なぜ乗り換えられないかというと、交換レンズがあるから。いや、プロのカメラマンではないから、さほどたくさんのレンズを持っているわけではない。でも、何本ものレンズを一度に買い替えるのはお金がかかる。先立つものが必要なのだ。
もともと、初期のRFレンズは、RFレンズのパフォーマンスを引き出す非常に明るくて、けっこう高価なレンズばかりだったので、乗り換えるのは不可能だった。しかし、最近、リーズナブルなレンズがかなり充実してきた。そこで乗り換えを検討しはじめた。
手持ちのカメラ、レンズ資産を全部売り払って、なんとか予算の算段を付けようと見積もりを取ったりしているうちに、 R6 Mark IIが出た。ちなみにR6 Mark IIは、12月15日発売だ。
仕事ではあるけど、プロカメラマンではない
まずは、前提条件。
筆者は、EOS 3(フィルムカメラの)からのキヤノンユーザー。手がキヤノンになっているので、仕事にはキヤノンしか使えない。
本当にちゃんとした写真が必要な時は、プロカメラマンにお願いする。インタビューとか、物撮りでも。ただし、IT系の取材では、アップルのUS取材をはじめ、カメラマンを連れて行けないシチュエーションは多い。ゆえに自分のシロウトカメラで撮影せざるを得ない。
30年来プロカメラマンさんと一緒に撮影してきているから、何をどうしたら、ちゃんとしたクオリティの写真になるかは(だいたい)分かるのだが、そこに手とコストをかけられないのが編集気質。というか、私にとってはカメラマンさんは特殊な能力を持ったスゴイ人たちなので、そちらに向けて努力しようとは思っていない。無理。
というわけで、それなりの手間でそれなりの写真を撮るのがこれまでのテーマだったが、フリーランスとして仕事に取り組むようになると、そうも言ってられない。得られる状況で、よりベターなクオリティの写真を確保しなければならない。
(というわけで、このページの写真のライティングがそれなりなのもご容赦を……)
EOS R6か? EOS R6 Mark IIか?
検討課題その1は、EOS R6か、EOS R6 Mark IIのどちらを選ぶかだ。
ガジェットメディア編集長としては、新型一択なのだが、新型はお安くない。
EOS R6 Mark IIのボディは39万6000円(以下、特記のない限り、税込・キヤノンオンラインショップ価格)。対してEOS R6は、価格.comにあるような激安店は別にしても、30万円前後ぐらい。つまり、約10万円、1/4の価格差となる。
単にスペックだけを較べると、2010万画素が、2420万画素になったとか、秒間20コマが40コマになったとか、AFで目を検出する動物に馬が加わった……とか、そういう話になってしまうのだが、本質的には何が違うのか、私の用途で有意な差はあるのか……そのあたりを確認したい。
EOS 6D Mark IIと較べたら?
レンズについても比較検討したい。私に必要なレンズは、それなりの標準ズームと、それなりの望遠レンズだ。価格的にも、重さ的にも。
イベント取材での中間距離の写真。会場全体を撮ったり、登壇者を撮ったり、スライドを撮ったり。また、自宅でちょっとした物撮りもする。それなりに明るいレンズがあると、話者の前後をボカしたり、説明したい部分だけピントを来させたりできるので便利だが、かけられるコストも限られているし、あまり重いレンズを持つとフットワークも重くなる。
EOS 6D Mark IIには、24-70mm F4を組み合わせていたのだが、 RFレンズになると、同等製品はRF24-105mm F4 L IS USMになる。価格は18万4800円(以下すべて税込・キヤノンオンラインショップ価格)。少々高いし重い。手ブレ補正が使えることを考えると、RF24-105mm IS STMでいいような気がする。こちらは単体価格は7万3150円。だいぶリーズナブルになる。
重さを較べるとEOS 6D Mark II+24-70mm F4が、1,365g、EOS R6 Mark II+RF24-105mm IS STMが、1,065g。約300g軽くなる。日常、一番持ち歩く組み合わせで300g軽くなるのは大きい。
RF24-105mm F4 L IS USMか? RF24-105mm IS STMか?
RF24-105mm F4 L IS USMの、全域F4というのは魅力的だ。
結局のところ、標準ズームが一番よく使うから、ここにコストをかけるのは正しい判断だと思うのだ。ここのお値段の差も約10万円。重さにして305gの差がある。
ワイド端のF4は変わらず、望遠端はF7.1と、1と2/3段暗くなる。かなり暗くはなるが、単純に明るい暗いだけの話なら、最大8段分の手ブレ補正が効くのだから、そこは最新の技術でなんとかなるということだ。
前後をボカしたい……というニーズに関しては、別に単焦点レンズを買うことでなんとかしようと思う。
RF35mm F1.8 MACRO IS STMと、RF85mm F2 MACRO IS STM
RFレンズは、知らぬ間にリーズナブルな単焦点レンズが増えてきてる。
標準ズームは、RF24-105mm IS STMでガマンするとして、その予算+αで、RF35mm F1.8 MACRO IS STM(7万7000円)と、RF85mm F2 MACRO IS STM(9万3500円)を買えば、ボケ味のある写真や、ポートレートを撮るにもいい。
こうすれば、軽い標準ズームで身軽に取材するのと、単焦点レンズに替えてボケ味を求めるのを使い分けることができる。
ちなみに、一番左のRF135mm F1.8 L IS USMは、R6 Mark IIと一緒に出た新製品ということでお借りしたが、33万8800円という価格は私にとっては完全に射程外。ちょっと試してみると、とてつもなく素敵だが。
RF35mm F1.8 MACRO IS STMは、EOS RPで試して以来お気に入りのレンズ。リーズナブルなレンズだが、こんないい雰囲気の写真を、手軽に撮ることができる。いろいろ試してみたい。
RF100-400mm F5.6-8 IS USMはどうか?
最後に、望遠レンズ。
ラジコン飛行機の取材写真を撮っていた頃からずっと、EF300mmのF4を使っていたが、いくらなんでもそろそろこれは手放して、お手軽なズームレンズにしようと思う。
モータースポーツなどを撮るわけではないので、明るい望遠は諦めて、RF100-400mm F5.6-8 IS USMを買おうと思っている。明るさはともかく、9万3500円という価格と、635gという軽さが魅力。
具体的には、取材時に、プレス席から、前の登壇者の顔のアップを撮るのが主な目的。また、場合によっては、投映されているスライドなども。
そういう目的なら、手ブレ補正や高感度に頼ってもなんとかなると思うのだ。
また、EOS R6 Mark IIなら、クロップでセンサーのAPS-Cサイズを使って撮ることもできる。そうすると160-640mmになる。これなら少し遠くの枝にいるカワセミだって撮影できる。
というわけで、いろいろ試してみたいと思っている。
私利私欲のテストだが、同じく「そろそろ、RFレンズにしようかな……」と思っている人は少なくないはず。そういう人の参考になるような話ができればいいなぁ……と思う。
(村上タクタ)
【その後の記事】