【ジャパントラッドを担う、注目の10人】「Lee」エドウィン クリエイティブディレクター・細川秀和さん

ジーンズ御三家の一角、リー。その象徴である“101”をはじめ、同ブランドの核を成す製品は、各工程を日本の実力派工場が担っている。オールスター体制で望む理由とそのメリットを、ジャパントラッドを担う注目の10人であり、同ブランドの舵取り役である「エドウイン」クリエイティブディレクター・細川秀和さんにお聞きする。

「エドウイン」クリエイティブディレクター・細川秀和(ほそかわひでかず)さん|アメリカンジーンズに焦がれて、1990年に入社。物流センターから工場研修まで、ジーンズ作りの川上から川下まで経験した後、1992年からリーの担当に

現在のアメライの101は、オールメイド・イン・ジャパン。

Lee[AMERICAN RIDERS 101Z]|馬鞍やイスなどを傷つけないようにと、金属リベットに代わって考案された“スレッドリベット”や、逆つり鐘型の尻ポケ、“レイジーSステッチ”等々、ディス・イズ・リーな仕様が全部入り。1万6500円

エドウィンがリーの製品を手がけるようになったのは1987年。

「当初まだ弊社では“101”を作っていませんでした。ただこのモデルは1924年に誕生したカウボーイパンツを源流とする、リーの代表作。1989年からは早くもまたブランドの顔として、101をラインナップすることになったんです」

細川さんが入社したのは直後の1990年。

「当時から我々の間では日本製が当たり前。101に限らず幅広いアイテムを日本で作っていたので、それほど特別なこととは思っていませんでした。現在まで101を日本で作り続けているのも、あくまでその流れの延長線上というか、自然な流れだと感じています」

現在リーでは“リー アーカイブス”と“アメリカンライダース”という2つのシリーズで101を展開している。

「前者は101を筆頭に、リーが今日までに開発してきた名品を忠実に復刻するシリーズ。後者は社内で“アメライ”という愛称で親しまれている、現在のリーの核とも言えるシリーズです。アーカイブスが過去に向き合っているとしたら、アメライは現在進行形。

同じ101を作るにしても取り組み方は異なります。最定番であるアメライの101を作る上では、象徴的な意匠は継承しつつも、純粋にジーンズとしての質を高めたり、サステナブルという視点でも趣向を凝らしたりと、未来へとバトンを渡す妥協のない製品作りが求められるんです」

そうして2013年秋冬シーズンからアメライの101をはじめとする、一部の主要製品に取り入れ始めたのが、内側のスレーキに配されるトレーサビリティラベルだ。

「糸の紡績、染め、織布、縫製、加工と、一本のジーンズが完成するまでに携わっている工場の名前をすべて明記するようにしました。ご覧の通り現在のアメライの101は、全行程で日本の企業の力を借りたオールメイド・イン・ジャパン。近年アジア諸国での物作りがポピュラーになっていますが、101には各工程で譲れない基準があり、どうしても細やかなやりとりが生じてしまうため、この体制が最も効率的なんです」

密な関係を構築し、“101とは”を熟知している企業とのチームワークでしか形にできない、現在進行形の101には、日本のジーンズ作りの粋が濃縮還元されている。

エドウインが“101”を作り始めた1989年のカタログ

Leeの核を成す〝アメライの101〟だからこそ日本のオールスターで臨むのは当然。

1.紡績は大阪の「山忠紡績」

原綿の生産国や混綿率は環境に応じて不定期に変更しているが、求めているゴールは同じ。「紡績を担う山忠さんに相談し、その時にベストな綿を選定。環境への配慮も鑑みてオーガニックコットンも可能な範囲で使用しています」

2.染色は広島の「坂本デニム」

101は歴史的に続くインディゴのオリジナルな色調があり、その伝統を継承した染色を行っている。「かなりの手間とノウハウを要する工程なのですが、坂本デニムさんはその術を熟知しているので、安心して委ねられます」

3.織布は岡山の「日本綿布」

「日本綿布さんが所有しているレピア織機は、現代的なエアジェット織機より旧式のシャトル織機に近い。回転数を落とし、テンションも調整し、耳はなくてもシャトルで織ったような生地の風合いに織り上げてもらっています」

4.縫製は青森の「みちのくジーンズ」

リーをはじめ、エドウインの主要製品の縫製を担当する自社工場。「デザインスタッフと密なコミュニケーションが取れたり、ミシンの開発に取り組める等、一段上のクオリティコントロールが実現できるのは相当なメリットです」

5.仕上げ加工は岡山の「豊和」

洗いやユーズド加工のスペシャリストとして著名な豊和。「今作はサステナビリティにも配慮しているため、一般的なワンウォッシュの製品と比べて水量を75%削減できる、特殊なドライウォッシュ加工を施しています」

【問い合わせ】
エドウイン・カスタマーサービス
TEL0120-008-503

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 2023年5月号 Vol.194」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

東洋エンタープライズが手がける「ゴールド」。高品質な素材選びに一切の妥協なし。

  • 2026.10.20

1965年に創業した日本屈指の老舗メーカー東洋エンタープライズ社が手がける〈ゴールド〉。同社が得意とするヴィンテージへの膨大な知見と技術力の高さを活かしつつも上質にモダナイズしたものづくりに定評がある。着用時のシルエットはもちろん、高品質な素材選びに一切の妥協をしないこと。それこそがシンプルな服に深...

ガレージ、インテリア、リフォームまで! 趣味人のための、物件案内。

  • 2020.01.20

好きなものと暮らす、理想の城を手に入れよう。 家は、ただ暮らすためだけの場所じゃない。 どこに住むか、どんな空間にするか、そこで何を楽しむか。 ガレージハウスやアメリカンハウス、趣味部屋、インテリア、リノベーションまで、 「Lightning」ならではの視点で趣味人の理想の住まいを紹介する。

#PR

気鋭のアイウエアブランド「CUBITTS」が描く、クラシックとモダンの共鳴

  • 2026.10.19

18世紀から20世紀にかけて眼鏡産業の世界的な中心地であったものの戦後、衰退の一途を辿ったロンドン。この地で2013年に創業した「キュービッツ」は当時を彷彿とさせるクラシックスタイルをモダンに昇華させた独自の世界観を築く気鋭のブランドだ。 伝統と現代とを繋ぐアイウエアの研究所 「キュービッツ」は伝統...

メイド・イン・ノーサンプトンを貫く英国靴の筆頭「Crockett & Jones」のモノづくり

  • 2026.10.21

革靴の聖地であるノーサンプトンにて1879年に初声をあげた〈クロケット&ジョーンズ〉。英国靴を語る上で欠かすことのできない同ブランドのモノづくりの現場に足を運んだ。 一足の革靴に宿る147年の歴史と誇り 革靴産業の一大拠点として名を馳せる英国・ノーサンプトン。中世から靴職人が集まり、17世紀には軍用...

ヒートツイードとは? 軽くて薄くて暖かい、英国派に捧ぐ革命ツイード

  • 2026.10.26

〈トラディショナル ウェザーウェア〉が誇る人気シリーズ、ヒートツイード。英国ツイードのオーセンティックな雰囲気はそのままに、驚くほど軽く、保温性の高いオリジナル生地。一度味わうとやみつき間違いなし! 英国らしくも、軽くて暖かなツイード生地は現代的ヘビーデューティ素材の最適解である。 【コート】ブラン...

Pick Up おすすめ記事

世界最高峰のニットメーカー「JOHN SMEDLEY」が編むもの。

  • 2026.10.20

イングランド中部、リーミルズの自社工場で240年以上前からニットウエアを作り続ける〈ジョン スメドレー〉。1784年に創業した同ブランドが編んできた歴史と伝統が息づく場所で彼らが編むものとは。 240年の伝統と魂が息づくファクトリー 英国のトラッドブランドとして群を抜く歴史を持つのが〈ジョン スメド...

原毛から生地まで。一貫生産を守る英国生地の名門「ムーン」とは?

  • 2026.10.19

服を突き詰めていくと辿り着くのが生地。トラッド好きなら一度は耳にしたことがあるであろう英国の名門が「ムーン」だ。羊毛から紡績、染色、織布を一貫して行う英国最後の生地メーカーが誇る伝統のモノづくりに迫る。(写真は、生地の製造において重要な“織り”の工程。タテ糸とヨコ糸をゆっくりと交差させ、チェック柄が...

19世紀から英国紳士に愛され続ける世界最高峰のハンドメイド傘

  • 2026.10.19

年間を通じて降水頻度が高い英国において傘は必需品。ひいては英国紳士を象徴するプロダクトのひとつだ。その中でも、旧くから英国王室や上流階級の紳士たちに愛されてきたFOX UMBRELLAS(フォックス アンブレラズ)は最上級の存在である。 手作業から生まれる圧倒的な造形美 真のトラッド好きは服だけでな...

気鋭のアイウエアブランド「CUBITTS」が描く、クラシックとモダンの共鳴

  • 2026.10.19

18世紀から20世紀にかけて眼鏡産業の世界的な中心地であったものの戦後、衰退の一途を辿ったロンドン。この地で2013年に創業した「キュービッツ」は当時を彷彿とさせるクラシックスタイルをモダンに昇華させた独自の世界観を築く気鋭のブランドだ。 伝統と現代とを繋ぐアイウエアの研究所 「キュービッツ」は伝統...

遊び心とヘビーデューティ! 「ジムマスター」のアウトドア&ミリタリー

  • 2026.10.18

ほどよく力の抜けたカジュアルウエアを展開するカナダ生まれの「ジムマスター」。その真骨頂は、実は骨太なアウトドア&ミリタリーにある。ヘビーデューティな機能美を日常着へと昇華させる秘訣は、「ジムマスター」らしいほんのすこしの遊び心! カラフルな配色の裏に確かな実用性あり! 【右】主役は厚手のボアジャケッ...