現在のアメライの101は、オールメイド・イン・ジャパン。
エドウィンがリーの製品を手がけるようになったのは1987年。
「当初まだ弊社では“101”を作っていませんでした。ただこのモデルは1924年に誕生したカウボーイパンツを源流とする、リーの代表作。1989年からは早くもまたブランドの顔として、101をラインナップすることになったんです」
細川さんが入社したのは直後の1990年。
「当時から我々の間では日本製が当たり前。101に限らず幅広いアイテムを日本で作っていたので、それほど特別なこととは思っていませんでした。現在まで101を日本で作り続けているのも、あくまでその流れの延長線上というか、自然な流れだと感じています」
現在リーでは“リー アーカイブス”と“アメリカンライダース”という2つのシリーズで101を展開している。
「前者は101を筆頭に、リーが今日までに開発してきた名品を忠実に復刻するシリーズ。後者は社内で“アメライ”という愛称で親しまれている、現在のリーの核とも言えるシリーズです。アーカイブスが過去に向き合っているとしたら、アメライは現在進行形。
同じ101を作るにしても取り組み方は異なります。最定番であるアメライの101を作る上では、象徴的な意匠は継承しつつも、純粋にジーンズとしての質を高めたり、サステナブルという視点でも趣向を凝らしたりと、未来へとバトンを渡す妥協のない製品作りが求められるんです」
そうして2013年秋冬シーズンからアメライの101をはじめとする、一部の主要製品に取り入れ始めたのが、内側のスレーキに配されるトレーサビリティラベルだ。
「糸の紡績、染め、織布、縫製、加工と、一本のジーンズが完成するまでに携わっている工場の名前をすべて明記するようにしました。ご覧の通り現在のアメライの101は、全行程で日本の企業の力を借りたオールメイド・イン・ジャパン。近年アジア諸国での物作りがポピュラーになっていますが、101には各工程で譲れない基準があり、どうしても細やかなやりとりが生じてしまうため、この体制が最も効率的なんです」
密な関係を構築し、“101とは”を熟知している企業とのチームワークでしか形にできない、現在進行形の101には、日本のジーンズ作りの粋が濃縮還元されている。
Leeの核を成す〝アメライの101〟だからこそ日本のオールスターで臨むのは当然。
1.紡績は大阪の「山忠紡績」
原綿の生産国や混綿率は環境に応じて不定期に変更しているが、求めているゴールは同じ。「紡績を担う山忠さんに相談し、その時にベストな綿を選定。環境への配慮も鑑みてオーガニックコットンも可能な範囲で使用しています」
2.染色は広島の「坂本デニム」
101は歴史的に続くインディゴのオリジナルな色調があり、その伝統を継承した染色を行っている。「かなりの手間とノウハウを要する工程なのですが、坂本デニムさんはその術を熟知しているので、安心して委ねられます」
3.織布は岡山の「日本綿布」
「日本綿布さんが所有しているレピア織機は、現代的なエアジェット織機より旧式のシャトル織機に近い。回転数を落とし、テンションも調整し、耳はなくてもシャトルで織ったような生地の風合いに織り上げてもらっています」
4.縫製は青森の「みちのくジーンズ」
リーをはじめ、エドウインの主要製品の縫製を担当する自社工場。「デザインスタッフと密なコミュニケーションが取れたり、ミシンの開発に取り組める等、一段上のクオリティコントロールが実現できるのは相当なメリットです」
5.仕上げ加工は岡山の「豊和」
洗いやユーズド加工のスペシャリストとして著名な豊和。「今作はサステナビリティにも配慮しているため、一般的なワンウォッシュの製品と比べて水量を75%削減できる、特殊なドライウォッシュ加工を施しています」
【問い合わせ】
エドウイン・カスタマーサービス
TEL0120-008-503
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年5月号 Vol.194」)
Photo/Yuta Okuyama Text/Masato Kurosawa
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