2ページ目 - ローファーの種類から部位名称まで、購入前に知っておきたい基礎知識【断然革靴派】

ローファーに使われている基本的な素材をおさらいしいよう

ローファーに限った内容ではないが、ローファーに使われている主な革素材を復習しよう。シンプルな作りのぶん、革の表情は重要だ。

カーフ

生後6カ月以内の子牛からとれた革で、毛穴が小さくきめ細やかな質感。より光沢があって高級な「ボックスカーフ」も頻出のワード。

コードバン

馬の臀部を使用した最高級レザー。“革のダイアモンド”と称され、〈オールデン〉の名作シューズなどでもたびたび採用されている。

スウェード

革の表面(スムースレザー)と比べて、グンとカジュアルな印象になる裏革。英国のC.F.ステッド社が老舗のタンナーとして有名。

シボ

シボは素材の名称ではなく、あえてシワを付ける加工や革の表面に自然に表れるシワのことを指す。ローファーでも頻出のため掲載。

モカ縫いにも種類がある

ローファーの欠かせないディテール、モカ縫いの話。甲からトゥにかけて入るU字型ステッチのことだが、いくつかの縫製方法が存在。

合わせモカ

甲の革とサイドの革は別々で、それぞれを“合わせ”て縫う方法。合わさっているサマがちょうど人間が手を合わせて拝んでいるように見えることから「拝みモカ」とも。最もオーソドックスなモカ縫いと言える。

すくいモカ

甲の革とサイドの革が分かれていない一枚の革を、つまみあげて縫う手法で「つまみモカ」とも呼ばれる。他のモカとは異なり、なにも縫い合わせていない“ただの飾り”である。革の繋ぎ目がないため上品な印象。

ヘビモカ

甲側の革でサイド側の革を覆うように縫い合わせる手法で、ボリュームがあるためカジュアルな見た目になる。また、雨が侵入しづらい。合わせモカの上を覆うように別の革を縫い付ける「かぶせモカ」と似ている。

乗せモカ

甲の革をサイドの革の上に乗せ、垂直にステッチを入れて縫い合わせる手法。ただ乗せただけのため、非常に控えめな印象になり、モカらしさは薄い。ドレッシーなモデルによく用いられ、仕事靴として使いやすい。

ローファー特有のディテールも知っておきたい

ちょっとマニアックだが、特にローファーに見られることの多い仕様をいくつか紹介。特にアメトラ好きは「ビーフロール」は必修。

ビーフロール

サドルを補強するため、両端をステッチで留めた様相が糸で縛り上げたローストビーフに見えることからその名がついた。「セバゴ」が開発した極めてアメトラ的なディテール。

アンライニング

アッパーの裏側に別の革(ライニング)を張り合わせていないことを指す。軽やかで非常に柔らかい仕上がりになるため、ストレスフリーな履き心地を実現できる。

キルト

甲の上に付けられたフリンジ状の飾りのことで、ルーツはスコットランドの民族衣装。直接縫い付けられているモデルもあるが、別売りのキルトを自ら取り付ける場合もある。

フルサドル

サドルの両端が、コバのほうまで伸び切っているものをフルサドルと呼ぶ。よりフォーマルな印象。短く途中で終わっていることがほとんどで、これをハーフサドルと言う。

キッカーバック

モカ縫いと同じ要領で、かかとに出っ張りを作った仕様。ここにもう片方の足を引っ掛けて脱ぎやすくするためとされている。靴にとってよくなさそうな気もするが……。

ローファーのギモンにお答えします!

最後に講師役を務めていただいた藤井さんに、ローファーに関する疑問をぶつけた。あくまで藤井さんの見解でもあるためあしからず。

Q.ローファーの起源は?

「アメリカ先住民が履いていたインディアンモカシンという説が濃厚。ほかの革靴と比べても決して革新的な形ではないので、同時多発的に色々な場所で似たようなモカシン靴が作られていたかもしれませんね。もともと“ローファー”という言葉自体は、アメリカの老舗ブランド『ネトルトン』から販売されていた革靴のモデル名で、それが一般名詞として広まったということみたいです。由来は、皆さんご存知のとおり“怠け者” からきているんでしょう。キャッチーなモデル名を考えた『ネトルトン』の功績は大きいですね」

Q.ローファーとスリッポンの違いって?

「結論から言うと、図のようにスリッポンという大分類に、ローファーという中分類が含まれているイメージです。昔はローファーと言うとペニーだけの印象でしたが、定義が広くなっていますね。“モカシン”もややこしいですが本来甲部分だけが別の革で縫い合わされ、他の部分は一枚革になっている袋状の作りのことを指します。逆に言えば『クラークス』の[ワラビー]など、紐靴にもモカシンは存在します」

Q.グッドイヤー製法はなぜ人気なんですか?

「“ハンドソーンウェルテッド”という手縫いの製法を、ミシンで作れるようにしたのがグッドイヤーで、それだけ切り取るとラクしているように聞こえますが、ミシンを操るのはあくまで熟練の職人で、グッドイヤーの靴は手作りの靴である、というのがメーカーの気持ちだったりします。ハンドソーンなどの特殊な製法を除くと、もっとも手間がかかっている靴はグッドイヤーで、職人が作った本格靴が欲しいとなったとき避けられないものなのです。ロマンです」

(出典/「2nd 2025年6月号 Vol.212」)

この記事を書いた人
パピー高野
この記事を書いた人

パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...

名作[ハリケーントップ]誕生から40周年! 「CHUMS」の「ハローウェア」が再登場

  • 2026.09.23

「チャムス」の名作[ハリケーントップ]の誕生から40年を迎える今年、「ハローウェア」が再登場する。そのコレクションを紹介する前に、まずはブランドが歩んできた歴史を紐解いていこう。これまでの歩みを知れば、「ハローウェア」をもっと楽しめるはずだ。 ハロー、懐かしくて新しいチャムス サングラスを川に落とさ...

究極のクラシックを背負う。英国発バッグブランド「Billingham」のカメラバッグ『System-1』

  • 2026.09.24

英国生まれのバッグブランド「ビリンガム」。そして同ブランドを代表するモデル[システム-1]。"用の美"を極めたその実用性とルックスは昔も今も、服好きの心を捉えて離さない。 “機能美”を極めたクラシックバッグの筆頭 創業は1973年。写真を撮るのが大好きだったという創業者のために妻がカメラバッグを手作...

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

日本の技で蘇る、旧きよきアメリカンベーシック。100年前の起毛機を使った「DISCUS」のスウェット

  • 2026.09.18

「ディスカス アスレチック」の「MADE IN JAPAN」プロジェクト。和歌山で受け継がれる約100年前の起毛機とそれを支える職人の技。そのこだわりから生み出されるスウェットの魅力を追った。 スウェットの裏側に宿る百年起毛 1973年、アメリカで誕生した「ディスカスアスレチック」。その歴史を日本の...

Pick Up おすすめ記事

ニューヨーク・ブルックリン発! 作業服由来のデイリーウエアはこう着こなす。

  • 2026.09.16

創業1904年、高層ビルの建設が相次ぐ当時のニューヨークでリアルワーカーに向けて、作業服を提供していた「ブルックリンオーバーオール」。そんな確固たる出自に由来する男服は、カジュアルウエアとして現代にDNAを継ぐ。 旧きよきデザインと生地づくりで飽きのこない王道のワークスタイル 40年代の個体をベース...

上野の2つの「SUN HOUSE」で、秋支度。おすすめのアイテムを聞いてきました

  • 2026.09.18

歩いてわずか30秒ほどの距離にある、上野ふたつのサンハウス。今回はそれぞれの店舗で、この秋おすすめのアイテムを聞いてみた。2軒を行ったり来たりしながら、そろそろ秋支度を始めよう。 上野のサンハウスは行ったり来たりが正解です 昨年のリニューアルを経て、アメ横に2店舗を構えるようになった「サンハウス」。...

毎日に、最良の定番。B.V.D.の「GOLD」は昔ながらの良さと、いま欲しいバランスを兼ね備えたTシャツ

  • 2026.09.16

長く愛されてきた定番には、変わらない理由がある。B.V.D.の「GOLD」もそのひとつ。肌着として培ってきた心地よさをそのままに、今の気分で一枚でも着られるリラックスフィットが加わった。昔ながらの良さと、いま欲しいバランス。その両方を備えた、新しい定番のかたちを見ていこう。 変わらない着心地にゆとり...

【連載】ビートルズのことを考えない日は一日もなかった

  • 2024.02.05

80年代、私的ビートルズ物語。 ビートルズ研究と収集に勤しむビートルデイズを始めて早44年(Since1980)。 なにをするにもビートルズが基準だった『昭和40年男』編集長のビートルズ史を、 当時の出来事とともに振り返ります。

トラッドの相棒にドゥニームのジーンズを! ウエアハウスが1988年のクラボウデニムを再現

  • 2026.09.17

1980〜90年代に日本のセルビッジジーンズの先駆けとして一世を風靡したデニムブランド「ドゥニーム」。同ブランドの創業当時のレシピをもとに、再始動を手掛けたのが「ウエアハウス」だ。彼らの徹底的な研究・解析によって生み出された至極の1本は、まさにオーセンティックそのもの。そして、本当の意味での“良い色...