アウトドアに革命を起こした3大名品を知っているか? 「カラコラムパーカ」を掘り下げる

  • 2024.01.12

日本からは撤退していた比類なきヘリテージブランドがアイコンモデルを引っ提げて再上陸を果たした。アウトドアブランド「エディー・バウアー」は、1920年にアメリカ・シアトルで創業した。ウール全盛の時代に軽くて暖かいグースダウンを封入したアメリカ初のアウトフィッターの発明は業界に衝撃を与えた。さらに、そこから端を発した偉大なブランドヒストリーは1世紀を超えても止まることはない。そんなエディー・バウアーの3大名品の1つ「カラコラムパーカ」を見ていこう。

極限の地を目指すエクスプローラーたちの命綱「カラコラムパーカ」誕生

第二次世界大戦で数多くのフライトダウンスーツやスリーピングバッグを提供したブランドの規模は格段に成長し、次のフェーズを迎えていた。1952年秋、あるアメリカの登山家チームは世界第2位の高峰であるK2の初登頂を計画し、その際の寒冷地用高所装備品をエディ・バウアーに依頼したのだ。

当時、最高の登山用品は主にフランス製だったが、それをアメリカに輸入するには高価でわずかな予算しかなかった登山家たちには手の届かないものだった。エディーはその依頼を快く受け入れ、登山家たちとアメリカ製による世界最高のエクスペディションアウトフィッターの開発に挑戦。完成したプロトタイプはK2を擁するカラコラム山脈から名付けられた。

1953年から2010年まで、12山の8000m峰登頂、40以上の主要遠征隊にダウンギアを提供。エベレスト山のアメリカ人初登頂では全身を覆うすべての装備を手掛けた

翌1953年に第三カラコラム遠征隊はそのカラコラムパーカを身に纏い、K2の頂を目指した。残念ながら、登頂は成功しなかったが、極限状態のなかでも隊員たちを無事に帰還させた功績は世界に高く評価され、同年より自社カタログでも販売をはじめると瞬く間に人気を集めた。

1963年にはアメリカ人によるエベレスト初登頂に貢献するなど、30年にわたって、あらゆる大陸の壮大な初登頂を含む、世界中のアメリカ人登山家および科学探検家のための最高のアウトフィッターとして、地位を確立することになる。

現行カラコラムパーカをチェック!

前立てに並んだ無数のボタンや格子状のダウンパック、一体型フードが、まさに「最高峰」の風格を漂わせる、エクスペディションダウンパーカの元祖にして究極。いまだブランド随一の人気を誇るハイスペックモデルが細部に至るまでヴィンテージを再現して蘇った。4万4000円(水甚TEL058-279-3045)

KHAKI
BLACK

【ディテール①】ボタン

1970年代前半にスナップボタンへと変更される以前の初期型ボタンフライ仕様を踏襲している。

【ディテール②】ドローコード

ウエスト部分にはドローコードを装備したヘビーデューティなデザイン。

【ディテール③】フード

一体化したフードが特徴。

【ディテール④】ラベル

カラコラム山脈をモチーフとしたネームは60年代に採用されたデザインを再現したもの。

ヴィンテージも気になる! 用途に合わせたあらゆる仕様変更が実施された形跡

上:1950s

カラコラム専用ネームを使用する以前の50s製。フードがコンマージッパーで脱着可能なレア仕様。当時のカスタムとも考えられるが、オーダーによる仕様だろう。参考商品(コズミックジャンパーTEL042-726-0610)

下:1960s

カラコラム専用ネームが付くので50s後期から60s製と推測。両サイドにカーゴポケットが付きテーパードが強いシルエットが特徴。冷気や雪の侵入を防ぐ裾リブもタイト。3万2780円(グレースTEL03-6416-3457)

1960s

着丈がダウンパック一段分長くなったスペシャルレア。さらに通常は存在しないチンストラップも付いている。共生地で作られるので特別なオーダーと思われる。13万2000円(ミスタークリーンTEL090-2206-1755)

1970s

三角EBロゴのスナップボタンとカラコラムネームが同居する希少種。おそらくネームが黒タグに変わる過渡期のもの。カラコラムネームが付くスナップボタン仕様のモデルは1970年代前半までと推察する(参考商品)

右:1970s

顔を覆うフードやハンドウォーマーポケットなど極寒地仕様となるカラコラムエクスペディションパーカ。このボリューム感はブランド内でも随一。6万円(ビーチ電話番号非公開)

中:1970s

スナップボタン留め仕様の新たなカラコラムがヘビーデューティカラコラムパーカ。ナイロン×コットンのシェル地。1万7000円(コズミックジャンパーTEL042-726-0610)

左:1970s

右と同じスタイルだがリップストップナイロン地をシェルに使用するウルトラライトカラコラムパーカ。70s中期頃のもの。3万2780円(アイアンドアイ ストアTEL03-6424-4994)

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2024年2月・3月合併号 Vol.202」)

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

CLUTCH Magazine, Lightning, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

モヒカン小川

Lightning, CLUTCH Magazine

革ジャンの伝道師

モヒカン小川

ランボルギーニ三浦

Lightning, CLUTCH Magazine

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

おすぎ村

2nd(セカンド), Lightning, CLUTCH Magazine

ブランドディレクター

おすぎ村

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

CLUB HARLEY 編集部

Dig-it, CLUB HARLEY

ハーレー好きのためのマガジン

CLUB HARLEY 編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部