ヴィンテージニットの魅力とは? 洒落者たちが手放すことができない特別な一枚。

長い歳月を費やしエイジングされたヴィンテージニットの風合いは褪色、擦れ、質感など、同じ天然素材であるコットンに勝る独特な趣がある。旧くは半世紀から約100年もの前に編まれた個体も存在し、ナイーブな素材ながらも今の時代に残されてきたのは人々に大切にされてきた証だ。 そこで、ファッション業界の洒落者たちの愛用するヴィンテージニットを見せてもらった。

1.【Dehen1920】1930s Motorcycle Sweater|owner:「WESCO/Dehen/Ship John」日本総代理店代表・岡本直さん

「’90年代、よく本国のスワップミートで、レザージャケットやブーツ、モーターサイクルセーターを探していました。当時からハーレーやインディアンのセーターはレアでしたね。いろんなヴィンテージセーターを見てきましたが、クオリティー、機能性においてDehen社製のセーターがやはり郡を抜いています。1920年創業から変わらずオレゴン州ポートランドの自社工場で、セーターを作り続けていることが物語っていますよね」

1930年代に作られたタロン社製ファスナーを装備したハーフジップデザイン。フロントバックともに「HARLEY DAVIDSON」のハンドメイドワッペンが付けられている。

2.【Unknown】1960s Cowichan Sweater|owner:「JELADO」代表・後藤洋平さん

「動物に限らず、乗り物やスポーツなど、いろんなモチーフを見かけるカウチンニットですが、バイソン柄はこれまで、いろんなデザインのニットを目にしてきた中でも特に珍しい1着です。向かい合ったバイソンに上下にはバイソンのトロフィーが肩と腰周りを一周するようにデザインされており、強烈なインパクトを放っています。これはJELADOでも作りたい! と思わせてくれた個人的にイチオシのカウチンニットです」

フロントファスナーは、カウチンニットでは定番のLightning社製ファスナーを採用。バックスタイルはフロントの2頭よりもサイズの大きなバイソン1頭が鎮座する。

3.【JACK FROST WOOLEN WEAR】1940~1950s V-NECK SWEATER|owner:「フェイクα」店長・澤田一誠さん

「もともと1940年代〜1950年代に作られたプレーンのVネックセーターにスカルのフェルトをセルフカスタムしたものです。スカルマークは1910年代頃、イギリスで実在したフットボールチームのユニフォームのセーターから再現しました。気に入っているので黒ベースのニットの他にも白バージョンやTシャツにも付けています。冬でもオートバイに乗るのでライダースジャケットのインナーに防寒具として必需品となっています」

ベースのニットはVネックの無地ニット。タグもしっかり残されコンディションも良好。スカルのフェルトカスタムは澤田氏自身がカスタムし、他にも同じカスタムを施している。

4.【macgreor goldsmith】1950s Wool Sweat Shirt|owner:「CLUTCH Magazine」松島睦

「カリフォルニア州パサデナで開催されたヴィンテージイベントに参加した時、すぐ目の前のブースで売っていた1950年代のUniversity of Nevadaのアスレチックウエアだ。一見すると、ハーフジップのコットンスウェットのようだが、これは縮絨ウール。当時のカレッジものではこの縮絨ウール素材は防寒性が高く、洗濯も容易だったので多く使われた。ニットか? というと否。でも、ウールということでご勘弁いただきたい」

1950年代らしいブラスのタロンジッパーがヴィンテージならではのディテール。University of Nevadaのスクールカラーであるロイヤルブルーが美しく、時代感がある。

5.【Unknown】1950s Cowichan Sweater|owner:「Dry Bones」デザイナー・武内陽明さん

「カウチンセーターを集め始めて40年。いまだに良い柄が見つかれば買っています。とくに1950年代の『突飛なデザインでの流行』による配色の多さやモチーフの面白さは魅力。このネイビーは就職して2年目くらいに糸のゴツさや、カウチンなのに魚モチーフという面白さに惹かれて購入しました。見知らぬ通りすがりのおばちゃんに褒められた事や反社に絡まれて穴が空いたりしましたが、修理しながらずっと着ているお気に入りです」

フロントはTALON社製ファスナーを採用し、バックスタイルには釣り仕掛けを加えた魚が表現される。ポケットカフス上部分に入れられた柄は波をイメージ。

(出典/「CLUTCH2024年2月号 Vol.94」)

この記事を書いた人
CLUTCH Magazine 編集部
この記事を書いた人

CLUTCH Magazine 編集部

世界基準のカルチャーマガジン

日本と世界の架け橋として、国外での販路ももつスタイルカルチャーマガジン。本当に価値のあるモノ、海外記事を世界中から集めた、世界基準の魅力的コンテンツをお届けする。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

磨き続けた伝統が、新たな定番を生み出していく。「アリゾナフリーダム」の新作に注目

  • 2026.06.03

長く愛される定番には理由がある。そして、その定番を更新し続ける覚悟があるからこそ、プロダクツは生き続ける。今回、紹介する新作は、奇をてらった変化ではなく、受け継がれてきた意匠や職人技を礎にしながら、細部にわたり静かな進化を重ねた美しい作品たち。変わらないために進化し続ける。そこには揺るぎないクラフト...

革ジャン好きなら一度は通るべき! 「No,No,Yes!」の最上級オーダー“アルチザン”とは?

  • 2026.06.01

「世界にひとつだけの革ジャンを作る」。それは、レザーラバーの憧れだ。革好き注目のブランド「No,No,Yes!」が誇るオーダーメニューの中でも最上級に位置する「アルチザン」とはいったいなんなのか? その正体に迫る。 革ジャンの伝道師・モヒカン小川が実際に“アルチザン”を体験 これは単なる革ジャンの話...

落語家たちが洋装に身を包む会、第4弾! 落語会「師匠お似合いですよ」の舞台裏で注目の落語家たちをSNAP!

  • 2026.05.18

アメカジを提案するファッションブランド「ゴールデンベア」が主催する落語会、その名も「師匠お似合いですよ」。弊誌も師匠方のスタイリングを担当。第4回目となる今回も大盛況でした。楽屋裏で撮影したみなさまの素敵な着こなしをお届けします! 落語家たちが洋装に身を包む会「師匠お似合いですよ」の舞台裏に潜入! ...

Pick Up おすすめ記事

ロンドン生まれのアイウエアブランド「CUBITTS」が日本に本格上陸! 人気の秘密に迫る。

  • 2026.05.19

英国・ロンドン生まれのアイウエアブランド「キュービッツ」。日本へ本格上陸したばかりでまだ多くを知られていない、その全容を紐解く。 ロンドン生まれ質実剛健な実力派 2013年にロンドンで創業、2025年に日本へ本格上陸を果たした「キュービッツ」。本国では、新鋭ながら圧倒的な知名度を誇り、ビスポークも手...

日本人に最適化された新作の“JAPAN LIMITED”に注目!「MOSCOT」現代に引き継がれるアメリカンクラシックのDNA

  • 2026.05.20

1915年にNYで創業し、アイウエアデザインの王道を形づくった「モスコット」。多様なデザインで溢れるいまこそ、伝統に裏打ちされたクラシックな佇まいに惹かれる。 新作の“JAPAN LIMITED”のラインナップを紹介! 2016年よりスタートした“JAPAN LIMITED”は、インラインにはないノ...

夏を彩るカラーゴールド。「市松」定番の18金シリーズはカラバリ豊富で夏に欠かせないアクセサリー

  • 2026.05.18

湘南に工房を構えるオーダーアクセサリーブランド「市松」。1997年に創業し、その2年後から27年も続く定番の18金シリーズは、カラバリも豊富で、いまや欠かせないブランドの顔だ。プロダクツとしての魅力だけでなく、夏の装いにも重宝する。 「市松」の定番、特別な5色の18金 「酷暑日」という言葉が新たに発...

アメリカンクラシックの原点「ディグナ クラシック」の[ジミー]なら、カラバリ・仕様も豊富で自分好みの1本が見つかる!

  • 2026.05.21

50sアメリカンスタイルを踏襲した「ディグナ クラシック」の[ジミー]は、シンプルなデザインやクラシックな世界観から多くの人に愛される名作。その人気ゆえ、仕様やカラーのバリエーションが非常に豊富な[ジミー]の全容をいま一度おさらいする。 955E“Jimmy”とはどんなメガネ? 1950年代にアメリ...

磨き続けた伝統が、新たな定番を生み出していく。「アリゾナフリーダム」の新作に注目

  • 2026.06.03

長く愛される定番には理由がある。そして、その定番を更新し続ける覚悟があるからこそ、プロダクツは生き続ける。今回、紹介する新作は、奇をてらった変化ではなく、受け継がれてきた意匠や職人技を礎にしながら、細部にわたり静かな進化を重ねた美しい作品たち。変わらないために進化し続ける。そこには揺るぎないクラフト...