旗艦中の旗艦と、ハイエンド並みに高性能なミドル機
R1の登場は、大口径、ショートフランジバック、電子接点付きのRFマウントが売りであるRFマウントを採用するEOS Rシステム全体が、フラッグシップの登場を受け入れられるほとに完成したということを意味するのだろう。オリンピックイヤーに登場したフラッグシップ機ということで、可能な限りのスペックが詰め込まれている。
いっぽうR5 Mark IIも、オールラウンダーであると同時にスタジオなどでのスチル撮影にも使える有効画素約4500万画素の高画素機で、これまでのEOS R6 Mark IIなどで培われてきたAF技術に、R1と共通の新エンジン『Accelerated Capture』とディープラーニング技術を組み合わせたAFシステムを持つ。また、8K/60P RAWや 4K/60P SRAWを撮れるなど、動画機としても高い性能を持っている。
共通機能も多数で、R5 Mark IIはお買い得
R1、R5 Mark IIには共通技術が使われている部分も多数あり、上記のAF技術の他にも、さらに進化したDual Pixel Intelligent AF、プリ連続撮影機能(シャッターを押す前の瞬間の写真を保存する機能)、撮影した画像をディープラーニング技術を使って本体内で高画素化する『カメラ内アップスケーリング』、読み込み速度の高速化によるローリングシャッター歪みの低減、IEEE802.11ax 対応なども共通だ。また、両者ともマグネシウムボディ採用による高い堅牢性を備え、R5 Mark IIは高いレベルの防塵防滴性能を有し、R1はさらにトップエンドのプロ機としての防塵防滴性能も高いレベルを実現している。
フランスオリンピックでのR1の活躍が楽しみ
R1の最大の特徴は、AF性能の高さだろう。上記のR5 Mark IIと共通のスペックに加えて、クロスAF、R3よりさらに進化した視線入力、サッカーのシュートなど特定のアクションを認識し、AFフレームを合わせる『アクション優先』機能などを持っている。
とりわけ、サッカーなど選手が交錯するシーンでも、被写体を顔認識して、手前に別の選手が割り込んでも追い続けるなど、シャッターチャンスを逃さない機能が追加されている。
電子シャッターでは、最高約40コマを実現しつつ、ローリングシャッター歪みを『EOS-1D X Mark III』と同等レベルに抑えることに成功している。
センサーは最大有効画素約2420万で、常用ISO感度はなんと100〜10万2400! カメラ内アップスケーリング機能では最大9600万画素を生成可能。
決定的瞬間を逃さない、プロ中のプロのためのカメラだといえる。
手に取ってみたが、がっちりしたボディは安心感があるけれども本体重量は920gと見かけほど重くはない(重いレンズを組み合わせることも多いので、逆にこのぐらいの重量は欲しいと思う)。
ボディデザインもちょっと雰囲気が変わっていて、R1ならではの迫力がある。
充分以上に高性能なR5 Mark II
R5 Mark IIは、ボディサイズは従来モデルとほぼ変わらず、有効画素数も約4500万画素と上位モデルを超える画素数を与えられており、スタジオ撮影などで威力を発揮しそうだ。カメラ内アップスケールを使うと、1億7900万画素を提供可能で、クロップして使う場合にも高い解像度を維持できる。
プロスポーツの撮影などでは、R1、R3がなければならない場面があるとしても、他のほとんどの用途においてはR5 Mark IIが事実上のハイエンドモデルだといえるのかもしれない。
とはいえ、Dual Pixel Intelligent AF、『登録人物優先』機能、被写体の高性能なトラッキング機能、『視線入力』などの機能も搭載しており、スポーツ撮影にも充分に使える。
動画撮影でも8K/60P RAW 動画や 4K/60P SRAW 動画にも対応。さらに動画撮影中の静止画記録にも秒間7.5コマまで対応しており、オールラウンダーといえる。
機会があれば触れてみたい……
価格を見て頭を抱える向きも多いと思うし、R1を必要とするのは本当のプロ中のプロだと思うが、R5 Mark IIは、高価ではあるが、これだけの機能を網羅しているとなると、魅力的ではある。
筆者は、R6 Mark IIを日々の取材に使っており、充分に満足しているが……。R5 Mark IIの性能を聞くと心がかき乱される思いがする。機会があれば、試用してレポートしてみたい。
(村上タクタ)