手伝いをお願いされることもあった。

条件は欲しいグッズをひとつもらえるというのと座席の確保。何を手伝ったのか覚えていないのだが、きっと列の整理やグッズの運搬だったのだろう。そういうことが2、3回あったと記憶している。

83年春の復活祭の開催内容告知
この記事を書いた人
竹部吉晃
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竹部吉晃

ビートルデイズな編集長

昭和40年男編集長。1967年、東京・下町生まれ。ビートルズの研究とコレクションを40年以上続けるビートルマニア兼、マンチェスターユナイテッドサポーター歴30年のフットボールウィークエンダーのほか、諸々のサブカル全般に興味ありの原田真二原理主義者。
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