創業から95年。京都の寺町京極商店街にある昔ながらの男性衣料品店「ヨシカワ」

アイビーが一世を風靡した時代、日本にはたくさんの洋品店があった。時が経つにつれ、今ではごく少数派となってしまっているが、全国で見つけた”あの頃に戻れる”そんな洋品店を紹介。1928年創業、京都の寺町京極商店街にある昔ながらの男性衣料品店「ヨシカワ」は、御歳83歳になる店主の吉川精二さんが迎えてくれる。店を継いで59年、街の景色が変わってもヨシカワを訪れれば歴史がリアルに味わえる店だ。

創業から95年、店と共に歩んだ人生

1928年創業、京都の寺町京極商店街にある昔ながらの男性衣料品店「ヨシカワ」。

「私が生まれる10年以上前に店は始まっています。当時は今のような店ではなく呉服店のような形態の店でしたが、創業から扱っていたのは紳士服。その時から変わらず、店はこの場所にあります」

「この店で1番の古株はこの掛け時計です」と紹介してくれたこの時計は、母親の形見だそう。150年ほど前につくられたもので、今は止まっているがつい先日まで現役だったという

当時の写真を指差しながら話しをしてくれたのは御歳83歳になる店主の吉川精二さん。はっきりとした言葉と、立ち姿から年齢よりも若く見える。24歳と若くして店を継いだというが、学生の頃は自分が店主をしているなど想像もしていなかったという。

1940年生まれ、今年で83歳となる吉川精二さん。仕入れるアイテムは写真ではなく、目で見て決める。現在でも、展示会を見るために年に2回東京を訪れているという

「トラッドなファッションが特別好きだったわけではなく、大学も理工学部に通っていて、全く違うことを学んでいたものですから、この店を継ぐ気はなかったんですよ」

当時、大学の学費を自分で払っていたという吉川さん。学費を稼ぐために行っていたことが、店を継ぐきっかけのひとつだという。

指を差している写真には、昭和43年9月20日新装開店とメモ書きがつく。吉川さんが店を引き継いで3年くらい後のことでこの改装を経て現在の形に近づいたという

「元々、父親が小売店をしていたものですから、他の店でアルバイトをするのではなく、問屋で買い付けをして、この店の一角を借りて物を売っていました。売ったお金で学費とちょっとしたお小遣いを稼いでいたんです。今思えば、店を継ぐきっかけとして、その経験は大きかったと思います」

店を継いで59年。商店街の景色もだいぶ変わってしまったという。

「元々、この地域には私の店のような衣料品店が30、40店舗くらいあったんですよ。前の通りなんて特に多かったんです。それも今残っているのは私のお店含めて2店舗になってしまいました。当時は衣料品店だけで組合を作っていたくらい活気があったんですよ」

長い期間お店に立ち続けていると様々な出来事があったという。

「まず思い出すのは「VAN」の倒産ですね。衝撃でした、はっきり覚えてますよ。他にも、まだ「ブルックス ブラザーズ」が日本に上陸していなかった時、1970年代中盤くらいですかね、ニューヨークの本店でネクタイを買ってきて、店で売ったりしたこともあったな。これだけ長いこと店に立っているからね。まだまだいろいろな思い出があるよ」

京都で見つけた、メンズショップは、まさしくあの頃にタイムスリップできる店だ。

手に持っているのはスーツをオーダーをしたお客様の情報入っているファイル。ひとりひとりに向き合う丁寧な接客で、店には全国から吉川さんを尋ねお客さんが集まってくる

【DATA】
メンズショップ ヨシカワ
京都市中京区寺町通三条下ル永楽町227
TEL075-221-4968
営業/10:30~19:00
休み/木曜

(出典/「2nd 2023年11月号 Vol.199」

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パピー高野
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パピー高野

断然革靴派

長崎県出身、シティーボーイに憧れ上京。編集部に入ってから服好き精神に火がつき、たまの散財が生きがいに。いろんなスタイルに挑戦したい雑食タイプで、ヨーロッパからアメリカものまで幅広く好む。家の近所にある大盛カレーショップの名を、あだ名として拝借。
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