シャラメがディランを演じた傑作『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』2月28日公開

ティモシー・シャラメがボブ・ディランを演じる。それだけで関心と期待が高まるが、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』はその期待を大きく上回る傑作である。ロック史の最重要人物であるディランだが、その一方で「難解」とされることも多い。ぶっきらぼうで人を突き放したようなボーカルは、ときにとっつきにくい印象を与え、聞く人を選ぶかのよう。これまでも、その分かりづらさを解き明かすべく、数多くの書籍やドキュメントが作られ、関連映画が発表されてきたが、結局謎は深まるばかりという印象だった。

一周回って、ディランはフォーク

しかし、この映画はていねいな脚本、演出、カメラワーク、そして演技シャラメの好演もあり、ディランの魅力や本質、キャラクターをわかりやすく伝えている。驚くべきは、その演奏シーンで、まるで本人が憑依したかのような歌唱法は演技を越えた迫力がある。それは部屋で歌うシーンでも、観客を前にしたライブシーンでも同じ。ティモシー・シャラメのアーティスト性を観ることができる、これらのギターの弾き語りシーンはこの映画の見どころのひとつである。

しかし、こういうかたちであらためてディランの音楽に接すると、気づかされることも多く、デジタルにあふれる今の時代のなかで、彼の口から連射される言葉とアコギ一本で作り上げる疾走感はかなり有効的なのではないかと思わされた。ディランはロックであり、パンクであり、ヒップホップである。が、一周回って、ディランはフォークであることも確かで、これの機にフォークが再評価され、若い人がアコギをもってメッセージを歌う時代が来るのではないか、ということを思ってしまった。

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』
2月28日公開
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ティモシー・シャラメ、エドワード・ノートン、エル・ファニング、モニカ・バルバロ、ボイド・ホルブルック、ダン・フォグラー、ノーバート・レオ・バッツ、スクート・マクネイリー
配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
©2024 Searchlight Pictures.

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1965年生まれの男たちのバイブル

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