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雪国の景色を変える、エバーブルーテクノロジーズの除雪ドローン現地取材

「エバーブルーテクノロジーズの除雪ドローンが、雪国の景色を変えるかもしれない」そう言うと、多少なりとも雪国のことを知っている人は、「こんな小さな機械じゃウチの雪は押せないよ」と、疑心暗鬼になるとエバーブルーテクノロジーズの野間恒毅さんは言う。「しかし、それはこれまでの話なんですよ」と野間さん。

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エバーブルーテクノロジーズ
https://www.everblue.tech/

北海道の雪はすごかった

取材に行ったのは3月の初旬。関西の生まれである筆者は、すでに新千歳空港に着いた時点で驚いた。寒いし、空港にもしんしんと雪が降り積もり除雪車が働き続けている。飛行機の主翼の上の雪を取り除く作業が当たり前のように行われている。

札幌までJRの快速で40分あまり。乗り換えて特急でさらに北に約1時間。車窓から見える景色は完全に真っ白な雪原が続く。この大地で、毎日雪と戦いながら暮らしている人がいるのかと思うと圧倒される。

滝川は、札幌から旭川に向かう途中にある。内陸で、寒く、雪が多い。札幌方面に向かって石狩川が流れており、石狩川が蛇行して作った大きな平野にある。平地が多く、グライダーなどのスカイスポーツのメッカだと聞く。

駅前で軽く食事でもしていこうかと思ったが、そもそも店なんか見当たらない。コンビニもない。それより、雪がスゴイ。歩道の左右にどけられた雪が高く積もっている。

野間さんのファクトリーはここからバスで15分ほどの工業団地にあると聞いてたが、30分後のバスを逃すと、そこから1時間半バスはない。こんな雪の中に1時間半も立っていたら、大変なことになりそう。つくづく、雪国で暮らしている人ってすごい。

人力で除雪するのは大変

「じゃあ、まずこれで雪をどけて下さい」と野間さん。

このスコップの親玉のような道具は、「スノープッシャー」と呼ばれる雪国の除雪のための定番商品らしい。

張り切って始めたものの、ものの5分もするとバテてくる。これで広い駐車場の雪をどけようとしたら、大変なことになりそう。時間もかかるし、労力もすごい。想像以上に、雪は重たくて、そして無限に存在する。

そこにやって来たのがエバーブルーテクノロジーズの除雪ドローンだ。

たしかに、これはパワフル。そして疲れることを知らない。

筆者が5分ほどで挫けたあとも、淡々と除雪を続けてくれる。

ちょっと操縦させてもらった。

現状、本機は、ホイール式のFutabaのラジコン用プロポで操縦する。人間が操縦していては人員削減にはならないが、少なくとも楽ではある。さっきの重労働にくらべればラクチンだ。

近いうちにエバーブルーテクノロジーズの自動運転技術を搭載すると、自動運転で決められた場所を除雪できるようになる。

もちろん、多くの雪国の方が言うように、場所によっては大型の除雪車両でバリバリと除雪しないといけない場所も多い。人力でやらないといけない場所もあるだろう。

しかし、コンビニやショッピングモールの駐車場、施設の中庭、小さな飛行場、辺鄙な場所でも人が歩かなきゃいけない通路……というようなところを、せっせと除雪するのには有用だろう。なにもすべての除雪がドローンで済むとは言ってない。ただ、全体の1割、2割でも、このドローンがやってくれて楽になれば、それだけ労力を他に傾けられるということだ。

除雪ドローンのメカニズム解説

エバーブルーテクノロジーズの除雪ドローンの詳細について、同社代表の野間さんに聞いた。

まず、このドローンを動作させているバッテリーは、リポやリチウムイオンではない。鉛のディープサイクルバッテリーだ。リポやリチウムイオンは、寒冷地で動力用バッテリーに使うのは困難だ。通常の鉛バッテリーは大きな範囲で充放電を繰り返すのは難しい。そこで鉛のディープサイクルバッテリーを利用するというわけだ。

容量は12V36Aで3時間の連続動作が可能。

モーターはブラシモーターを各車輪に合計4台装着し、出力は計1000W。人を乗せる電動車イスなどに使われるものなので、トルクは十分にある。

サスペンション方式は、様々な試行錯誤を繰り返した後、どんな体勢でも四輪を地面に設置させ続けることが可能なローリングリジッドフレームを採用。ご覧のように、雪塊などがあっても車輪を接地させつつ、走破することが可能となっている。

構造としては、車両中心縦方向に軸があり、左右をスプリングで固定するシンプルなもので、重量増の心配もない。

車輪はファルケンのトラクター用タイヤを採用。ここも、かなり悩んだポイントで、少量生産が不可能なタイヤは既存の製品を採用するしかない。現在ATV用タイヤなどもテストしており、今後変更する可能性もあるのだそうだ。

夜間動作することを考えて、LEDの前照灯と尾灯も用意している。

このあたりも、まだいくつかのものを検証中ということで、変更される可能性はあるようだ。

ボディはFRP製。フォーミュラカーのようなデザインは車好きな野間さんならでは。

ブレードも大変苦労した部分だそうで、最終的には自重でもって雪面に押し付けられる仕組みとなっている。

すでに、来シーズンに向けて着々と準備中

現在、野間さんも東京から北海道の滝川に拠点を移して、本格的な開発作業と、すでに注文を受けた製品の生産を行っている。現在のところはデリバリーも野間さん自身がハイエースに積んで届けているのだそうだ。

そろそろ、雪の季節は終わるが、除雪ドローンはむしろこれからが商戦期。次の雪の季節に向けて、さまざまなところにプレゼンに行ったり、デモや展示などを行う予定なのだそうだ。

実際に、新千歳空港でも実証事件を行ったし、今後さまざまな商業施設、事業所、そして官公庁などからの引き合いも来ているのだそうだ。

数年後、北海道のさまざまな施設で、エバーブルーテクノロジーズのドローンたちが、せっせと除雪する光景を見られるかもしれない。

(村上タクタ)

この記事を書いた人
村上タクタ
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村上タクタ

おせっかいデジタル案内人

「ThunderVolt」編集長。IT系メディア編集歴12年。USのiPhone発表会に呼ばれる数少ない日本人プレスのひとり。趣味の雑誌ひと筋で編集し続けて30年。バイク、ラジコン飛行機、海水魚とサンゴの飼育、園芸など、作った雑誌は600冊以上。
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