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【Apple Creator Studio使ってみた】480円/月(学生価格)で、映像でも音楽でも、プロクラスのクリエイティブを

アップルの新しいサブスクリプション施策『Apple Creator Studio』をひと足先に試用することができた。本日から利用できるApple Creator Studioについて、その機能詳細をお伝えするとともに、存在意義とどんな人に向いているかを解説しよう。Apple Creator Studioは一般ユーザーは月額1780円(年額1万7800円)、学生または教職員は月額480円(年額4800円)と破格。それぞれ1カ月無料で試用できるし、iPadまたはMacを購入すると3カ月間無料で試用できる。

Apple Creator Studio
https://www.apple.com/jp/apple-creator-studio/

初めてクリエイティブアプリを触る人にとっては安いはず

まず、この施策の意味について解説しておこう。

筆者を含め、普段からAdobe CCを使っていたり、すでにFinal Cut ProやLogic Proを使っている人は、「こんなの要らない」「この機能で1780円は微妙」という意見だったように思う。メディア人や、すでにプロとして生活しているクリエイターの大半はそういう人で、かつそういう人はネット上の声が大きいので、Apple Creator Studioをポジティブに捉えられる人は少なかったかもしれない。

月額9080円を払ってAdobe CCをすでに使っていたり、5万円買い切りでFinal Cut Pro、3万円買い切りでLogic Proを使ってる人にとっては、Apple Creator Studioは余計な出費だ。さらに、Apple Creator Studioがメジャーになって買い切り版がアップデートされなくなったりすると、自分が買った買い切り版の価値も下がってしまう。Apple Creator Studioに賛成できるわけがない。

しかし、立ち位置を変えて見よう。

クリエイティブワークはやりたいけど、月額9080円は払えない。YouTuberになってみたいけど、5万円のFinal Cut Proは買えない……となると、たった月額1780円でFinal Cut Proはもちろん、Logic Pro、Pixelmator Proなどを全部使えるApple Creator Studioは破格値。さらに学生や教職員なら月額480円というのは非常に安い。

なお、月額1780円という価格も例によって円安の影響は大きい。日本で1780円というと牛丼が3〜4杯食べられる。しかし、本来USでは12.99ドル。牛丼1杯よりも安いぐらいの値段なのだ。

というわけで、(私も含めて)詳しい人の言う『Apple Creator Studioは微妙』というのはおそらく間違っていて、『これからクリエイティブに取り組みたい』という人にはぴったりなセットなのだ。

Final Cut Proと、Logic Pro、Pixelmator Proが中心

どんなアプリがセットになっているかも解説しておこう。

まず映像編集のFinal Cut Pro。これさえあればYouTuberになれるばかりか、テレビ番組でも映画でも作れる。業界的にはAdobeのPremiere Proと頂点を争っている。

画像に追従するマグネティックマスクの生成も簡単だ。

Logic Proもプロの音楽製作用アプリ。大量のトラックを含む音源を編集できる。このアプリにはAdobeに対抗馬がなく、『映像編集→音楽も自作』とか『音楽製作→MVも作りたい』という人にはApple Creator Studioが向いているということになる。

Pixelmator ProはPhotoshopほどの機能はないが、写真を加工したり、絵を描いたりできるアプリ。ベクターデータも扱えるので、Photoshop+Illustratorともいえる。印刷業界など、本当のプロの場合、納品先がアプリのバージョンまで指定するのが常なので、AdobeのPhotoshop、Illustrator、InDesignなどを使わざるを得ないが、「写真加工」や「チラシ作り」だけのためにAdobe CCは高過ぎる……と思っている人には安価な代替手段のひとつだ。

これら、3つを組み合わせて使えるというのがApple Creator Studioのアドバンテージだ。つまり、YouTubeを編集したい、音楽を作りたい、それにまつわるちょっとした画像クリエイティブ、つまりアルバムジャケットとか、ポスターとか、ブローシャとか、ハガキとか、そういった類いのものを作りたいというなら、Apple Creator Studioはぴったりだ。つまり音楽クリエイター寄り。Apple Musicを作っているアップルらしいともいえる。

そこにどう思ったのか、Keynote、Pages、Numbers、フリーボードのアップグレード版が付属する。AI利用と、プレミアムテンプレートが付いているのが無料のバージョンとの違い。しかし、これはここに含まずに、無料版をアップデートした方が良かったと思う。もちろん無料版もこれまで通り使えるとアナウンスされているが、「将来無料版がなくなるのではないか?」など、無用な不安を生んでいるようにも思う。

そういえば、Final Cut Pro、Logic Pro、Pixelmator Proの買い切り版も従来通りアップデートされ、Apple Creator Studio版と同じ機能になるそうだ。しかし、「将来のことについては、いつも通りコメントしない」という方針が貫かれているので、「そのうちアップデートされなくなるのでは?」という不安を抱いている人は多いと思う。

ちなみに、他にApple Creator Studioに含まれているアプリについて解説しておこう。MotionはFinal Cut Proと組み合わせて使うタイトルやテロップのグラフィックを動かすアプリ。Adobeで言えばAfter Effectsに近い存在。CompressorはFinal Cut Proの書き出しエンジン。YouTube / Netflix / 放送局 / SNSなど、いろんなフォーマットに一気に書き出す際に便利。MainStageはLogic Proをライブで使えるようにするツール。それらを合わせて10本のアプリがあるように見せるというのは、少々無理があるような気がするが……。
Final Cut Pro+Motion+Compressorと、Logic Pro+MainStageはかなりプロラインだ。これらをこの価格で使えるのは確かにお得。それらを使う人が、タイトル画像や、プロモーション用の画像を作るのにPhotoshopやIllustratorを使うのは大げさ過ぎるから、Pixelmator Proというは分かりやすい構図だ。Adobe CCを使うすべての人に訴求するわけではないが、将来クリエイティブに携わりたい若者や、音楽系の人にはお得なパッケージだと思う。

Apple SiliconとAIを活用する方向に進化

それぞれ、試用版をお借りした。プロツールなので、特にLogic Proなどは急には使いこなせないが、Final Cut Proは使っていたことがあるので触れてみた。

Macで使えるのはもちろん、iPad版もある。学生の方だと、日常的に持ち歩いているのはiPadというケースも増えているだろうからそういう人には便利だろう。外付けディスプレイもサポートしているので、これはかなり使い込める。撮影した多くのカットから、望みのカットを探すのにAIを活用したアシスト機能があるのは便利。画像探しはかなり時間を食っていた作業なので、ここを手早くできるのは助かる。

音楽に合わせて、カットがパッパッと切り替わるような映像を作るのに便利なのが、『ビート検出』機能。ミュージックビデオはもちろんだが、最近はYouTubeなどでもカッコいい映像はこのテンポに合わせて映像を切り換える手法を使っているので、これは嬉しい。

その他にもカットの複数選択や、バックグランド書き出し、トランスクリプト検索など、Apple SiliconとAIを組み合わせた機能をふんだんに使っているのが魅力。Windows版を作らなければならないPremiere Proに対して、アップルデバイスのパフォーマンスを余すことなく引き出せるスタイルだ。

簡単・便利で、PhotoshopとIllustratorの機能をカバー

筆者は普段Photoshopを使っているのでPixelmator Proのインターフェイスには慣れない感じがしたが、PhotoshopやIllustratorも使いこなしているわけではないので、比較的簡単で分かりやすいインターフェイスのPixelmator Proも魅力的に感じた。

PhotoshopとIllustratorは絶対的なプロ向きだが、セミプロやアマチュア、学生にとっては、シンプルなPixelmator Proの方が扱いやすいと感じることも多いだろう。必要十分である。

アップル純正アプリ群は、生成AIを活かした機能と新テンプレートを追加

アップルのKeynote、Pages、Numbers、フリーボードについては、生成AIが使えるのが便利ポイント。世の中全体のことを考えると「やっと搭載」という気もしないではないが、Keynoteのスライドを作りながら、必要な画像をその場で生成できるのはやはり便利。

「OpenAIを利用しています」とクレジットが入っているので、ChatGPTのエンジンを使っていることになる。最近、SiriにGeminiを使うと発表されたのに、こちらはではChatGPT。アップルは自社製生成AIはとりあえず使わず、他社のエンジンを搭載する方向でしばらくは対応するようだ。

背景除去や、解像度向上にも生成AIを使えるし、スプレッドシートの欠損している数値を埋め合わせたりできる。そればかりか、スライドのレイアウトを整理したり、プロットからプレゼンテーションを起こしたりということもできるようになった。こちらも、「いまさら」な感はなきにしもあらずだが、やはりアプリ自体にインテグレートされているのは便利だ。

新テンプレートは魅力的ではあるが、それぞれのアプリが最初にリリースされてからあまりテンプレートが増えてないことの方が問題。これらのアプリケーションって、多くのプリセットのテンプレートがそのままになっている。日々増やしてくれれば、それがユーザーへのメッセージになると思うのだが。

“Be a Creator !!”、Apple Creator Studioでクリエイターになろう

というわけで、iPadやMacを日常的に使っている学生などが、日常の作業にクリエイティブを加えたり、自分で動画を編集したり、音楽を作ったり、映像を加工したり……ということをするなら、Apple Creator Studioは最適なチョイスとなるだろう。

Adobeは、Adobe CCを高価だと思う人向けに、最近はAdobe Expressをプッシュしているが、こちらはよりAI駆動を軸として、あまり自分で作業しなくてもクリエイティブが生成されるのを売りとしている。Apple Creator Studioは、Adobe CCよりは平易で、少しAIがサポートしてくれる……ぐらいの位置づけになるだろう。

Final Cut ProやLogic Pro、Pixelmator Proなどのアプリは、本当にプロクラスのアプリなので、それを月額課金とはいえ低価格で扱えるのは嬉しい。興味ある方は、ぜひ試してみていただきたい。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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