300号を迎えて思い出すのは自分主導の初めての企画【H-D偏愛主義】

55号(2005年2月号)から158号(13年9月号)までクラブハーレー編集部に在籍し、197号(16年12月号)から再び復帰。以来、現在まで本誌を作りまくり、今回でなんと300号! そのうち携わったのは合計208冊。振り返れば意外と少ない……とも感じるが、何だか感慨深い。

雨宮武|いわゆるエンスー的なバイクとカスタムが大好物な本誌副編集長。基本的にスポーティに走れるバイクを好みつつも腕にはまったく自信なし

本誌への思い入れが芽生えるきっかけになった

私がまだ編集者の道に進んでいなかった1998年、『クラブハーレー』の創刊号を書店で手に取ったときのことを鮮明に覚えている。ご存じ、本誌はハーレー専門誌としては後発。バイクの知識はないけれどハーレーには少し興味がある、いわゆる「バイカー」ではなく「普通の人」をターゲットにした専門誌としてスタートした。

当時ハーレーを所有していないのにも関わらず興味本位からときどきハーレー専門誌を読んだりしていたマニアな私は、クラブハーレーの内容の薄さに衝撃を受け、「読むとこねーな」と即書店の本棚に戻した。まさかその雑誌を208冊も作るとは……。人生とは本当にわからんものである。

そんな私がこの編集部に配属されたワケだが、バイクオタ視点で書いてしまう私の原稿に、「お前の書いていることはよくわかりませ~ん(笑)」と、何度も何度も赤字を入れてくる編集長。仕事に嫌気がさし、カスタムショップに取材に行けば「クラブハーレーみたいなマジメ君雑誌がウチに何の用?」みたいな対応も珍しくなく、正直うんざりだったが、仕事に真摯に取り組むためにも、自分のやりたい企画を始めることにした。それが上で紹介しているページ。

ハーレーの本を作るのだから自分もその道にどっぷり浸からなければ……という信念のもと自らハーレー(事故車なので安い)を購入し、カスタムしていく連載ページを企画した。2ページもらえるかと思ったら1ページ、『はぐれ刑事』シリーズ的な謎タイトルをつけられたうえ、相変わらず赤字の量もすごかったが、それでも私的には十分すぎる前進だった。

自分主導だから思い入れも自然と湧き、何より自分の愛車がカッコよく変貌していく過程を追いかける取材は楽しかった。完成後に即盗難されたという後日談もあるのだが、いま思い返せば、連載から盗難までが壮大なネタだったようにも感じられる(遠い目)。いずれにせよ、その企画をきっかけにクラブハーレーに対する思い入れが芽生えたし、徐々にだが創刊号に比べて、内容も違うものになっていった。今回の特集なんてゴリゴリのチョッパー特集だ。もし1998年当時の私が今月号を手にしていたらどう感じただろうか……。

完成後、即盗まれた私の初ハーレー

昔からバイクに乗っているけど、クラブハーレー編集部に配属された機会に人生初のハーレーを購入。「FLSTFファットボーイ」の事故車をベースにカスタムし、その過程を誌面で連載した。が、完成直後に盗難。あらためて見返してみると新鮮。ツインカムのキャブ車はいま安そうだし、またこんな感じのを作っても面白いかも。

連載を開始したVol.70(2006年5月号)から4回に渡ってレポート。予算の都合で我慢した部分も多かったので、この後も少しずつイジっていくつもりだったが盗難されて叶わず。もう一度こういうバイクを作って乗りたいなぁ。

(出典/「CLUB HARLEY 2025年10月号」)

この記事を書いた人
ポイズン雨宮
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真性バイクオタ

単気筒や2気筒のいわゆる“エンスー的なバイク”が大好きな真性オタ。中でも70sアメリカを感じさせるモーターカルチャーを特に好む。XR1000と1969年型カマロを所有し、その維持に四苦八苦しつつも実は喜んでいるドMでもある。カフェレーサー好きでもあり、フェザーベッドフレームのH-Dを作りたいと絶賛夢を膨らませ中。
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