英国軍のヴィンテージから着想を得た究極の2着。

アメリカのヴィンテージをベースとしたものづくりで知られるザ・リアルマッコイズだが、今季は珍しく英国のヴィンテージから着想を得たプロダクツが登場。熱心なコレクターの間でもほぼ知られていない初期型のウインドプルーフスモックと、フィアノットと呼ばれるショート丈のダッフルコートのふたつだ。ベースとなる国こそ違えど、作り込みのクオリティの高さは言うまでもない。

超希少な初期型スモックに宿る英国海軍の美学

航空母艦の甲板で作業する乗組員のために設計された、英国海軍の「ウインドプルーフ・スモック」。前身とされているのは、1950年代初頭に同海軍で支給されていたファウルウェザー・スモックだが、PVC素材の採用により防水性の代わりに通気性と着心地が犠牲となっていた。そんな課題を改善すべく、1930年代後半にマンチェスタで開発されたベンタイル素材を使ってウインドプルーフ・スモックは製造された。1958年のことである。

ヴィンテージ市場でも著名な個体であり、フロントに配される通信ケーブルを留めるためのフラップが最大の特徴。しかしこのスモックに、フラップが付く以前の、初期型モデルが存在することはほとんど知られておらず、今回ザ・リアルマッコイズが蘇らせたのは、その“幻の初期型”である。

当時製造を手掛けていた、ベルスタッフ社とアクアロック社のうち、再現したのはアクアロック社の個体で、ベンタイルの風合いや立体的なフードなどのディテールはもちろんのこと、ラベルにいたるまで完璧に踏襲。重装備化していく後年モデルにはない、シンプルさと品格に魅了される。

[MJ25101]ROYAL NAVY WINDPROOF DECK SMOCK, 1st PATTERN

SIZE:1,2,3,4,5
COLOR:NAVY
PRICE:110,000円

50s Vintage

同アイテムは1958年から製造。こちらはその最初期にあたる極めて希少なオリジナル。後年に採用されるフロントのフラップがない。

60s Vintage

こちらも前期モデルだが、フード周りのスナップボタンや、フロントに配されるドローコードの木製付属の形状など、微差が見られる。

漁民たちの防寒着を原型とする短丈ダッフルコート

19世紀半ば、英国の重衣料メーカーがポーランド産ミリタリーコートから着想を得て製作したダッフルコート。その高い実用性は英国海軍の目に留まり、第一次大戦時にはすでに一部採用に至っていたと言われている。今回ザ・リアルマッコイズが再現したのは、1941年から43年にかけて、主に英国軍に採用されていたという“フィアノット・ダッフルコート”。

陸軍省によって調達されたという同モデルは、一般的なダッフルコートとは異なり、美しいホワイトのメルトン生地、フードのないショールカラー、動きやすいショート丈が特徴。機動性に優れ、汎用性の高い防寒服として、のちに空軍基地や山岳救助隊など、幅広いシチュエーションで重宝されるようになった名品である。

18世紀初頭に、イングランド北部の工場で船乗り向けに開発されたというフィアノット・ウールを採用していたことがその愛称の由来。浸漬・加熱・攪拌の工程によって、厚手で耐久性があり耐候性にも優れた生地で、同モデルが人気を博したひとつの大きな要因となっている。のちにファッションアイテムとしても製造されるようになり、かのジャン・コクトーも愛用していた

MJ25102WW II BRITISH FEARNOUGHT DUFFLE COAT, ARP

SIZE:1,2,3,4,5
COLOR:ECRU
PRICE:132,000円

【問い合わせ】
ザ・リアルマッコイズ東京
TEL03-6427-4300
https://therealmccoys.jp
https://therealmccoys.com

(出典/「CLUTCH Magazine 2026年2月号 Vol.102」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

夏を彩るカラーゴールド。「市松」定番の18金シリーズはカラバリ豊富で夏に欠かせないアクセサリー

  • 2026.05.18

湘南に工房を構えるオーダーアクセサリーブランド「市松」。1997年に創業し、その2年後から27年も続く定番の18金シリーズは、カラバリも豊富で、いまや欠かせないブランドの顔だ。プロダクツとしての魅力だけでなく、夏の装いにも重宝する。 「市松」の定番、特別な5色の18金 「酷暑日」という言葉が新たに発...

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

磨き続けた伝統が、新たな定番を生み出していく。「アリゾナフリーダム」の新作に注目

  • 2026.06.03

長く愛される定番には理由がある。そして、その定番を更新し続ける覚悟があるからこそ、プロダクツは生き続ける。今回、紹介する新作は、奇をてらった変化ではなく、受け継がれてきた意匠や職人技を礎にしながら、細部にわたり静かな進化を重ねた美しい作品たち。変わらないために進化し続ける。そこには揺るぎないクラフト...

Pick Up おすすめ記事

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

働くヒトとヴァーグウォッチ。【vol.01靴磨き職人/「Chett」店主・大平雄太さん】

  • 2026.05.21

「Time is Money」=「時は金なり」。自身の仕事に誇りを持ち、日々働く人々は有限な“時間”というものを重んじ、身につけるプロダクトにも徹底的にこだわる。アンティークウォッチの旧きよきディテールを備えながら、手軽かつデイリーに使うことのできるヴァーグウォッチはそんな彼らの心強い相棒となる。 ...

アイヴァン史上初の完全復刻。“ヒストリック コレクション”誕生の裏側に迫る!

  • 2026.05.22

「アイヴァン」2026年春夏の新コレクションとして突如発表された“ヒストリック コレクション”。これまでにもアーカイブを現代に甦らせる試みは幾度か行われてきたものの、どれも細やかなアップデートが施されていた。文字通りの“完全復刻”は今回が初となる。 アイヴァンには立ち返るべき原点がある どこぞのヴィ...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...