【私的名品-レッドウィング】ガラスレザー特有の経年変化を楽しむ。

  • 2023.04.21  2022.09.08

レッドウィングといえば、1905年の創業という今やヘリテージな企業のひとつ。14インチというハイトの高いバックル付きブーツを皮切りに、ハンターやファーマー、高所で屋根をつける職人であるルーファーやエンジニア、郵便配達員といったワーカーたちを足元から支えるワークブーツを中心としたラインナップを生み出し続け、ここ日本では1970年代の雑誌『Made in U.S.A.catagog』などに象徴されるアメリカ衣料のインポートブームや90年代のブームを経て、定番のブーツブランドとして世界中にファンを抱える存在だ。

多くの名作を生み出したレッドウィング。どれが一番の名品?

ひと口にレッドウィングと言っても、定番から新作まで人気モデルには枚挙に暇がない。特に数々のブームを経ても色褪せることなく、今なお定番として君臨するのは、6インチのモックトゥ。アッパーのレザーマテリアルもラインナップが多く、ソールとの組み合わせも数えると、無数のバリエーションを誇る。

しかし、他にも強力なラインナップがあるのがレッドウィングのすごいところ。同じく6インチのラウンドトゥやハイトの高い8インチモックトゥ、ショートブーツであるオックスフォードや、履き口のクッションも特徴的なスーパーソールシリーズ、ラインマンやチャッカ、ポストマン、エンジニアブーツなどなど、本当に数多くの名作を世に放っている。

その他にもアイアンレンジャーや創業者の名を冠したベックマンなど、2000年代以降に生み出された名作や、惜しまれながら廃盤となったペコスなどを含めると、はっきりとどれが名品と決めるのは難しい。ビンテージ市場も活況で、当然古いものは希少価値が高く、見たことのないタグを備えた個体となれば、数十万という価値を持つものもあるほどだ。

ブーツの醍醐味、経年変化を楽しめるのもレッドウィングの魅力。

レザーシューズであるレッドウィングのブーツが、我々を引きつけてやまないのは、その経年変化に拠るところもある。

履くたびに自分の足に馴染み、丁寧なケアを行えば、そう簡単に壊れることのない屈強なブーツは、長年の愛用に耐え、着用者のライフスタイルに寄り添う経年変化を魅せる。日々のブラッシングやオイルケア、ソールの交換などを行ううちに愛着が増していくことで、レッドウィングのブーツはワードローブに欠かせない存在になっていく。

購入時よりも艶を増し、傷がつき色が褪せ、着用に合わせた皺が入り、足の形に変形していくなど、着用者それぞれのレッドウィングがあり、それらはすべてその人にとっての名品なのだ。

アッパーレザー、カラー、デザインによって、それぞれの経年変化がある。

赤茶のオロ・ラセットのほか、スウェードやラフアウトなど、これまでのレッドウィングのアッパーレザーには無数の種類がある。

油脂分を多く含み銀面を残した一般的な表革もあれば、銀面を削って生み出されるラフアウトや銀面に塗膜をつけたレザーもある。中でも独特の経年変化とも言えるのが、通称ガラスレザー。

現行のラインナップでは、ミルワン・ ブルーチャー・オックスフォードがレザーの表面に樹脂製のコーティングを施したアッパーを採用しており、似た製法で作られたレザーマテリアルと言えるだろう。写真の8160は、その通称ガラスレザーを備えたモデルだ。

私的名品はこれ! というかこれしか手元にない。

ここからは私的な見解なので、無数にいるレッドウィングファンの数だけ異論もあるでしょうが、ご容赦ください。単刀直入に、私が持っているレッドウィングはこれだけ。シュータンの裏側に四角いタグを備え、タグの右上にMADE IN U.S.A.と表記された犬タグの「8160」。90年代のブーム時初期にはレッドウィングが買えず、いわゆるレッドウィング狩りも落ち着いた頃に初めて手にしたファーストレッドウィングは写真のモデルと同じく6インチ、ラウンドトゥのブラックだった。

それ以来、エンジニアやペコス、オックスフォードやポストマンなど、いくつかのレッドウィングには足を通したが、いま手元にあるのはこれだけ。だからこれが私的名品だ。なぜ手放さなかったかと問われると、明確な理由はないのだが、いわゆる赤茶やブラックのレッドウィングではなく、チョコブラウンのガラスレザーを纏ったレッドウィングに天邪鬼的な存在感を見出したからだったように思う。

樹脂によるコーティングのおかげで汚れは目立たないが、擦れれば白っぽく下地が見えてしまうその荒々しい経年変化が好きなんだろうと思う。擦れた部分に補色をしたり、綺麗に磨き上げることはせず、メンテナンスは汚れを落とす程度。紐もワークブーツ然とした当時のまま。

またラウンドトゥはモックトゥやエンジニアなどよりも様々なボトムスに合わせやすいことも理由のひとつ。デニムや軍パンというよりは、スラックスや少し綺麗めのチノパンなど比較的きっちり感のあるボトムスに合わせることが多い。言葉にすると恥ずかしいが「ハズし」ということなのだろうか?

メンズファッションの流れは10年周期なんてことも言われるが、頻繁に履くこともあれば、しばらく履かないこともある。でも、いつまでも手放せない。レッドウィングの私的名品は、今のところこれ1足だ。

レッドウィングのビンテージを知りたい。

Lightning Archives VINTAGE RED WING(2022/9/30発売)

と書いているうちにレッドウィング熱が高まってきた。廃盤になってしまったペコス、それも白スウェードあたりを狙ってみようかななどとスマホを眺めていたら、私の感覚では「ついこの間」と思ってしまう90年代のモデルでも今や立派なビンテージブーツとなっていることに気づく。そして、その辺りのことを調べるにはうってつけの本も予約販売をしている。

50年代以降のワークブーツ、アウトドアブーツを中心に紹介しており、空前のブームを巻き起こした90年代のモデルも数多く掲載する。当時のブームを経験した私たち世代には懐かしいブーツも載る予定だ。かくいう私も過去にレッドウィングの本を編集した経験がある。当時の同僚はレッドウィングシティまで足を伸ばし取材、その年の現行モデルを網羅し、長きにわたる歴史を解説した。当時としては丸ごと一冊レッドウィングという編集方針は画期的で、よく売れたことを覚えている。

以降もいくつかのレッドウィング関連の本は出版されているが、これまでのレッドウィング関連の本とは比較にならないほど歴史的なアーカイブを掲載しているのが本書だ。

ビンテージの歴史的なブーツを352ページというボリュームで収録するが、1930年代から2000年代初頭までと言った幅の広いビンテージブーツを掲載するのみならず、レッドウィングの歴史から、知っておきたいディテールやラベルの変遷や刻印の読み解き方、古いカタログや広告など資料までを網羅する。しかも初版特典として「16枚入りのポストカードセット」付き。さらにECサイト「CLUB Lightning」から購入すると先着500名限定の「A2サイズの両面印刷ポスター」もプレゼントする。いずれもレッドウィングの昔の広告ビジュアルと言ったファンにはたまらない特典だらけ。

詳しい内容は商品ページや動画から確認していただきたいが、80年代や90年代のカルチャーが復権を果たしている昨今、ボクらの定番であるレッドウィングにも当然、注目が集まっている。レザー製品の原価高による価格高騰は今後さらに加速することも考えられるが、現行モデルのラインナップも充実し、さらなる新店オープンの噂もあり、注目度の高さは明白だ。いつまでも色褪せない魅力を放つレッドウィングから目が離せない。

予約はこちらから!

レッドウィング公式サイト
https://redwingheritage.jp/

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部