歴史を伝える「ラクガキ」。貴重な世界に一つだけのWAR ARTを紹介する

ユニフォームは、集団が揃いの服を着用し、敵と味方の識別を明確にするもので、戦場においては命を守る上で最も重要なものである。集団の団結を高める役割も高い。しかし、その画一的なユニフォームに、自分なりの個性を加えた者も多い。そう、アメリカは自由の国。自由を拡大解釈して、若き兵士たちがユニフォームに彩りを加え、世界に一つの服に変身させた、希少なヴィンテージピースが存在する。

SWEATSHIRT

ベトナム戦争期のスウェットシャツ。前身頃、後ろ身頃ともにエアブラシによるペイントが施されている。描かれた中身を見ると、アメリカ陸軍の特殊部隊、通称「グリーンベレー」として知られる精鋭。フロントには「S/SGT.(=曹長)」の階級と人名の「DEVLIN」と共に空挺徽章が大きく描かれている。見事なカスタム個体と言える。

TYPE A-2

第二次世界大戦期のアメリカ陸軍航空隊のパイロットたちのユニフォームとして有名なA-2。コントラクターはPERRY SPORTS WEARの極上コンディションだ。注目は背中に大きく描かれた「BOB」のペイント。胸にもウイング章とともに人名のハンドペイントが施されていることから、「BOB」はニックネームではない。おそらく「Battle Of Britain」であろう。イギリスに駐留した第8空軍のパイロットが所持したものと推測できる。

Artwork Shirt

第二次世界大戦期のもので、U.S.Naval Academy(アメリカ海軍兵学校)で「Army-Navy Game」と呼ばれる陸軍士官学校vs海軍兵学校のアメフトの対抗戦に向けて作られたシャツで、「ラクガキアート」が施されている。Army-Navy Gameは大戦期であっても開催され、試合前に士官候補生や軍楽隊の行進、式典などが行われる。1944年の開催は戦争のもっとも激しかった1年であったが約10万人の観衆を集めた歴史的ゲームだった。

HBT FIELD JACKET

第二次世界大戦期、アメリカ海軍で活躍した建設大隊Construction Battalionのイニシャル「C-B」から、「SEABEES」という愛称を持ち、彼らのユニフォームにはハチの部隊章が使われた。しかし、このヘリンボーンツイルシャツの背中に描かれているのは首から上だけ『ポパイ』になっているユーモアたっぷりのハチ。SEABEESのマスコットとコミックキャラクターを組み合わせたセンスの抜群の兵士が描いたものだ。

TOUR JACKET

ベトナム戦争時代のスーベニアジャケット。背中のヘリコプターや文字はいずれも刺繍。しかも、チェーンステッチを駆使したもので、非常にレアなカスタムである。首元のネームタグからベトナムで作られたものだとわかる。胸には定番のタイガーとバイクを駆る人物が。いずれもカラー糸を使ったチェーン刺繍だ。ベトジャンにバイクカルチャーを表現したヴィンテージ個体は、まず他で見つけ出すことはできないと言っていいだろう。

数々のWAR ARTコレクションを披露してくれたのはロサンゼルスのVINTAGE PRODUCTIONSオーナーであるボブ・チャット。キング・オブ・ヴィンテージミリタリー。

(出典/「CLUTCH Magazine 2026年5月号 Vol.103」)

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