※インタビュー時は写真NGだったので、Apple Park内のVRっぽい光景。Observatoryのロビーにある『hello』のオブジェ。去年は透明だったのが、今年は上部がグレーになっていた。
Vision ProとSiri AIは非常に相性がいい
今年もvisionOSは進歩した。今年の注目はSiri AIとVisual Intelligenceだ。

ふわふわと中空に浮かぶ水晶玉は、面白いが単なるビジュアルの工夫かもしれない(自由に移動可能で、実際の机の上にコースティクス(光の集光模様)がリアルタイムで描かれるのは面白い)、Vision ProとSiri AIの相性は非常にいい。
空間でどうやってテキストを打ち込むかというのは常に課題だったが、音声でスムーズに入力、指示できるのは非常に便利。インターフェイスとして、コンピュータの魔法にまた一歩近づいた気がする。
Vision ProのSiri AIは、実空間にあるものも見られる
それだけではなく、Vision ProではVisual Intelligenceが非常に上手く動作するのだ。

たとえば、こちら。
ウェブサイトを見ながら、「私の9月のフライトにこのバッグは使えるだろうか?」と質問してみる。
Siri AIは、私のパーソナルコンテキストを理解しているので、たったそれだけの指示で、過去のメールのやりとりなどから(個人情報を保持したまま) 搭乗便を探し出し、搭乗便の機内持ち込みサイズに収まるかどうかを確認してくれる。
さらに、実際に目の前のデスクの上にあるハイキングブーツがそのバッグに入るかどうか聞いてみる。

もちろんiPhoneでも、カメラに写せばVisual Intelligenceは機能するので同じことなのだが、Vision Proの場合、見ているものそのままをSiriが把握するので、なおのこと驚きは大きい。
この例では、Siri AIは「あなたのLowaのハイキングブーツは、REI Flash 22 Packに、物理的には入るけど、ちょっときつい」と回答を返してくれる。 Vision ProとSiri AI、Visual Intelligenceはこのように機能する。日常的にVision Proを装着したまま生活するわけではないと我々は分かってしまっているが、それでもできることは夢に描いていたことそのままだ。
visionOSには大きな可能性があるという回答
Vision Proには廃番の噂もあるし、WWDC 23の基調講演で我々が初めて使ってからすでに3年が経つが「普及した」というにはほど遠い状況にある。筆者を含め、WWDCに取材に来るメディアの何人かはホテルで原稿を書く際に使ってはいるが、日常的に装着しているわけではない。

(今年も、ちゃんと持って行って、ホテルでは使っていた)
そこで、筆者はWWDCで正面から質問してみた。「廃番の噂もあるが、Vision Proはどうなるのか?」と。
正直なところ答えにくそうで、将来の製品計画については話せない……という前提の上ではあったが、回答としては、空間コンピューティングはまだ始まったばかり(early innings)であり、サードパーティの没入型ビデオのリリースやYouTubeアプリの追加など大きな勢い(momentum)がある……というものだった。
そして、医師によるトレーニングや手術(日本の杉本真樹先生のことだろう)、自動車メーカーによるデザインでの採用(KIAなどで使われている)、一般ユーザーによる仮想ディスプレイの利用などの利用例があり、visionOSには大きな可能性があると考えていると回答された。
Vision Proは終わるのかもしれないが、visionOSを使ったデバイスは登場する
非常に回答しにくそうではあったが、現場で回答を聞いたものとしては「visionOSには大きな可能性がある」という言い方に注目したい。
Vision Proではなく、visionOSという言葉をあえて選んだように思えたのだ。
つまり、解釈すると『Vision Proの将来については語れないが、visionOSは今後も発展して、新しい製品が出るだろう』ということだ。

(これも実空間のApple ParkのSteve Jobs Theaterの前に置かれたWWDC 26のオブジェ)
それが、Vision Proのようなビデオパススルー式なのか、Even G2のような光学パススルー式なのかは分からない。筆者の取材したところでは、Vision Pro開発時に一度『光学パススルー式では、我々の望む機能(おそらく、実空間と描画オブジェクトの完全な融合)は実現できない』という結論に達したと言っていたアップルだが、技術の進歩により新たな可能性が見えたのか?
筆者は、これからもアップルの『visionOSデバイス』に注目していきたいと思っている。
(村上タクタ)
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