新進気鋭のヴィンテージショップを突撃取材。ヨーロッパ製のアクションスポーツウェアを狙え!

  • 2023.02.17

それまで勤めていた某アパレル会社をリタイア、新店を開店し、まだわずか一年余りにも関わらず、ファッション業界人をはじめとした、ウェルドレッサーからの注目を浴びる「memory memento remembrance」というヴィンテージショップをご存じだろうか。

偏愛ブランドを集中的に取り扱うスタイル。

「自分が好きな洋服だけを嘘なく提案したいし、無駄なモノは取り入れすぎない主義です」と話すオーナーの黒沼氏。ご自身のファッションのニッチな嗜好、偏愛ぶりを自認している。取り扱う古着は、巷で流行っている認知度の高いブランドとは決して言えない。しかし、アパレル業界に15年以上携わっている私でも、ブランド名は聞いたことはあっても、「こんなに素敵なデザインがあったのかー!」といった感動が次から次へと溢れ出てきたのが、店を訪れた際の率直な感想だ。

昨今、古着マーケットでは、patagoniaをはじめ、THE NORTH FACEL.L.BEANEddie Bauerなどアメリカ発祥のアウトドアブランドが盛り上がりを見せている。私も上記に挙げたブランドを古着店で漁っているひとりではあるが、最近では、もう少し新鮮なファッションを取り入れてみたいと考えていた矢先、“memory memento remembrance”というショップと出会った。黒沼氏が得意とするカテゴリーは、ヨーロッパ製のサーフィンやスノーボードなどのアクションスポーツウェアである。デザインやディテールに加え、ヨーロッパならではの独特な色彩感覚に心を奪われた。ところで、オーナーの黒沼氏は元々、古着業界に携わっていたわけではなく、某有名帽子ブランドの直営店スタッフだったという異色の経歴。「フッションという分野でもまずは、専門店で働いてみたかった」と話す同氏は、古着の品揃えにも、専門性を意識した独特な提案が垣間見られた。というのも、広く浅くヴィンテージを取り扱うのではなく、特定のブランドの特定のアイテムを必死に集めて、縦に積んで“らしいスタイル”を提案する。私が訪れた際も、ご本人の趣味嗜好や偏愛をダイレクトかつ分かりやすく受け取ることができた。

オンラインショップでの運営がベースではあるが、今年に入り、月に平日5日間だけ代々木公園にある貸しスペースで直接、商品に触れることが可能だ。この記事では、220日~24日のポップアップショップで展開する商材を中心に、同氏の偏愛ぶりをご紹介していきたいと思う。

まさに、着るアート。入手困難なOXBOW

90年代前半に流行したサーフウェアやスノーボードなどのエクストリームスポーツウェアを扱っていたフランスのブランド。昨年の冬は、肉厚のセーターを中心に紹介していたそうですが、今回のポップアップでは、少しずつ集めてきたトラッカージャケットをお披露目するのだが、仕入れにはかなり苦労したそう。というのも、数多いるヴィンテージディーラーに尋ねても所有していないことに加え、情報すら入って来ない。最終的にはOXBOWのコレクターをなんとか探しあて、直接コンタクトをとって、無理を言って譲ってもらったそうだ。それくらい現地でもタマ数は少なく、当然日本でも取り扱う古着店は少ない。

「理屈じゃなくて、感情的なデザインが好きです」とオーナーの黒沼氏は話す。アイテムとしては、アメリカンなトラッカージャケットに影響を受けながらも、デニム生地をキャンバスに見立て、様々なモチーフが自由に描かれている。年代によっても、モチーフは変化しているそうだ。こちらのジャケットは、ブランド初期の80年代後半から90年代初期のもので、オリエンタルなプリントを多用したシーズンのアイテム。

裏側にひっくり返しても、様々なテイストのプリント生地が一面にパッチワークされていてデザイン性も高い。当時のデザイナーの感情がデザインに投影され、まるでアート作品に見えているのは、きっと私だけではないであろう。

ユーロ企画のadidasトラックジャケットを豊富なバリエーションで展開。

「adidasのトラックジャケットは、オーバーサイズで着るより、少しぴたっと着るのがカッコいいと思います。集めている中で分かりましたけど、様々なブルー系があり、レンジも広いです」とのこと。

個人的には、映画『ザ・ロイヤル・テネンバウムズ』で天才テニスプレイヤーだったリッチーがFILAのウェアにテーラードジャケットを重ねているようなスポーツ・ミックススタイルを表現したいと考えている。

他人と被らないゴアテックスのマウンテンパーカならberghaus。

Jamiroquai(ジャミロクワイ)を代表する90年代の名曲『Virtual Insanity』のPVの中で、ジェイ・ケイがそのフリースジャケットを着用していたことで有名なberghaus。UKを代表するアウトドアブランドのひとつだが、今回は80年代~90年代にかけてイギリスで生産されたゴアテックスのシェルパーカを中心に集めたそうだ。

「UKブランドでありながら、7080年代のノースフェイスにあったようなカラーリングが気に入っています。マットでインクをベタっと載せた感じです」と同氏。

SILVER TABの影に隠れた名作。Levi’s L2。

ご紹介してきたスポーツ系やアウトドア系などのブランドだけではなく、90年代に流行していた空気感を味わえるブランドもラインナップ。日本での認知度は決して高くはないが、1990年~2000年代にリリースされ、ひと癖ある独特なデザインがコアのファンに支持されているLevi’s L2。SILVER TABの次にブレイクする予感が漂っているシリーズである。使用感があり、状態がよくないものはたまに見つかるが、なんと今回はデッドストックを用意できたとのこと。

図太いシルエットは、SILVER TABにも通じており、独特なカッティングに加え、癖のあるロゴの使い方も新鮮だ。

オーセンティックなデニムやチノパンに飽きた方にオススメしたい。「この面構えでLevi’s?」ってのが、堪らないですよね。

以上は、ラインナップのほんの一部に過ぎず、古着の楽しみ方は、人それぞれなのだが、今回の取材を通して「当時の人の暮らしぶりや思想を、手に取ってあれこれ想像してみるのも古着を楽しむ醍醐味なのではないか?」と改めて思わせてくれた。飽きの来ない、着易いデザインにふと手が伸びてしまう昨今のマインド。これらに一石を投じてくれるようなラインナップを着てみて触って、私自身にとっても洋服を好きになり始めた頃の熱い気持ちをもう一度、呼び覚ますきっかけとなった。“memory memento remembrance”が提案する古着の価値を通して、ご自身のファッションとの向き合い方のヒントになれば、嬉しく思う。

“memory memento remembrance”

東京都渋谷区富ヶ谷1-51-12-代々木公園ハウス401(ノボレ1R)
次回営業日:2023 220()224()
営業時間:13002000 (24日は1700まで)
https://memere.theshop.jp/
INSTAGRAM @memory_memento_remembrance

LiLiCo

昭和45年女

人生を自分から楽しくするプロフェッショナル

LiLiCo

松島親方

Lightning, CLUTCH Magazine, 2nd(セカンド)

買い物番長

松島親方

ランボルギーニ三浦

Lightning

ヴィンテージ古着の目利き

ランボルギーニ三浦

ラーメン小池

Lightning

アメリカンカルチャー仕事人

ラーメン小池

上田カズキ

2nd(セカンド)

アメリカントラッド命

上田カズキ

パピー高野

2nd(セカンド)

断然革靴派

パピー高野

村上タクタ

ThunderVolt

おせっかいデジタル案内人

村上タクタ

竹部吉晃

昭和40年男, 昭和45年女

ビートルデイズな編集長

竹部吉晃

清水茂樹

趣味の文具箱

編集長兼文具バカ

清水茂樹

中川原 勝也

Dig-it

民俗と地域文化の案内人

中川原 勝也

金丸公貴

昭和50年男

スタンダードな昭和49年男

金丸公貴

岡部隆志

英国在住ファッション特派員

岡部隆志

杉村 貴行

2nd(セカンド)

ブランドディレクター

杉村 貴行

2nd 編集部

2nd(セカンド)

休日服を楽しむためのマガジン

2nd 編集部

CLUTCH Magazine 編集部

CLUTCH Magazine

世界基準のカルチャーマガジン

CLUTCH Magazine 編集部

趣味の文具箱 編集部

趣味の文具箱

文房具の魅力を伝える季刊誌

趣味の文具箱 編集部

タンデムスタイル編集部

Dig-it

初心者にも優しいバイクの指南書

タンデムスタイル編集部

昭和40年男 編集部

昭和40年男

1965年生まれの男たちのバイブル

昭和40年男 編集部

昭和45年女 編集部

昭和45年女

“昭和カルチャー”偏愛雑誌女子版

昭和45年女 編集部

昭和50年男 編集部

昭和50年男

昭和50年生まれの男性向け年齢限定マガジン

昭和50年男 編集部