吉川晃司や柴田恭兵が愛用した幻のブランド。
1984年に代官山で誕生したルネッタバダは、ファッション業界人や俳優などを魅了し、80年代に一世を風靡した日本のアイウエアブランドだ。90年代に休止したため、「幻のブランド」と言われていたが、約30年のときを経て復活した。
それもオリジンを上回る仕上がりで。今回はかつての「バダムーブメント」を知る、グラッシーズ代表の竹中太一さんに話を聞いた。彼は90年代に「G・B・ガファス」や「デコラ」を立ち上げた業界のキーマンだ。
「当時、私は20代前半で眼鏡店に勤めていましたが、ルネッタバダのデザインが斬新で何本も購入しました。インターネットがない時代のため、テレビドラマのエンドロールで流れる衣装協力や、ファッション誌のクレジットをチェックしてバダを追っかけていたんです。
あの頃は日本にメガネ専業のブランドが皆無で、アパレルブランドのライセンス契約でつくられたものが中心でした。そんななかバダは原宿や京都にオンリーショップを構え、欧米にも進出。海外でも成功を収めた日本初のアイウエアブランドとなったのです」
80年代は吉川晃司や柴田恭兵といった時代の顔が、ルネッタバダを掛けてテレビに登場して話題に。モデルやスタイリストなどにフレームをリースして、ファッションを媒介としたプロモーションを行ったことも画期的であった。こうして情報感度が高い若者が、こぞって支持したのだ。
当時のムードを再現し現代風にアップデート。
当時を知る竹中さんは、復刻したニューモデルをどう評価する?
「正直、驚きました。過去の図面を完全に復刻しているためデザインは昔のままですが、重厚なアセテートの質感や手磨きによるエッジ、堅牢な7枚蝶番といった、ディテールが美しく、高級感が増しています。オリジナルの趣を再現しながらも、質感や耐久性が高くなり、アップデートされている。ブリッジ幅が少し狭いデザインがいま見ると新鮮で、トレンドの一歩先をいっていますね」
そのスタイルはファションともリンクしているとか。
「バブル景気に突入する少し前、ファッション好きな最先端の若者たちは、ボックス型のシルエットに肩パッドが入ったジャケットに、ルネッタバダのサングラスを合わせていました。いまもビッグシルエットやタックパンツといった、80sファッションが流行していますよね。大ぶりなサイズ感で大胆なフォルムのルネッタバダは、現代のファッションムーブメントにマッチしています」
80年代のトレンディな空気感を纏い、アップデートされたルネッタバダ。嬉しいことに、いまはわざわざヴィンテージフレームを探さなくても、昔のデザインを忠実に再現して、品質が向上したフレームが手に入る。
そんな時代にどうメガネをかけるかはあなた次第だが、ブランドの歴史やアーカイブを知って復刻モデルを手にすると、愛着が湧き、より自分らしいスタイリングができるはずだ。
「ルネッタバダ」のニューモデルをチェック。
再始動したルネッタバダは、眠っていた図面を元に、当時と同じ工場でフォルムを完全に再現した。ファーストコレクションは、過去の膨大なアーカイブからブランドらしさが感じられる象徴的なモデルをリプロダクト。蝶番やテンプルの芯金などのメタルパーツは現代の技術でアップデートされた。
No.18
ストレートのブロウラインが潔いビッグシェイプのサングラスは、かつて吉川晃司が愛用したモデルの復刻版。仮面のように顔を覆うスタイルが斬新で、近未来感を感じさせる。4万7300円
No.10
エッジを立たせた大ぶりのウェリントンは、ブリッジの幅が少し狭いバダらしいスタイルだ。極太のテンプルはラグジュアリーな雰囲気があり、側頭部に柔らかくフィットする。4万5100円
No.23
俳優の柴田恭兵がテレビドラマ「あぶない刑事」で着用していた人気モデルが復刻。直線的なブロウラインとサイドに施した大胆なカッティングが特徴で、キリリと顔が引き締まる。4万5100円
No.676
レトロな趣になりがちなラウンドシェイプは、ブリッジやフロントサイドにボリュームをもたせることで、モードなテイストに。テンプルから透けて見える芯金がアクセントになる。4万5100円
No.39
ボッテリと大ぶりのサーモントは、肉厚なブロウやブリッジを合わせた重厚感のあるデザイン。クリアのアセテート生地から、メカニカルなメタルパーツが見えるギミックが面白い。4万7300円
【問い合わせ】
G.B.ガファス 渋谷
TEL03-6427-6989
※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。
(出典/「2nd 2023年4月号 Vol.193」)
Photo/Yuco Nakamura(Item) Takano Fujii
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