「Dry Bones」武内氏に聞く、海軍ものの魅力と希少なコレクション。

歴史や時代背景、アートなど、カルチャーから掘り下げたモノづくりで楽しませてくれるDry Bonesの武内氏から見た海軍もの。彼の希少なコレクションとともに海軍ものの魅力に迫る。

「Dry Bones」Designer・武内陽明さん

1989年にDry Bonesを設立し、代表兼デザイナーを務める。アメリカンヴィンテージウエアに限らず、日本をはじめとする世界の古物やカルチャーに造詣が深いことで知られる。

対自然に向けた服だから現代服に落とし込みやすい。

DRY BONESを設立して30余年。ヴィンテージはもとより、そのモノが生まれたカルチャーや歴史的背景、膨大な参考文献など、あらゆる側面から物事を検証し、作り手として第一線でモノ作りに携わってきた武内氏。今シーズンもデッキジャケットをはじめ、海軍由来の服を多数手掛けている。

私物のデッキジャケットの左胸にはカスタムしたばかりだというU.S.Nのステンシルスタンプ

「ボクの中で海軍というと黒船のペリーが最初。おそらくアメリカが建国したときから、海軍なるものは存在していたと思うんです。世界的に見ても、圧倒的に長い歴史を持っているバックボーンは凄いですよね。その中で海軍の服が、我ら現代人にとってとっつきやすいのは、闘うのは人ではなく、対自然なんですよね。

厳しい寒さだったり、塩害だったり。それに比べて陸軍の服は、ジャングルなどの自然環境はあるにせよ、圧倒的に人間との闘いを想定して作られていると思うんです。いずれにせよ、いつ命を落とすかも解らない状況で身に着ける服。対自然に向けて作られた海軍の服のほうが、現代服に落としやすいのは納得できる事実かもしれませんね」

来シーズンも海軍由来の服を仕込んでいると話す武内さん。モノの本質を見た上でカタチとなるコレクションを楽しみにしたい。

背面には消えかけているが確認できる「万物の眼」を描いてカスタムを施した

「Dry Bones」が手掛けるU.S.NAVY由来のアイテムたち。

1.N-1 Leather Combination Jacket ¥65,890

ポケット口、チンストラップのトリムなど、レザーパーツを組み合わせたN-1ジャケット。生地はオレンジの表面の皮を思わせる畝と凸凹があるコットンオレンジフェイスを使用。

チンストラップが装備された襟。裏にはジグザグのステッチが入れられる
ポケット、カフスなど要所にアクセントとして取り入れたレザーパーツ。補強のためのディテールでもあり、デザインのポイントともなっている
豹柄のライニングも脱いだ際のインパクトがグッド

2.M-1943 Type Deck Jacket ¥69,960_

ヴィンテージではとても希少なM-1943ジャケットを再現したデッキフックジャケット。グローブをしたままでもフロントの開閉が容易にできるフックタイプは、現代においても機能的なディテール。

3.Deck Overalls ¥79,970_

1940 年代のU.S.NAVY で採用されたヴィンテージデッキパンツを基に制作。ぎっしり詰まった肉厚の生地が遮風性を高め、ヴィンテージ同様、内側にウール生地を使用し防寒性を高めた。

武内氏のヴィンテージコレクションを拝見!

所有するヴィンテージも昔に比べ、だいぶ手放してしまったという武内氏のコレクション。他では見ることのない歴史的史料価値のあるU.S.NAVYのウエアを見せてもらった。

1.M-1943 DECK JACKET

「マイサイズを探し続けて30数年、やっと出会えた! デッキフックジャケット。大きいサイズや小さいサイズばかりだったので感動!」

2.N-3JACKET&N-3TROUSERS

「HBTのオリーブで、異なる品番も存在するジャケット。そっちは未だに手に入っていない。チノパンっぽさを残しつつ、アウトポケットで穿き易いお気に入りのパンツ」

3.DECK PANTS

「下北沢の古着屋さんで、激安でゲット。バイクシーンでのボトムとして買った。ところが、ツーリング先でのトイレで大苦戦……」

4.M-422A

「もう30年以上前にローズボウルでゲット。それ以来、ここまでのクオリティでマイサイズには出会っていない」

5.N-1 Style COAT

「N-1でも充分に温かいのに、これは同素材で膝下丈コート、しかもフード付き。どんな状況下で着る服なんだろう?」

6.M-69(BUTTON FLY)

「かなり前に業界の先輩が着ていた。その後、数年してマイサイズに偶然巡り合い、ゲットし、早20年以上」

【DATA】
DRYBONES TOKYO STORE
Tel.03-5458-5688
https://1989.dry-bones.com

※情報は取材当時のものです。

(出典/「CLUTCH2023年2月号 Vol.89」)

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