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ソニーからスピンアウトした『wena X』の発表会に行ってきた

ソニーからwena事業を引き継いだaugment AIは、バンド型スマートウォッチ『wena X』を発表。2026年3月20日午前11時からクラウドファンディングを開始した。価格は『wena X loop rubber』の超早割が4万6800円から(限定500本。すでに売り切れ済)。腕時計とスマートバンドを切り替えられる新構造に加え、小型化や省電力設計、AI連携機能を強化した第4世代モデルとして投入される。

GREEN FUNDING「wena X」
https://greenfunding.jp/lab/projects/9288

機械式時計を使いたい人が、スマートウォッチを使う方法

時計は時を知る道具であるとともにファッションアイテムでもある。

今でこそビジネスの現場でもApple Watchなどを使っている人が多いが、一昔前はそうしたシーンでスマートウォッチは受け入れられなかった。また、趣味として機械式腕時計を使っている人も多いだろう。そういう人にとっては、ヘルスケアのセンサーとしてスマートウォッチを使いたくても、時計は手放したくないという人も多いはずだ。

筆者自身はご存じのように11年前から、24時間365日Apple Watchを使っているので、他の時計には興味はないが、実家には父の形見の機械式時計があったりするから、wenaのようなベルト型スマートバンドがあれば、そういう時計を活用できるのに……という気持ちも分からなくはない。

wenaはそうした人がベルト・バックル側でヘルスケアデータを取るデバイスとして出発した。もともとはソニーのプロジェクトとして2015年にスタートし、第3世代まで開発されたが、2024年に事業の終了が発表された。

事業をどうしても続けたくて、ソニーからwenaを譲り受けた對馬さん

もともと、wenaのアイデアは對馬哲平さんが学生時代に考えたものなのだそうだ。そして、ソニーに入社し、社内プロジェクトとして製品化することができたが、会社判断として事業終了となった。会社が事業終了と判断したら一社員としては如何ともしがたい。

筆者も以前いた会社で、flick!というメディアの事業終了を体験したからよく規模は違えどよく分かる。flick!という事業を持って独立しようとしたが、それも許されなかった(正確にはちょっと違うが、おおまかには)。おそらく通常はそういうものだと思う。

しかし、對馬さんはソニーを出てaugment AI社を設立し、wenaを作り続けることを選び、ソニーもそれを許可して応援した。ソニーの懐の深さというか、モノづくりをしている人の気持ちを分かっている会社なのだと思う。とはいえ、数人の仲間でプロダクトを作る会社を興すのは容易なことではない。プロダクトに対する責任を自ら負わなければならないし、資金の準備も大変だろう。自己資金で開発を行ってきたことにも驚かされるが、今回のクラウドファンディングもリードタイムの長さからいうと生産資金を集めるためなのだろう。それこそ、クラウドファンディングの本道だと思う。

万が一事業が失敗したら多額の借金を抱えることになるという恐怖に震えながらの旅立ちなのだと思う。しかし、對馬さんは多くのwenaファンの、事業を続けてほしいという声を聞いて決断したのだそうだ。ソニーというブランドを背負って製品化すると、さまざまな内包されるコストは莫大なものになるが、スタートアップとして始めれば勝ち目が出るかもしれない。

そうした背景で、『wena X』がクラウドファンディングをスタートした。期間は3月20日から6月17日までで、目標金額の1000万円をすでに達成し、数時間で2億円に迫る資金を集めている。3,000人以上の支援を集めている点からも、既存ユーザーの支持の厚さがうかがえる。

スマートウォッチとしての完成度も向上

というわけで、製品の紹介に移ろう。

第4世代のwena Xの特徴は、バックルスタイルから、ベルトを付けてスマートウォッチとしての運用も可能になったこと。ランニングをする時や、睡眠時にはたしかにそちらの方が便利かもしれない。

新構造の採用により従来モデル比で約8.5%の小型化を実現。ハードウェアとソフトウェアの両面から省スペース化が図られている。ステンレス外装そのものをアンテナとして活用する設計により内部部品点数を削減し、ミルトシムNC加工技術による薄肉・複雑形状の筐体を採用することで容積効率を高めている。さらに、カーブ形状のディスプレイ、バッテリー、基板を立体的に配置。限られたバンド内スペースに高密度実装を行うことで、小型化と機能性を両立している。

OSには超省電力『wena OS』を採用。バッテリー容量は80mAhと小容量ながら、約1週間の連続駆動を実現する。一般的なスマートウォッチが300mAh前後、スマートバンドでも160〜180mAh程度であることを考えると、半分以下の容量で同等以上の駆動時間となる。充電頻度は週1回程度を想定し、500回充電後でも約80%の性能を維持する設計だ。

バックル部分には生体センシング機構を内蔵。心拍数に加え、運動・睡眠の詳細なログ取得に対応する。130種類以上のエクササイズに対応し、Vo2MAXやフィットネス年齢といった指標も測定可能。日常の活動量からトレーニング用途まで幅広くカバーする。睡眠機能では、仮眠検出、スマートアラーム、睡眠スコア、睡眠分析を搭載。東京大学発スタートアップとの連携により、AIを用いた高精度な睡眠解析を実現している。取得データは国内サーバーで管理される。

ジェスチャーやNFCにも対応

操作はディスプレイでのタッチ操作に加え、ジェスチャー入力にも対応。バンドを軽く叩く、指ではじくといった動作で操作が可能となる。これらの動きはモーションセンサーで実現している。UIは腕時計の世界観を損なわないよう、細線とシックな配色を基調とした表示を採用。装着状態に応じて表示方向も最適化され、時計装着時は横表示、バンド単体では縦表示となる。

決済機能はNFCに対応し、国際ブランドのタッチ決済への対応を予定する。従来のSuicaなど交通系ICには対応しないが、グローバル市場を前提とした設計となっている。決済方式はプリペイドカード形式を採用予定だ。

早くも2億円を達成

wena Xはクラウドファンディング形式で販売される。開始は2026年3月20日午前11時にすでに始まっており、価格はラバーバンドモデルが4万6800円、メタル/レザーモデルが5万6800円。いずれも数量限定の超早割価格のみで、筆者が記事を書く前に売り切れてしまった。今はもう少し割引率の低いプランが受付中。クラウドファンディングではすでに2億5000万円を超えそうだ。

また、10周年記念のスペシャルエディションも用意される。スイス製機械式ムーブメント(SW200)を搭載したスケルトン仕様で、クラウドファンディング価格は約35万円となる。

作りたいという情熱を持って、ソニーを飛び出した對馬さんとその仲間たちのチャレンジを応援したい。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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