この19世紀の鉄道作業員のオーバーオールを「ウエアハウス」が復刻したらどうなった?

ヴィンテージピースを徹底的に検証しリプロダクションを生み出す手間はデザイナーの感性に頼るモノづくりの何倍も知識と労力が必要となる。この歴史への挑戦から素晴らしいプロダクツが誕生している。「再現させたい」とクリエイターたちを鼓舞するヴィンテージウエアの発見からすべてが始まるのだ。

「JOHN GLUCKOW」で再現したシャドーストライプのデニム生地に注目

ウォバッシュストライプに代表される柄入りの生地を使ったワークウエアは、主に東海岸の鉄道作業員からの需要によって発達した。19世紀の労働着の黎明期は、紳士服と労働着の区別がなく、例えばゴールドラッシュの時代は、デニムの労働着などなかったため、誰もが紳士服を着て掘削に励んだことはよく知られている。

当時は裁縫も同じでワークウエアという概念はなく、本縫いのミシンを使用して縫い上げる時代、自ずとデザインは紳士服のスーツのようになり、動きやすさを考慮してカットや生地を工夫する程度のものだった。それが機能性を重視した意匠になっていく中で、素材もウールからコットンの布帛へと変わり、デニムが使われるようになっていったというわけだ。

JOHN GLUCKOWで再現したこのシャドーストライプのデニム生地は、ワークウエア黎明期に作られたものである。これは、ウォバッシュストライプや織で構成される様々なストライプと並び、「観られること、見せること」を意識したプライドのある職種の者に好まれた。つまり、紛れもなく鉄道作業員のものである。機関車デザインのボタンを装備し、トラウザーズのような佇まいが特徴の紳士的なオーバーオールだ。

インディゴストライプ生地は汚れと褪色でかなりエイジングしているが、ボタンや刺繍のネームラベルは現存。ヴィンテージ通には知られている東海岸のブランドのものであることが確認できる。

裏側の一部にまだインディゴが残っている箇所があり、織りのストライプ生地であることがよくわかる。これをもとに再現した。

[Lot JG-41] Strongarm Reinforced Overalls

タテ糸には8番(ライトオンスデニムの平均的な太さの糸)と、シャンブレーシャツに使う細さの16番の糸を規則的に並べ、ライトオンスの緯に使用する12番の糸を打ち込んでストライプを構成しているのが特徴。デニムという生地が、まだワークウエアの代名詞でなかった時代だからこそ、このような生地が使われたのだろう。そこには労働着を紳士服として着ようとする者と、その期待に応えようとする者の矜持が感じられる。¥68,200_

(出典/「CLUTCH Magazine 2026年5月号 Vol.103」)

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