「ADDICT CLOTHES」Owner・石嶋聡
1978年生まれ。10代でライダースジャケットに出会い、その後、英国のモーターサイクルジャケットに魅了される。28歳の時にヴィンテージショップを開店し、その後にオリジナルブランドを開始。
個性を競い合ったカスタムに魅力がある。
アメリカで’53年に公開された映画『ザ・ワイルドワン』やロックンロールなどに象徴されるフィフティーズカルチャーは、世界中に飛び火し、様々なユースカルチャーが形成された。そのひとつが’60年代に全盛を極めたイギリスのカフェレーサーだ。アメリカに影響を受けた素行の悪い若者たちが、カフェやパブに集まり、自慢の愛車で公道レースに興じていた。そんな彼らのアイコンとなったのが、スピードを求めたカスタムバイクとアメリカとは一味違うライダースジャケットであった。
「カフェレーサーの定義は非常に難しいのですが、カフェレーサー=ロッカーズという前提で話すと、その対抗馬であったモッズは中流以上の家庭の子息が多く、ロッカーズはワーキングクラスの若者が中心だったと思います。だから人工皮革を使ったような安物やノーブランドのライダースを着ている写真も多くあります。中古で買ったようなものも多かったと思いますね。
あとは襟付きのシングルライダースが多いのも、アメリカとは違う点ですね。この形は英国のスタンダードなライダースであり、汎用性の高いジャケットとして様々なメーカーから出ていました。老若男女が着るようなベーシックなものですから、ロッカーズたちは思い思いのカスタマイズを施しました。そこから彼らの愛車や趣味嗜好がわかり、ストーリー性を感じられます。そんな唯一無二の存在感が、なによりも魅力ではないでしょうか」
貴重なアーカイブの一部をとくとご覧あれ。
1960s HIGHWAYMAN MOTORCYCLE JACKET
Lewis Leathersと並び、英国を代表するレザージャケットメーカーのダブルライダース。カタログに掲載されていないため、モデル名は不明。センスよくカスタムが施されており、その内容からBSAの代表的なモデルであるサンダーボルトに乗っていたオーナーのものと推測される。
1970s Lewis Leathers PLAINSMAN
’60年代に発売されたフリンジ付きのシングルライダース。これは’70sの個体となる。腕にはカフェレーサー文化の中心にいた59CLUBのワッペンが付いている。胸についたピンズカスタムや、当時のオーナーの愛車であるトライアンフのパッチなどが見所。
1970s Lewis Leathers BOMBER
ブランドのアイコン的な存在である名作ライダースのライトニングに、大きなベルトループが付いたモデルはBOMBERとネーミングされた。両袖にセンスよくパッチカスタムが施されており、秀逸なバランスだ。UKモーターサイクルジャケットらしくシープスキンを使用する。’70年代の個体である。
1960s ZOHAR CENTER ZIP JACKET
襟付きのシングルライダースで、ハンドウォーマーポケットが2つ付くのが’60s UKモーターサイクルジャケットのもっともベーシックなスタイル。右袖にはAJSのワッペンが付き、英国製らしくシープスキンを使っているのも注目。
ADDICT CLOTHES AD-01 ¥176,000_
16年前に初めてリリースしたADDICT CLOTHES JAPANの記念すべきファーストモデルは、イギリスでもっともベーシックな襟付きのシングルライダースを再構築。ブランドオリジナルのシープスキンを使用し、フルベジタブルタンニンの茶芯仕様。
【DATA】
ADDICT CLOTHES TOKTO
Tel.03-5341-4767
www.addict-clothes.com/
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「CLUTCH2022年10月号 Vol.87」)
Photo by Kazuya Hayashi 林和也 Text by Shuhei Sato 佐藤周平
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