豪雨の中でも確かに感じた、チョッパーを未来へ紡ぐ熱気
世界から注目を集める日本のチョッパーシーン。いま現在、その最右翼といっても過言でない存在が京都の「ラックモーターサイクル」だろう。その店主であり、ビルダーの杉原雅之氏といえば1990年代から修行を開始し、その流れから渡米。本場のシーンを直接、肌で感じてから2000年の創業に至ったのだが、その作風の特徴として挙げられるのが、この店ならではの圧倒的な個性。
そのコンパクトでシンプルなチョッパーの多くはひと目でラックとわかるフィニッシュが与えられているのだが、その世界的な人気ぶりは大げさ抜きにかつての「ゼロエンジニアリング」を彷彿とさせるものだ。そんな独創性が多くのファンを生み、引き寄せるのはチョッパーという芸術性の高い乗り物の常なのかもしれない。
そのラックが25周年を迎えた今年、去る8月10日に京都の平安神宮でアニバーサリーパーティを開催したのだが、当日はあいにくの雨模様にも関わらず、全国から多くの参加者が集い、名うてのカスタムショップやアパレルショップが集結。
いまや日本を代表する存在となったチョッパー・ショップの四半世紀を祝うため一堂に会し、厳かな平安神宮前が、さながらカスタムショーのような様相を見せたのだが、あえていえばその顔ぶれは現在の日本のカスタム業界でトップどころといっても過言でない面々。これは杉原雅之というビルダーの人柄もさるものながら、やはり『類は友を呼ぶ』という諺が示す典型なのだろう。
特に仕事でも関わる関係は同じ熱量で物事に対峙していなければ深い絆が生まれないものだが、この日に集まった人々は、それぞれが愛したチョッパーやカスタムの世界を盛り上げんとする気概にあふれていたと思う。その中心であるラックの杉原雅之というビルダーのもとに多くのショップが集まった光景は、まさにいまの業界の縮図だ。どしゃ降りの雨の中でも伝わる熱気がこの日には確かにあった。こんな光景が続く限り日本のチョッパーの未来は明るいかもしれない。

「周年イベントに、ここまで人が集まってくれたのは、ただ感謝です」と語るラック杉原氏。背景にあるアワードの盾の数々が実績と道程を物語る。






(出典/「CLUB HARLEY 2025年10月号」)
text&photo/M.Watanabe 渡辺まこと 取材協力/ラックモーターサイクルズ TEL.075-278-8349 http://www.luck-mc.com/
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