30周年を迎える名店「G.B.ガファス」が別注! ブランドの人気モデルが希少なセルロイドで登場
昨年発売された[デニス]は、デザイナーの山岸稔明さんにとっても特別なモデル。「2023年のテーマを“DETAILS”にするきっかけとなった1本。セルロイドを取り扱う工場が減っているので不安もありましたが、無事発売できました。太く重いものが多いセルロイドですが、[デニス]は軽くて掛けやすい良作です」
渋谷のメガネセレクトショップ「G.B.ガファス」に訊く、鯖江が誇る超希少素材セルロイドとは?
希少性が高いと言われているセルロイドだが、そもそもどうやって作られているのか?
本当に希少なのか?
より理解を深めるため、渋谷のメガネ店「G・B・ガファス」の漆畑さんに話を聞いた。
「そもそもセルロイドとアセテートは、どちらも綿花など植物由来の原料を使用しているという点では共通しており、大まかに言うとその原料に硝酸を混ぜるとセルロイドに、酢酸を混ぜるとアセテートになります。セルロイドは1850年ごろに英国で開発され、アセテートは1920年代ごろに開発されたと言われています。このふたつの最も大きな違いは、セルロイドは燃えやすく、アセテートは燃えにくい、という点。
実際にこれまで何度かセルロイドの発火がきっかけで火事が起きたこともあります。日常生活に使用するぶんには問題ありませんが、徐々にメガネ素材として使われなくなっていきました。僕がメガネ業界に入った1990年代後半には、すでに希少で特別感のある素材という立ち位置にあったように思いますね。ふたつの素材は一見よく似ていますが、セルロイドには独特の温かみや艶感があり、環境によって反ったりすることが少ないという形態安定性も備えています。寝かせれば寝かせるほど目が詰まって硬くなっていきますし、お客さまから「長く使っているけど、ズレてこないね」という言葉を頂くこともあります。
あとは1850年代ごろから存在していたというノスタルジー。これがメガネ好きやプロダクト好きの心をくすぐるのだと思います。数年前にセルロイドが原因で、鯖江で火事が起きてから『もう作れないのではないか』という不安感が業界に蔓延しましたが、いまは再びセルロイド製作に対してモチベーションが少し回復してきた印象です。そうは言っても、日本でセルロイドを作れるのは、もう「ダイセル」というメーカーだけだと言われていますし、わざわざ大量生産向きのアセテートではなくセルロイドを使うブランドは、ごく少数なことに変わりありません。そういった意味でもロマンに溢れる素材であることは間違いないですね」
「G.B.ガファス」のスタッフが薦めるセルロイドメガネ
イエローズプラス
フロント裏側に、型崩れを防ぐメタルパーツを施し、細身ながら堅牢。今回のセルロイド別注において、特にロックモスカラーの美しさは格別だ。4万8400円
メガネとインナーの色をグリーンで合わせた徳永さん。「本来は肉厚なメガネが好きなのと、難しそうな色だったので、どうかなと思ったんですが、掛けてみたらすごく使いやすい!」
エイチフュージョン
人気の仏ヴィンテージより、40年代製のクラウンパントがベース。8mm厚のセルロイドを贅沢に使用し、かつ芯なしのヴィンテージ風の1本。3万8500円
アメトラスタイルが大好きな松井さんは〈エイチフュージョン〉の[HF-215]を着用。「セルロイドを得意とするブランド。感覚的な話にはなってしまいますが、掛け心地もいいと感じます」
ステディ
2023年春夏に新作として発表されたモデルは、緩やかなヘキサゴン(六角形)フレームとクリアグレーが上品な印象。クラシックな芯なし仕様。3万7400円
「旧きよき芯なしのセルロイドは、ミニマルなぶん素材の艶感が際立ちます。そもそもメガネも服も、ベーシックで過度な装飾のないものが好きなので、このモデルはお気に入りです」
【DATA】
G.B.ガファス
東京都渋谷区神宮前6-18-2
TEL03-6427-6989
12:00~20:00(土日祝11:00~)
不定休
(出典/「2nd 2024年 4月号 Vol.203」)
Photo/Ryota Yukitake Styling/Shogo Yoshimura Hair&Make/Miho Emori Text/Shuhei Takano
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