一瞬で印象を変える特効薬。アイウエアで男のカジュアルコーデを1UP!

アイウエアは、大人のカジュアルファッションにちょうどよいアクセサリー。装飾過多になることなくスタイリングの印象を劇的に変えてくれるのだから、これを取り入れない手はない。ポイントはトラディショナルな素材やデザインのフレームを選ぶこと。スタイルのお手本となるのは、アイウエアを象徴的に身につけた往年のファッションアイコンたちだ。彼らが愛した基本であり決定版でもある6つの型の中から、自分らしいスタイルを探してみよう。

1.トラッドの大定番。グレゴリー・ペックが愛した「ボストン」

20181128_3_01-1

逆おむすび型を基本とした縦長の丸みのあるフォルムが特徴の「ボストン」。テンプルがやや下の位置から出ており、上辺のラウンドが柔らかな印象を与える。名前の由来は、アメリカ東海岸のボストンにある名門校の学生たち、いわゆるアイビーリーガーが愛用したことにあるという説も。ハリウッド俳優のグレゴリー・ペックは、映画『アラバマ物語』の弁護士役でべっ甲柄のボストンを着用。メガネにシアサッカー素材のスリーピースという知的な装いは、正統派サマートラッドのお手本にもなった。

20181128_3_01-2

ボストン型の代表モデルとされるオリバーピープルズの「505」は、1987年の1stコレクションより登場したブランドの大定番。べっ甲柄フレームとメタルブリッジがクラシカルな名品。3万3480円(オリバーピープルズ 東京ギャラリー 03-5766-7426)

2.サングラスでもおなじみ。マイケル・ケインが愛した「ウェリントン」

20181128_3_02-1

「ウェリントン」は上辺より下辺が短い逆台形のシルエットで、テンプルは最上部から出ているのが一般的。レイバンをはじめとするサングラスでもおなじみの型だ。肉厚なプラスチック素材を使ったモデルが多く、凛々しさや知性の中に力強さも感じさせることから、スーツスタイルとの相性は抜群。カジュアルスタイルでは清潔感を演出してくれる。英国の名優マイケル・ケインは、映画『国際諜報局』で身につけていたオリバーゴールドスミスのウェリントン型[CONSUL-s]をプライベートでも愛用していたという。

20181128_3_02-2

「CONSUL-s」は英国の老舗ブランド・オリバーゴールドスミスが誇る名作。プラスチックフレームは8mmもの厚みがありながらすんなりと顔になじみ、スタイリッシュな印象に。3万4560円(コンティニュエ 03-3792-8978)

3.かける人を選ばない。ウディ・アレンが愛した「ボストンウェリントン」

20181128_3_03-1

近年分類された「ボストンウェリントン」は、ボストンとウェリントンの中間のようなシェイプが特徴。ウェリントンとは違い、やや下の位置からテンプルが出ているため印象がマイルドで、かける人を選ばない。どんなカジュアルスタイルにも合わせやすいが、生地が厚いものほどクラシックな印象が強まると心得よう。人気に火をつけたのはジョニー・デップであるものの、トラディショナル愛好家にはウディ・アレンの影響が圧倒的。

20181128_3_03-2

ウディ・アレンやジョニー・デップの愛用モデルは、米国アイウエアの名門ジュリアス・タート・オプティカルの「AR」。長らくブランドを休止していたが、昨年、待望の復活を遂げた。3万9960円(G.B.ガファス 03-6427-6989)

4.意志の強さを象徴する、マルコムXが愛した「サーモント」

20181128_3_04-1

フロント上部がプラスチック製、ブリッジと下リムがメタル製の「サーモント」。ブリッジがプラスチックでつながっているものはブロー型とも呼ばれる。眉のラインが強調され、知性や意志の強さを感じさせるスタイルは、政界や金融業界のエリートたちに持てはやされた。そんなサーモント型のアイコンといえば、黒人解放運動の指導者マルコムX。彼が好んで着用していたシューロン社製の一本は、米国アイウエアの名作とされる。

20181128_3_04-2

サーモント型の筆頭とされるレイバンの「CLUBMASTER」。1986年登場と歴史は浅いが、同ブランドの「ウェイファーラー」と並ぶ人気を誇る。2万3760円(ミラリ ジャパン 03-3514-2950)

5.ポップでチャーミング! デイビット・ホックニーが愛した「ラウンド」

20181128_3_05-1

正円か、それに限りなく近い丸型フレームの「ラウンド」。最もクラシックな型をルーツに持つがゆえの、時代やトレンドに左右されない確固たる存在感が魅力だ。ユーモラスな雰囲気もあわせ持つため、きれいめな着こなしのハズしアイテムにも最適。アメリカの喜劇役者ハロルド・ロイドがかけていたことに由来する「ロイド眼鏡」の別名でも知られるが、画家のデイビット・ホックニーもまた、ラウンド型を愛したアーティストのひとり。真ん丸眼鏡で独自のトラディショナルを作り上げた。

20181128_3_05-2

日本が誇るメガネ専門店、白山眼鏡店の「Round」は、1930年代のスタイルを想い起こさせるプラスチック製の正円型。明るい色味を選ぶとポップでチャーミングなアクセントに。3万1320円(白山眼鏡店ウォールズ 03-5468-0397)

6.他にはない造形美。ル・コルビュジエが愛した「クラウンパント」

20181128_3_06-1

「クラウンパント」は欧米では「パント」と呼ばれるボストン型やラウンド型をベースにしたもので、上部を角ばらせた形が王冠(クラウン)のように見えることから名付けられた。個性的な見た目に反してスタイリングの幅は広く、アメリカントラッドやアイビースタイルによく似合う。このシェイプはヨーロッパヴィンテージによく見られ、特にフランスで活躍した著名人に愛好者が多い。世界的な建築家ル・コルビュジエもその造形美に惚れ込み、パリの老舗べっ甲屋とレスカで同じタイプの眼鏡をあつらえていたという。

20181128_3_06-2

レスカ・ルネティエは、20世紀初頭からメガネの産地として知られるフランス南部ジュラ地方発のブランド。アーカイブを基に作られる「PICA」のフレームはクラウンパントの代表モデル。3万9960円(グローブスペックス エージェント 03-5459-8326)

お気に入りのアイウエアを、まるで体の一部のようにさりげなく、かつおしゃれに身につけているファッションアイコンたち。彼らのように「これぞ!」という一本にめぐり合うべく、まずは自分の顔立ちや雰囲気にしっくりとなじむ型を見つけることから始めてみよう。

この記事を書いた人
2nd 編集部
この記事を書いた人

2nd 編集部

休日服を楽しむためのマガジン

もっと休日服を楽しみたい! そんなコンセプトをもとに身近でリアルなオトナのファッションを提案しています。トラッド、アイビー、アメカジ、ミリタリー、古着にアウトドア、カジュアルスタイルの楽しみ方をウンチクたっぷりにお届けします。
SHARE:

Pick Up おすすめ記事

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

決して真似できない新境地。18金とプラチナが交わる「合わせ金」のリング

  • 2025.11.17

本年で創業から28年を数える「市松」。創業から現在にいたるまでスタイルは変えず、一方で常に新たな手法を用いて進化を続けてきた。そしてたどり着いた新境地、「合わせ金」とは。 硬さの異なる素材を結合させるという、決して真似できない新境地 1997年の創業以来、軸となるスタイルは変えずに、様々な技術を探求...

今こそマスターすべきは“重ねる”技! 「ライディングハイ」が提案するレイヤードスタイル

  • 2025.11.16

「神は細部に宿る」。細かい部分にこだわることで全体の完成度が高まるという意の格言である。糸や編み機だけでなく、綿から製作する「ライディングハイ」のプロダクトはまさにそれだ。そして、細部にまで気を配らなければならないのは、モノづくりだけではなく装いにおいても同じ。メガネと帽子を身につけることで顔周りの...

今っぽいチノパンとは? レジェンドスタイリスト近藤昌さんの新旧トラッド考。

  • 2025.11.15

スタイリストとしてはもちろん、ブランド「ツゥールズ」を手がけるなど多方面でご活躍の近藤昌さんがゲストを迎えて対談する短期連載。第三回は吉岡レオさんとともに「今のトラッド」とは何かを考えます。 [caption id="" align="alignnone" width="1000"] スタイリスト・...

Pick Up おすすめ記事

2025年秋冬、「ジェラード」から厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来!!

  • 2025.12.12

2025年秋冬、ジェラードらしいネイティブアメリカン、ミリタリー、クラシックなワークウエアなど、厳選されたヴィンテージモチーフが息づく至高のコレクションが到来。Lightningがその中からおすすめアイテムを厳選して紹介する。 Salem Coat [Lot No_AG12420] 6年ぶりのリリー...

着用者にさりげなく“スタイル”をもたらす、“機能美”が凝縮された「アイヴァン 7285」のメガネ

  • 2025.11.21

技巧的かつ理にかなった意匠には、自然とデザインとしての美しさが宿る。「アイヴァン 7285」のアイウエアは、そんな“機能美”が小さな1本に凝縮されており着用者にさりげなくも揺るぎのないスタイルをもたらす。 “着るメガネ”の真骨頂はアイヴァン 7285の機能に宿る シンプリシティのなかに宿るディテール...

スペイン発のレザーブランドが日本初上陸! 機能性、コスパ、見た目のすべてを兼ね備えた品格漂うレザーバッグに注目だ

  • 2025.11.14

2018年にスペイン南部に位置する自然豊かな都市・ムルシアにて創業した気鋭のレザーブランド「ゾイ エスパーニャ」。彼らの創る上質なレザープロダクトは、スペインらしい軽快さとファクトリーブランドらしい質実剛健を兼ね備えている。 日々の生活に寄り添う確かなる存在感 服好きがバッグに求めるものとは何か。機...

上野・アメ横の老舗、中田商店のオリジナル革ジャン「モーガン・メンフィスベル」の凄み。

  • 2025.12.04

ミリタリーの老舗、中田商店が手掛けるオリジナルブランド、「MORGAN MEMPHIS BELLE(モーガン・メンフィスベル)」。その新作の情報が届いたぞ。定番のアメリカ軍のフライトジャケットから、ユーロミリタリーまで、レザーラバー垂涎のモデルをラインナップしているのだ。今回は、そんな新作を見ていこ...

時計とベルト、組み合わせの美学。どんなコンビネーションがカッコいいか紹介します!

  • 2025.11.21

服を着る=装うことにおいて、“何を着るか”も大切だが、それ以上に重要なのが、“どのように着るか”だ。最高級のプロダクトを身につけてもほかとのバランスが悪ければ、それは実に滑稽に映ってしまう。逆に言えば、うまく組み合わせることができれば、単なる足し算ではなく、掛け算となって魅力は倍増する。それは腕時計...