「サーティーファイブ サマーズ」寺本さんが自身のルーツにもなったという米国海軍デッキジャケット。

世界的なヴィンテージコレクターとしても知られる35SUMMERSのCEOの寺本欣児氏。作り手としてもその類まれなセンスとディレクション能力で、歴史の徒花となってしまったブランドを実名復刻するストーリーテラーでもある。そんな寺本氏が自分自身のルーツになったというのが、米国海軍のデッキジャケットだった。

資本主義の基礎を体感させてくれた仕事の原点。

世界屈指のヴィンテージコレクターと言っても過言ではない寺本氏。特にワークとミリタリーに関しては博識であり、寺本氏の手掛けるプロダクトにもその愛が反映されている。そんな寺本氏のとっておきのヴィンテージは、米国海軍の希少なデッキジャケットだ。

実は2代目というデッキジャケット

「このデッキジャケットは、経糸にレーヨン、緯糸にコットンを使った珍しい仕様。本当に数は少ないが、テストサンプルの類ではないと思います。

実はこれで手に入れたのは2回目。二十歳そこそこの時に、よく通っていた古着屋のスタッフから薦められて買ったことがあるんです。それを着ていた時に別の古着屋に行ったら、買った値段の数倍で買い取らせてほしいとのオファーがあって、お金のなかった当時の僕は手放してしまった。

当時はこんなに弾数のない仕様だと思っていなかったので、後悔しましたが、逆に学んだことの方が大きかった。この経験を通して、安く仕入れて、高く売るという資本主義の基礎を体感することができた。だから僕の仕事の原点ですね。このジャケットは、手放してから20年後くらいにベルベルジンの山田君が、米国で同じサイズで見つけてきてくれたんですよ」

レーヨンを混紡させた希少なデッキジャケット。

1940s U.S.NAVY DECK JACKET Made in USA

本来はコットングログランを使っているが、この個体は経糸にレーヨン、緯糸にコットンを用いたスペシャルな仕様。同年代に同じ素材のレインコートが存在することから、防水性と防風性を狙った仕様なのだろう。タグとフロントのフックのデザインから、1943年頃に生産されたものだと思われる。この個体を手に入れた当時は、誰もが未知の仕様だったため、アメリカのイベントで売れ残っていたものをベルベルジンの山田氏が発見。

(出典/「CLUTCH2023年6月号 Vol.91」)

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