甘い香りに包まれるお菓子専門店「カラメラ」へ!
甘いものには変わりはないけれど、グミやチョコレートには面白い歴史があります。今回は私のお気に入り、ヘートリエットに面してるお菓子の専門店「カラメラ」。
ここにはスウェーデンに帰るたびに行っています。お菓子が売ってるところはほかにもたくさんありますが、コンビニ的なものだったり、スーパーの一角だったり。でもここは、お菓子のみに特化した専門店。外観も可愛くて、ショーウィンドウのディスプレイも思わず「かわいい」と声を出してしまうほど。つい引き込まれてしまいます。
入店したら甘い香りが全身を包んでくれます。
目移りしそうなお菓子たちがビッシリ!
ここでは、グミ、チョコレート、リコリスと、種類ごとに分けて商品が置かれています。
容器に入ってるお菓子たちの素晴らしい色合い! ちゃんと考えられています。ごちゃごちゃしてない。
いちばんの人気はカラフルなグミ!
グミを面白い形にするのがスウェーデン流。パイナップル、おしゃぶり、卵焼き、髑髏、それにおばあちゃんの入れ歯なんかもあります!
好きなお菓子を好きなだけ袋に詰める楽しさ
スウェーデンのお菓子の多くはグラム売り。「Lösgodis」(レースゴーディス)、あるいは「Plockgodis」(プロックゴーディス)ともいって、“Lös” はバラバラみたいな意味、“Plock”は取る、摘むの意味。そして“godis”はお菓子。名前の意味で見るとわかりやすいけど、自分の好きな量で自分だけの一袋を作りあげられます。日本でも映画館やショッピングモールで最近見かけますが、スウェーデンではこのやり方が50年以上根付いてます。
カラメラでは小さな紙袋にお菓子を入れますが、場所によっては大きめのカップだったりもします。
おみやげにいいかも!? 日本にはないお菓子たち
ここで楽しいお菓子を発見! ”ザ・日本”のはずなのに日本にはないもの。それは、ブルーベリーポッキー! 日本のポッキーとスウェーデンのブルーベリー……甘酸っぱくて止まりません!
そしてこれは、スウェーデンが誇る童話作家アストリッド・リングレンの「長くつ下のピッピ」とキャラメルのコラボレーション。世界中で愛されているピッピ、紙の包みも可愛い。おみやげにピッタリかも。
この真っ黒いものはリコリス。甘草の一種で作られたリコリスは日本人の口にあまり合わないみたい。たまに「美味しい」と言ってくれる方もいますがかなりレア。100人に食べさせましたが、美味しいと言ったのは4人かな(笑)。でも、せっかくなら試そう! リコリスはドイツやイギリスにもありますが、塩味のリコリスは主にスウェーデンとフィンランドのもの。真っ黒だからびっくりしますが、私たちスウェーデン人は慣れ親しんだもの。でも、安心してください。リコリスを苦手とするスウェーデン人もいっぱいいます!
そして、スウェーデンのチョコレートといえばこれ! 日本ではM──と言ったら”マンダム”ですが(笑)、スウェーデンでM──と言ったら「Marabou(マラボー)」です。1916年にノルウェーのチョコレート会社「フレイヤ」の姉妹ブランドとして立ち上がったマラボー。ミルクチョコレートの板チョコから始まり、今ではオレオ入り、ハッカのキャンディ入りと様々なコラボレーションをしてます。時代とともにスウェーデン人に甘い愛を届けています。
“土曜日のお菓子文化”とは!?
多くのこうしたグミなどは、まとめて「Lördagsgodis」(レーダスゴーディス)と呼ばれます。“Lördag ”は土曜日のこと。由来は、50年ほど前に歯科医協会が子どもたちの虫歯リスクを減らすために考えたこと。ちょこちょこ毎日甘いものを食べるよりも、週一程度にしたほうが歯のため、健康のためになると気づいて広めたかったからです。「お菓子は土曜日だけ食べていい」というかなり緩いルールでしたけど、その名は根強く今でも生き続けてます。子どもたちもわりとそのルールを守り、親もお子さんに言いやすい。今ピンと来た方はさすがです!はい、IKEAの袋詰めのグミの商品名のひとつも「Lördagsgodis」と名付けられてますね。
この週一の土曜日は小さい頃のわたしたちを興奮させてくれました。土曜日まで必死で勉強して、そして親のお手伝いをして、もらったお小遣いで自分だけのキャンディ袋を作る。小さなお店の場合は店員さんに欲しいものを指して、どれが欲しいのかを教える。途中で秤(はかり)に乗せるときはドキドキ。そりゃ、できるだけ多く欲しかったので、値段を考えずに詰めてもらいます。それで、お小遣いよりオーバーしたら泣く泣く何かを取り出す。でも、大人になったわたしは、このカラメラで好きなだけ袋に入れます。あの頃できなかったこと……子どもの頃に叶わなかったことをいま叶えてる感覚です。
カラメラに行くと両親と嬉しそうにカラフルなグミを選ぶ子どもたちを見ると微笑ましくて、つい笑顔に。途中で値段に不安を感じたら店員さんに測ってもらってもいいからね。そして、チョコレートやグミを別々の袋に入れてもOK。それがわたしからのプチアドバイス!
そんなわたしも、スウェーデンに帰ると、友達から1kgくらいの大きな袋(お菓子が入ってます!)をプレゼントされます。今でもやはり心が躍ります。子どもも大人も思う夢の国へぜひ、行ってみてくださいね。
撮影/黒澤義教
関連する記事
-
- 2024.11.01
アメリカのリアルなワークウエア「DICKSON(ディクソン)」を知っているか?
-
- 2024.10.31
FINE CREEK(ファインクリーク)を世に広めた立役者。…Danny河合裕介さん。
-
- 2024.10.31
世界に一つだけの革ジャンは「No,No,Yes!」で仕立てることができる!