ファッション業界人も注目するIPFUとは!? ミリタリー発トレーニングウエアの名作だって知ってた?。

近年のトレーニングブームは、ダイエット目的や巣ごもりによる運動不足解消などネガティブな課題解決を超えて、ここ日本での本格的な健康志向や身体に対する美意識の高まりを示唆している。最近では前向きにアルコール類の摂取を控える「ソバーキュリアス(sober=シラフ、curious=好奇心の2語を組み合わせた造語)」という言葉もあるくらい。

酒もタバコも趣味の一環として楽しみたい(過度ではない)私にとっては、酒やタバコの銘柄自体もそうだが、酒器や喫煙具など周辺道具も愉しみのひとつ。トレーニングも同じく、健康のためというより、仕事でも家庭でもない趣味の時間として楽しみたいのだ。それが健康に寄与し、家庭や仕事に良い影響を加えるなら、なおのこといい。

そこで、前向きに運動やトレーニングを始めるためには、やはり周辺道具から入りたい。ランニングならシューズ、サイクリングなら自転車から入りたいところだが、1番ハードルが低いのはウエア。アガるトレーニングウエアを手に入れることで運動をはじめるきっかけとしてはいかがだろうか。

業界人も注目するミリタリー用トレーニングウエア。

そこで近年、ファッション業界人からも注目されているのがIPFUと呼ばれる存在。Improved Physical Fittness Uniformを略したもので、90年代の米軍用に開発されたトレーニングウエアだ。ミルスペックならではの質の良さや90年代アイテムのビンテージ化、90年代デザインのブーム、さらには価格のお手頃さもも手伝って、一大ブームへとなりかけている。

細かく言えば、海軍(NAVY)と空軍(Air Force)の場合はPTU(Physical Training Uniform)と呼ばれるほか、同じARMYでも時代によってはAPFU(Army Physical Fittness Uniform)と呼ばれるなどいくつかのバリエーションが存在するが、戦地で着用されるというよりは、有事に備えて身体を鍛える目的で着用されるもの。ミリタリーウエアへのためらいがある人も気軽に着用してもらえるはずだ。

もちろん、アスレチックブランドのトレーニングウエアの高い機能性やデザイン性も捨てがたいが、趣味としてトレーニングを愉しむため、ウエアでも他人とは一線を画したいファッション業界人を中心に注目度が高まっている。ジャケットやパンツのほか、Tシャツも半袖、長袖、クルーネックやモックネックなどさまざまなラインナップがある。おすすめのアイテムをいくつか紹介してみたい。

デザインも機能もミリタリースペック! 優秀でお手頃なトレーニングウエアの名作。

まずは名作と呼ぶに相応しい「前期」と呼ばれるIPFUジャケット。これに限らず、アーミーの前期モデルは基本的に黒とグレーのモノトーンデザインで、リフレクターなどが随所に施されているのが特徴的。前後のV字ラインは空軍とも似たデザインだが、グレー1色だけでなくデジカモ仕様も存在する。脇の下と背中のベンチレーターはトレーニングで蒸れたジャケットの温度や湿度を逃す役割を担う。

これは上のIPFUの後継にあたるAPFUで、「後期」と呼ばれる。IPFUから一新したブラックボディと、イエローのビビッドな V字ラインが印象的だ。前期に比べ軽量でしなやかな生地となり、リフレクターやベンチレーターは省略された分、裾に付属したドローコードで裾幅を調整できたり、袖幅の調整ができるアジャスターが追加された。

どの軍もショートパンツは股下が短く、膝上のショート丈。NAVYのショートパンツはスポーツメーカーのニューバランスなどもコントラクターとして採用され、アーミーやエアフォースとは異なり、ネイビーのみサイドのポケットを付属し、街着としても活用しやすい。ブリーフ式、あるいはトランクス式のインナーが付属しており、下着なしでもトレーニングに臨める。

ネイビーと違ってウエストのコインポケット程度しか付属しないアーミーのショートパンツは、余計なものを持たないランニングなどのシーンで使いやすい。ネイビーのショートパンツに比べてシャリシャリとした触り心地で、裾にもベリベリっと開けられる小さなポケットを付属。最低限の物だけを携行したい。

フルレングスのナイロンパンツはアーミーが採用したIPFU。ワタリが広く、裾を絞ったシルエットが今の気分にピッタリ。裾には長めのジッパーを付属するため、トレーニングで汗をかいたら、ジッパーを開けて熱を逃したい。ハリウッドセレブが着用したことでも、注目を集めている。

注目すべきは着丈にもバリエーションがあること。

また一般の衣料と異なる点としては、ジャケットやフルレングスのパンツなどにはS,M,Lなどの表記のほかShort、Regular、Longなどの表記がある。ミリタリーウエアらしくウエストや身幅の他にも着丈のバリエーションがあるのだ。

近年ではワイドフィッティングにショートレングスのトップスなどが若者を中心に人気だが、90年代のB-Boyブームを経験している40代としては、あえてジャケットはLongを選びたい。また、くるぶしが見えるShortレングスのパンツもオススメだ。ソックスをチラ見せさせたり、サンダルを合わせて軽やかなコーディネイトにしたりと、着こなしの幅も広い。

トレーニングのみならず、街着としての活用も可能性大!

その魅力はすでにお伝えしたとおりだが、ここまで見たとおり、実はトレーニングシーンだけでなく、街着としても着やすいことがお分かりいただけるだろう。ぜひこんなアガるウエアからトレーニングを始めてみてほしいところだが、もし仮に継続的なトレーニングが失敗したとしても、街着としても活用できるのでご安心を。

この記事を書いた人
おすぎ村
この記事を書いた人

おすぎ村

ブランドディレクター

『2nd』のECサイト「CLUB-2nd」にて商品企画・開発を担当。貴重なヴィンテージをサンプリングした人気ブランドへの別注などを世に送り出している。2nd、Lightningの元編集長にして現在は2ndのブランドディレクター
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

【UNIVERSAL OVERALL × 2nd別注】ワークとトラッドが融合した唯一無二のカバーオール登場

  • 2025.11.25

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【UNIVERSAL OVERALL × 2nd】パッチワークマドラスカバーオール アメリカ・シカゴ発のリアルワーク...

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

この冬買うべきは、主役になるピーコートとアウターの影の立役者インナースウェット、この2つ。

  • 2025.11.15

冬の主役と言えばヘビーアウター。クラシックなピーコートがあればそれだけで様になる。そしてどんなアウターをも引き立ててくれるインナースウェット、これは必需品。この2つさえあれば今年の冬は着回しがずっと楽しく、幅広くなるはずだ。この冬をともに過ごす相棒選びの参考になれば、これ幸い。 「Golden Be...

「アイヴァン」からニューヨークに実在する通りの名前を冠した新作アイウエアコレクション登場

  • 2025.11.21

ニューヨークに実在する通りの名前を冠した「アイヴァン」の新作コレクション。クラシックな要素をサンプリングしながらも現代の空気感を絶妙に捉え服と同等か、それ以上にスタイルを左右する究極のファッショナブルアイウエア。 Allen 2023年、NYに誕生した「ビースティ・ボーイズ・スクエア」。その付近で出...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...