初めてのバイクがチョッパーだった。何もわからないけど、ただ夢中になった。

今年5月の「ジョインツ」で注目を集めたシングルフレームのショベル・チョッパー。名古屋「プライドロック」のオールドスクールなセンスが発揮されたこの車両は、なんと女性オーナーの愛車である。オーナーのMAIさんは、この車両の前もショベルのチョッパーに乗っていたが、その車両が人生初バイクだという。つまり、初バイクが旧車で、しかもチョッパーというマイノリティなスタート。
当然旧車ゆえのトラブルは少なからず経験したが、初バイクで右も左もわからなかったため「バイクってそういうものかな」と受け入れ、それ以上にチョッパーのダイレクトな乗り味にのめり込んだ。持ち前のメンタルがチョッパーに向いていたということだろう。
「友達から譲り受けた初バイクがショベルのチョッパーだったから、意識してチョッパーに乗ったわけじゃなくて本当にたまたま(笑)。でもカッコいいし、乗ったら軽くて運転しやすくて、どこまでも走っていきたい気持ちになった。このバイクはまだ乗り始めたばかりで、取り回しが慣れていないから仲間に助けてもらっているけど、いつか乗りこなして、誰の力も借りずにこのチョッパーとひとり旅に行くのが目標です」
MAIさんとこのチョッパーのストーリーは始まったばかり。ストックにはない独特な操作性を乗りこなすのもチョッパーの醍醐味だ。これからストリートを乗り回して、路上の経験を積み重ねていくことだろう。

1976 FX


名古屋プライドロックがビルドした、カスタムメイドのフレームにショベルヘッドを搭載するモールディング・チョッパー。ネック位置をやや高めに設定したループエンドのシングルダウンチューブフレームと左右出しのエキゾーストが美しいラインを描く。4インチオーバーの35φフォークに装備するダブルディスクブレーキやハンドクラッチなど、操作性を犠牲にしないスタイルにも注目したい。




心臓部は排気量1200㏄のストックスペックでリビルドし、シリンダーをイエロー×ブラックのグラデーションペイントが包み込む。グリップとシートはフリンジ付きのスエード素材で統一。ダウンチューブからエンジン/ミッションマウントまで一本で繋がるフレームラインが最大のアイデンティティ、すっきりとしたラインがエンジンの存在感を強調する。
(出典/「CLUB HARLEY 2025年10月号」)
text /Y.Kinpara 金原悠太 photo/ S.Sawada 澤田聖司 取材協力/プライドロックモーターサイクル https://www.priderock.jp/