ローファー履いても怠けるな! 洒落者の巧みな履き分け術。【前編】

ドレスからカジュアルまで、どんなスタイルにもマッチするローファー。だからと言ってその名の由来のように怠け者にはなるべからず。洒落者はしっかり履き分けのテクニックを心得ているべきなのだ。そこで、ファッション業界の洒落者たち4人の履きこなしを見させてもらった。

1.「サンカッケー」デザイナー・尾崎雄飛さん

1980年生まれ。大手セレクトショップのバイヤーやブランドのディレクターなどを経て独立。10周年を迎えたサンカッケーでは特別アイテムを限定販売。

【ドレス】ドレッシーな装いにはリザードでダンディズムを。

スーツ/ヘンリー・プール、シャツ/シャルベ、タイ/エルメス

英国スーツの聖地であるサヴィル・ロウで、最古のテーラーとして知られるヘンリー・プールのスーツで登場した尾崎さん。足元はあえてクロコダイルでオーダーした名作ローファーを合わせた。「厳密なフォーマルであれば、ローファーはNG。光沢のある生地ではなく、ヴィンテージのホップサックなので堅くなりすぎず、逆に足元はエキゾチックレザーで華やかさを入れ、バランスを取りました」

ジェイエムウエストン

パーソナルオーダーしたブルーリザードの180ローファー。以前はレギュラーでラインナップされていたが、現在はオーダーのみ。ライニングを白に変更し、インソールには旧ロゴを入れた特別仕様。

【カジュアル】長めのレングスと合わせてあえて野暮ったさを演出。

ジャケット、シャツ/ヴィンテージ、ジーンズ/リー

100年以上前の英国製のシルクジャケットに、101Zの最初期であるセンター赤タグというパワフルなコーデで登場した尾崎さん。足元は今でも作り続けているグッチの名作ローファーをセレクト。「ビッグメゾンがずっと作り続けている名作だから、現行品を買うことに意義がある。短めの丈で合わせるのもいいですが、クラシックなカウボーイジーンズを長めのレングスで履くくらいが自分らしい」

グッチ ビットローファー

1950年代にリリースされた名作ローファー。細かなディテールや素材をアップデートしながら、プレッピースタイルの定番として輝き続けている。こちらは 1953コレクションの60周年記念タグ。

2.「ディストリクトUA」セールスマスター・森山真司さん

ディストリクト UA でセールスから企画まで携わる。「今秋は大人が着られるサイ別注MA-1をリリースします」

【ドレス】ブラックのローファーは変化球を選びたい。

ジャケット/フミトガンリュウ、シャツ/ブルックスブラザーズ パンツ/ バリーブリッケン、ネクタイ/ジュープ バイ ジャッキー

Aラインのジャケットにチノパンを合わせた、カジュアリ寄りのドレスコーデ。「ブラックのローファーを履くときは、肩の力を抜けた着こなしが気分。ディテールや素材が少し変わったアイテムを選びました」。もちろんスウェードのローファーもその延長。「スウェードの質感は上品だけど、気軽に履ける一足です」

フラテッリ・ ジャコメッティ

イタリアンブランドによる、ハンドウェルトの一足。「イタリア製の繊細さを保ちつつ、フレンチ風に仕上げたシルエットが魅力です」。97900(ディストリクト ユナイテッドアローズ)

【カジュアル】カントリーやミリタリーの要素をバランスよくミックス。

ニットジャケット7万4800円/カラービーコン シャンブレーシャツ2万2000円/ディストリクトユナイテッドアローズ(以上すべてディストリクト ユナイテッドアローズ)ツールボックスパンツ/セネリエ メガネ/レスカ

「カントリーやミリタリーの要素を入れつつ、そこまでラフにならないように」と、ラペル付きのニットジ ャケットを羽織り、パンツも7分丈でシューズのボリュームをアピール。「ブーツでは無骨過ぎるし、ドレスなローファーもトゥーマッチ。パラブーツのタフなローファーが1番しっくりくるコーデだと思います」

パラブーツ

雨に強いリスレザーを採用した人気モデルのランス。「パラブーツはゆったりした履き心地が多いけど、これはフィット感がよく歩きやすい」。79200(ディストリクト ユナイテッドアローズ)

3.「エンメ」PR・堀内凜太朗さん

イタリア発のラルコバレーノや、オリジナルブランドのコロンのPRを担当。「今秋のコロンはシャツが充実!!

【ドレス】タッセルローファーの足元はソックスもアクセント。

ベルトレスパンツ3万5200円/コロン(エンメTEL03-6427-2261)、ジャケット/オルビウム シャツ/ラルフローレン ネクタイ/アスコット

千鳥格子のジャケットにデニムシャツを合わせたフレンチスタイルのこだわりは、パンツのシルエットとシューズのバランス。「コロンのベルトレスパンツは、一見するとドレスのアイテムだけどカジュアルに履ける1本。タッセルローファーの雰囲気にも合うし、ソックスを差し色にして、抜け感も出しました」

クロケット&ジョーンズ

現在は3までリリースされている、キャベンディッシュのセカンドモデル。「1 3とは 違う少しワイドなシルエットが特徴。日本人には3が合うと言われていますが、自分はこれが1番履きやすい」

【カジュアル】ロングシャツとスリッポンでリラックス感を演出。

インプリーツスタンドカラーロングシャツ2万6400円/コロン(エンメ) パンツ/ブルックスブラザーズ スカーフ/ユーズド

ゆとりのあるロングシャツを羽織ったカジュアルコーデは、季節感のあるカラーリングも魅力。「シャツのシルエットを際立たせつつ、パンツの裾をダブルにすることで、スリッポンも目立たせています。シンプルで履き口が大きいので、冬以外は素足で履くことも。使い方ではリラックス感も出せる一足ですね」

オールデン

4年ほど前にリリースされた、 ビームス インターナショナル ギャラリー別注のカーフプレーントゥスリッポン。「別注ならではのミニマムなデザインに一目惚れ。カジュアルに履くことが多いです」

4.「トゥモローランド」PR・川辺圭一郎さん

トゥモローランドのプレスとして、ドレスからカジュアルまで幅広く担当。休日は久しぶりにフェスを満喫中。

【ドレス】シックなワントーンコーデは小物がアクセント。

ネクタイ1万9800円/フラテッリ ルイージ(トゥモローランドTEL 0120- 983-522)、ブレザー/フミヤ ヒラノ、シャツ/エリッコ フォルミコラ、スラックス/ベルナール ザンス、メガネ/アルガワークス

シックなワントーンで仕上げたドレスコーデは、レジメンタルタイやソックスなど、小物をアクセントに使用。「フレンチスタイルをベースにしているけど、ラウンドカラーのシャツやLポケ仕様のパンツなど、各アイテムはカジュアル。それだけに、足元はストレートに、ブラックカーフのウエストンを合わせました」

ジェイエムウエストン

ベーシックなブラックカーフの180シグニチャー。10年以上愛用しているため、ほどよい風合いも出ている。「日常の一足なので、かなり足に馴染んでいます。そろそろ2回目のリペアをする予定」

【カジュアル】往年のフレンチカジュアルを今の気分で再構築。

アーガイルセーター6万9300円/トゥモローランド トリコ(トゥモローランド)、 スラックス/ベルナールザンス、スカーフ/トゥモローランド、 メガネ/フレンチヴィンテージ

「今季のトゥモローランドのテーマのひとつに、7080年代のフレンチカジュアルがベースにあります」。トップスはフレンチっぽいオリジナル、パンツはフランスのブランド。その流れなら足元はウエストンかもしれないけど、そこはあえてバスで。コンビカラーの一足は、フレンチアイビーにもマッチするかなと」

ジーエイチ バス

マイケル・ジャクソンも愛用したブラック&ホワイトのコンビカラーが印象的な一足。「ローファーの王道ブランドなので、少し変化球的な配色を選んだけど、スタイルのアクセントに大活躍しています」

※情報は取材当時のものです。現在取り扱っていない場合があります。

(出典/「2nd 202211月号 Vol.188」)

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

【ORIENTAL×2nd別注】アウトドアの風味漂う万能ローファー登場!

  • 2025.11.14

これまでに、有名ブランドから新進気鋭ブランドまで幅広いコラボレーションアイテムを完全受注生産で世に送り出してきた「2nd別注」。今回もまた、渾身の別注が完成! >>購入はこちらから! 【ORIENTAL×2nd】ラフアウト アルバース 高品質な素材と日本人に合った木型を使用した高品質な革靴を提案する...

Pick Up おすすめ記事

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

グラブレザーと、街を歩く。グラブメーカーが作るバッグブランドに注目だ

  • 2025.11.14

野球グローブのOEMメーカーでもあるバッグブランドTRION(トライオン)。グローブづくりで培った革の知見と技術を核に、バッグ業界の常識にとらわれないものづくりを貫く。定番の「PANEL」シリーズは、プロ用グラブの製造過程で生じる、耐久性と柔軟性を兼ね備えたグラブレザーの余り革をアップサイクルし、パ...

雑誌2ndがプロデュース! エディー・バウアー日本旗艦店1周年を祝うアニバーサリーイベント開催決定!

  • 2025.11.21

エディー・バウアー日本旗艦店の1周年を祝うアニバーサリーイベントを本誌がプロデュース。新作「ラブラドールコレクション」や本誌とのコラボなど、ブランドの情熱が詰まった特別な9日間を見逃すな! 来場者には限定のブランドブックを配布! 今回のイベントに合わせ、「エディー・バウアー」をもっと知ってもらうため...